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2007年04月19日

住宅ローン控除制度が変わりました

住宅ローン控除制度とは住宅ローンを組んで新たに住宅を取得した場合、年末の住宅ローン残高に一定割合を掛けた額を所得税から控除できるというものです。

家屋の床面積が50㎡以上であること等、一定の条件をクリアーする必要がありますが、これらの適用要件を満たせば当然ながら申請すべきものです。

ところで今回の税制改正で、この住宅ローン控除制度が一部変更になりました。従来は控除期間が最長10年だったのですが、改正で15年間の控除制度が設けられたのです。

10年が15年に延長されたのですから嬉しい限りですね、と言いたいところですが、そうは問屋が卸しません。15年に延長する代わりに控除割合を引き下げたのです。

つまり従来は当初6年間は1%、残りの4年間は0.5%だったものを、改正では当初10年間は0.6%、残り5年間は0.4%としたのです。トータルの控除限度額は200万円(平成19年度に取得・居住した場合。平成20年度は160万円)で変わりません。

トータルの控除限度額を変えないで、なぜこのような面倒なことをしたのでしょうか? その理由は国から地方への税源移譲にあります。ご承知のように地方分権を推進するため、平成19年度より所得税の税率を下げる一方、住民税の税率を上げました。

そして、この住宅ローン控除制度は所得税だけを対象にしているため、このままでは人によって控除額が減ってします可能性があったのです。

例えば、年末の借入金残高が2500万円の場合で考えてみます(平成19年度は2500万円までが対象ですから、これ以上の借入金であっても結果的に同じです。なお、平成20年度は2000万円までが対象です。)。

現行制度では当初6年間の控除割合は1%ですから、最大25万円控除できます。この場合、25万円以上の所得税を支払っていた人にとっては全額を控除できたのが、所得税の税率引下げで税額が20万円になったとすると20万円しか控除できなくなってしまうのです。

このように、所得税の税率変更によりソンをする人が出てくる可能性があるので、それを補填する意味で細く長く控除できるようにしたのです。ところで、この改正は控除期間の特例ということで従来の10年控除も選択適用できます。

高額納税者にとっては従来のように10年控除を使ったほうが早く控除できますので有利です。ご自身の税額がどのように推移するかをよく勘案して有利なほうを選択するようにして下さい。

2007年04月12日

減価償却の方法が変わりました

平成19年度の税制改正が19年3月23日に成立し、原則として19年4月1日から施行されることとなりました。

今回の改正で特に重要なのが減価償却に関するものです。減価償却というのは要するに取得した資産をいっぺんに経費に算入しないで一定の期間(これを法定耐用年数という)で徐々に経費にする手続きのことですが、この制度が今回の税制改正で変更されたのです。

その変更内容ですが、これについては新規に取得する資産と既に取得している資産に分けて考える必要があります。まず新規に取得する資産についてですが、平成19年4月1日以降に取得する資産については残存価額と償却可能限度額が廃止され、備忘価額1円を残して全額を償却できるようになりました。

残存価額というのは法定耐用年数が経過した時点での未償却残高のことですが、改正前は当初の取得価額の10%が残るように償却率を決めていたのです。

これについて今回の改正では、この残存価額を1円としたのですが、今までなぜ10%を残すようにしていたかというと廃材を処分すれば10%位では売却できるだろうと考えたのです。現在では廃棄物を処分しようとすれば逆にお金がかかるにも拘わらず、このような戦後の物不足時代の考え方が今だに残っていたというわけです。それはともかく、今回の改正でようやく日本も先進国と同じ土俵につくことができるようになりました。

次に償却可能限度額ですが、これは法定耐用年数を経過してもまだその資産を使用している場合、当初の取得価額の5%までは償却できるというものです。今回の改正で残存価額が廃止された結果、それに連動してこの償却可能限度額は存在意義をなくしました。

次に今回の税制改正では定率法の償却率も変更になりました。従来は定率法独自の償却率が耐用年数毎に決められていたのですが、19年4月1日以降に取得する資産からは定額法の償却率の2.5倍が定率法の償却率になります。

従来の定率法による償却率を求める式では分子に残存価額を代入して計算することになっていたのですが、この残存価額が今回の改正でゼロになったため計算不能に陥り、このように変更したのです。

以上は新規に取得する資産についての改正内容ですが、既に所有している資産については次のように改正されました。つまり、平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産については、償却可能限度額まで償却した事業年度の翌事業年度以後5年間で1円まで均等償却できるようになりました。いっぺんに償却できるようにすると税収が急減するので、このような取扱いになったわけです。

いずれにしても今回の改正によって減価償却費を従来より早く計上できるようになりました。減価償却費というのは経費に算入するだけでお金が出て行くわけでないのでキャッシュフロー上はプラスに働くことになります。うまく活用して下さい。