« 空室増加への対応策 | メイン | フリーレント契約と賃貸料の税務上の取扱い »

払い過ぎた税金を取り戻す方法

今回は「払い過ぎた税金を取り戻す方法」についてご紹介したいと思います。

常識的に考えると、払い過ぎた税金は修正申告によって簡単に取り戻すことができそうですが、税の実務ではそう簡単ではありません。一定の手続きが必要なのです。

「でも、当初申告した税額が少なかった場合には修正申告によっていつでも税額を修正することができるじゃないですか?」との疑問を抱かれると思いますが、それはあくまで当初申告した税額が本来の正しい税額よりも少なかった場合です。

「払い過ぎた税金を還付請求する」ケースというのは当初申告の税額よりも正しい税額のほうが少ない場合ですが、このような場合には修正申告は認められないのです。

「それではどうするんだ?」ということですが、これには2つの方法があります。1つ目が「更正の請求」であり、2つ目が「減額更正の嘆願」です。以下、順番にご説明いたします。

まずは「更正の請求」から。これは当初申告した税額が本来の正しい税額よりも過大となった場合に、税務署長に対して税額の減額をしてくれるよう申請するというものです。

このように更正の請求は税務署長に対して減額の申請を請求するものですが、この請求はいつでもできるわけではありません。一定の期限があるのです。通常の更正の請求では法定申告期限から1年以内となっており、この期限を1日でも過ぎたらアウトです。

また、本来の正しい税額よりも過大となったからといって、どんな場合でも認められるわけではありません。「その税額の計算が税法の規定に従っており、計算に誤りがない」場合には認められないのです。例えば次のようなケースです。

<更正の請求が認められないケース>

①小規模宅地の特例の適用を受けるケース・・・この特例は納税者にとって最も有利になるように適用する宅地を選択することができるわけですが、一旦選択しますと別の宅地に変更できません。

②仕入税額控除の計算方法を選択するケース・・・消費税の計算方法については個別対応方式と一括比例配分方式の2つの方法が認められておりますが、一旦選択した方式を別の方式に変更することはできません。

これ以外にも様々なケースがありますが、いずれの場合も2つ以上の選択肢から任意に選択できるものについては更正の請求によって別の有利なほうに変更することはできないことになっております。

このように一旦選択しますと取り返しがつかなくなってしまいますので、事前によくシミュレーションしてから有利なほうを選択するようにして下さい。

なお、以上はあくまで法定申告期限の翌日から1年以内に更正の請求をするケースです。法定申告期限内であればいつでも何度でも申告し直すことが可能です。この場合には後の日付の申告書が採用されます。

以上が「更正の請求」に関するあらましです。それでは次に「減額更正の嘆願」についてご説明いたします。

減額更正の嘆願とは文字通り、税務署長に対して税金を減額してくれるようにお願いするというものです。正に「嘆願」です。

法定申告期限から1年以内であれば上記の更正の請求をすれば良いわけですが、この期限を過ぎた場合にはもはや更正の請求はできません。

そこで納税者としては更正の請求に代えて、この「嘆願」をするわけです。ところでこの「嘆願」は税務署長に対して法的な拘束力を有するものではありません。

したがって税務署長がこれを無視して減額更正の処理を行なわず放置したとしても法的には「不作為」として責任追及することはできません。だからといって明らかに還付請求できる事案についてほったらかしにすることは無いと思いますが・・・。

なお、この減額更正の嘆願は法定申告期限から5年以内であれば可能です。もし、この期限を過ぎた場合にはどうすることもできませんので十分ご注意下さい。


この記事へのトラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.43up.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/181

この記事へのコメントを投稿

初めてコメントをされる場合、コメントが表示される前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがございます。承認されるまでコメントは表示されません。その際はしばらくお待ちください。

プロフィール
0
(株)鹿谷総合研究所  代表取締役/公認会計士鹿谷会計事務所  所長/公認会計士・税理士
0
最新のエントリー
検索

カテゴリ
0
コメント
小規模企業共済制度はメリット多し
  └ 0からはじまった確定申告 at 2007.02.03
0
トラックバック
リンク集
バックナンバー