小規模企業共済制度はメリット多し
最近、小規模企業共済制度についてよく質問されます。おそらく様々な書籍とかセミナーで紹介されているからだと思います。そこで今回はこの制度のあらましについてご紹介しておきます。
まずこの制度が作られた目的ですが、これは個人事業主の方や会社等の役員の方が事業を廃止したり役員を退職した場合などに、その後の生活に必要な資金をあらかじめ準備しておくための国の共済制度で、いわば「経営者の退職金制度」ということができます。
ご承知の通り、個人事業者には退職金制度というものがありません。一般のサラリーマンであれば大なり小なりそれなりの退職金を貰うことができますが、個人事業者というのはそういった制度がありませんので、国が代わりに退職金制度を作ってくれているのです。
退職金というのは他の所得とは異なり税金がかなり安くなっています(退職金の額から退職所得控除が差し引かれ、更にその額の半分が課税所得となる)。また一時金ではなく分割で貰うこともできますが、その場合には公的年金と同じく雑所得となります。
一方、毎月の掛け金(月額1000円から7万円まで任意に選択可)が課税所得から控除されますので所得税の節税にもなるのです。このように税金上も非常に優遇されているわけです。
ところで、この制度は中小企業の経営者も加入することができます。会社形態をとっていたとしても実態は個人経営と同じですから法人であっても加入できるようになっているわけです(サービス業の場合、常時使用する家族以外の従業員は5人以下という条件があります)。なお、この場合であっても掛け金はあくまで個人が支払うわけです。法人の経費にするわけではありませんのでご注意下さい。
それではサラリーマンの方が副業でアパート経営をしている場合、この制度に加入できるのでしょうか? これについては残念ながら加入できません。あくまで本業が事業経営者でなければならないのです。
次に、不動産賃貸業が専業だという場合はどうでしょうか? このケースについては制度上は加入できますが、その場合でも事業的規模である5棟10室以上(アパートの場合は10室以上、貸家の場合は5棟以上ということ)であることが必要です。
このように、この制度には様々な条件がありますので、加入する場合には事前によくごチェックするようにして下さい。