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2009年02月24日

地震保険について考える

今回は地震保険について考えてみたいと思います。アパマン経営をする場合には当然ながら火災保険には加入しますが、地震保険には加入されているでしょうか?

ご承知だと思いますが、通常の火災保険では

1.地震などによる火災(その延焼・拡大損害)によって生じた損害

2.火災(発生原因のいかんを問わない)が地震等によって延焼・拡大したことにより生じた損害

については、いずれの場合も保障の対象となりません。したがって、もし地震が起きればすべてアウチです。建築費に係る借金だけが残るというわけです。

アパマン経営というのはご承知のように、いったんスタートすると数十年は続きます。このように長期間にわたって経営しておりますと、どうしても地震の起こる確率は高くなってきます。日本が地震大国であるということは一時も忘れてはならないのです。

「備えあれば憂いなし」。ある程度のコストはかかりますが、アパマン経営にとって地震保険料は必要経費だと考えるべきではないかと思います。

人間の場合には生命保険が必要であるように、アパマンの場合には地震保険はやはり必要なのです。

あれこれ考えるのではなく、「アパマン経営と火災保険・地震保険はセットである」、と考えれば良いのはないでしょうか。

このように地震保険に加入することは非常に重要ではあるのですが、地震保険の契約金額は時価の半額が限度になっているということはシッカリと理解しておく必要があります。

つまり、保険金だけで同じような建物を再築することは不可能だということです。

このようなことから、地震のリスクに万全に備えるためには、地震保険に加入するだけでなく、アパマン自体の耐震性能を高めておくことも必要です。そうすることによって入居者も安心して暮らせるというわけです。

ところで地震保険に加入できるのはマイホームとかアパマンといった居住用の物件に限定されています。

貸ビルとか貸店舗等の場合には加入できないことになっていますので、ご注意下さい。巨大なビルまで対象としていたら地震保険制度自体が維持できなくなる可能性があるからだと思われます(注)。

(注)地震保険は万一のときに保険が確実に支払われるよう、政府のバックアップにより運営されています。ただし、損害が膨大で制度自体が破綻を来たすことがないよう、1回の地震で支払われる保険金総額には限度が設けられています。現在は5兆5,000億円ですが、この額は常に見直されています。

ところで、上述したとおり地震保険の加入限度額は建物の時価の50%までですが、この額が5,000万円を超える場合には5,000万円が限度だという人がいますが、これは間違いです。

あくまで1所帯当たりでカウントします。したがって、例えば10所帯のアパマンであれば5,000万円×10室と、建物の時価の50%とのいずれか少ない額が限度になります。

代理店の人でもこの事を知らない人のほうが多いのです(損保会社の人にも普通に聞くとトータルで5,000万円までしか加入できないと言われます)。

どうなっているのでしょうか? 知らない(あるいは知っていても言わない)理由をあれこれ調べたり考えてみたのですが、結局分かりませんでした(何となく、どこからか御達しのようなものがありそうです)。

ところで、ご承知だと思いますが、マイホームに係る地震保険料は所得控除の対象となりますが、最高限度額は5万円です。一方、アパマンに係る地震保険料は全額経費に算入できます。

このように税務上もアパマン経営についてはシッカリとサポートしてくれているのです。長期安定経営のためにも地震保険についてはよく検討してみて下さい。

2009年02月11日

節税の基本・・・未払金等を計上する

今回は確定申告が近づいて来ましたので、簡単にできる節税の方法についてご説明いたします。

皆様方は通常の月ではほとんどの場合、現金ベースで記帳されていると思います。現金ベースとは要するに現金で支払った時とか、自分の預金口座から相手の口座に振込んだ時、あるいは預金口座から自動的に引き落された時に記帳する方法のことです。

このように通常月では実際に支払うまで費用計上しないのが普通なので、月末においてまだ支払っていない請求分については記帳しておりません。

そこで月末までに請求書が来ているもの(正確には債務が確定しているもの)については未払金を計上するようにして下さい。

税務上は未払金を計上していないからといって特に文句は言われませんが、計上すればそれだけ課税所得が少なくなります。

ところで未払金と未払費用の違いはご存知でしょうか? 未払金というのは確定した債務を処理する場合に使用します。

例えば、ツケで飲んだ場合、後から請求書が来ますが、その時点で債務は確定しております。したがって決算においてまだ支払っていない場合には決算日現在で未払金を計上することになります。

一方、未払費用は一定の契約に基づき継続して役務の提供を受ける場合、既に提供された役務に対して、まだ支払っていない費用を処理する科目です。

例えば、毎月10日払いの借入金がある場合(個人のケース)、決算月である12月分については12月11日から31日までの支払利息について費用計上できますが、このような場合には未払金ではなく未払費用のほうを使用します。

実際に支払うのは翌年の1月10日ですが、決算日までの費用については既に役務の提供を受けているということで、このように未払費用を計上するのです。

ただし、この未払費用はあくまで決算時点において一時的に計上するだけなので、翌期首である1月1日において反対仕訳をすることになります。

反対仕訳というのは借方と貸方の科目をそれぞれ逆にした仕訳のことですから、この仕訳をすることによって当初の仕訳がなかったことになります。つまり現金ベースに戻るということです。

それでは翌年の1月10日に残高不足で引き落とされなかった場合はどうなるのでしょうか? 

この場合には既に支払期限が過ぎておりますので、その時点で債務が確定します。そこで、もし決算時点においてもまだ支払っていない場合にはその時点(決算日の12月31日現在)で未払金を計上することになります。

このように未払金と未払費用では内容が異なっているということは理解しておいて下さい。

なお、未払費用としては上記で説明した支払利息以外に、地代、家賃、リース料、社会保険料等があります。いずれも「後払い」のケースです。

一方、未払金については様々なものが考えられますが、ここでは代表的なものとして固定資産税と消費税についてまとめておきましたので、ご参考にして下さい。

<未払金>
1.固定資産税・・・固定資産税は年4回に分けて支払いますが、第4回目は翌年が支払期限です。ところで、この4回目の納税額について決算時点で未払金を計上すれば経費として認められます。

2.消費税・・・消費税は支払った時点で経費に算入できますが、固定資産税と同様、決算時点で未払金(正確には未払消費税等)を計上すれば経費として認められます。