共有にする場合には出資割合に気を付けて!
マイホームを購入したり建設する場合には共有にするケースがよくあります。その理由は各種の贈与の特例があるため夫婦それぞれの親とか祖父母から資金援助を受けられるようになっているからだろうと思います。
ところで、このように共有の場合には出資額に応じて持分登記するわけですが、もし出資額と登記した持分が違っている場合には差額に対して贈与税が課税されます。
具体例を挙げてご説明しましょう。例えば、マイホームの購入資金が5000万円で夫婦それぞれの出資額が次のようになっていたとします。
夫・・・出資額4000万円(うち夫の親からの贈与1500万円、残り2500万円は銀行ローン)
妻・・・出資額1000万円(すべて妻の親からの贈与)
こういった場合、夫の持分を4/5、妻の持分を1/5として登記すれば特に問題ないのですが、もし夫の持分を1/2、妻の持分を1/2として登記すれば次のように妻は夫から1500万円の贈与を受けたものとして贈与税が課税されます(基礎控除の110万円は無視)。
贈与対象額・・・5000万円×1/2-1000万円=1500万円
このようにマイホームの場合には持分登記を間違えると贈与税が課税される可能性があるということを多くの人がご存知なのですが、アパマンの場合にはなぜか間違える人が多いのです。
例えば、今年初めて確定申告したお客様の中に2億円ほどの賃貸用マンションを購入された方がいらっしゃいます。
事前にお話を伺ったときは奥様が100%取得されたということだったので奥様だけの確定申告でいいのかと思っていたところ、登記簿を見ますと奥様の持分が4/5、ご主人の持分が1/5となっているではありませんか。
このお客様のケースでは借金の額1億4000万円が次のように奥様の持分より少なかったのでそれほど大きな問題にならなかったのですが、もし多かったとしたら面倒になるところでした。
借入金の額1億4000万円<奥様の持分1億6000万円(2億円×4/5)
ところで、このケースでは初めての確定申告だったのでどうにか対応できたのですが、最近相談に見えた方の場合は7~8年前から間違えたまま確定申告してきているのです。
このお客様はかなりの資産家で相続対策のために沢山の賃貸マンションを所有されているのですが、資金の出資額と登記持分が全く合っていないのです。
どういうことかと言いますと、建築資金を母親名義で借りているのですが、建物の持分を母親と子供がそれぞれ2分の1ずつにして登記しているのです。
そして、それに基づいて確定申告しているため母親の所得が少なくて子供の所得がかなり多いという歪(いびつ)な状態になっているのです。支払利息を全額母親に計上し、子供はゼロとして計上しているわけですから当然です。
このお客様の借入金は8億円近くもありますので、もし建物の2分の1を母親が子供にタダで贈与したものとして贈与税が課税されたらたまったものではありません。
現在、どのように対応しようか思案中ですが、不動産の登記持分と出資額が一致していないと税務上、大変な問題を抱えることになりますので皆様方も十分お気を付け下さい。
なお、このお客様の確定申告の原稿はお客様ご自身が行い、税理士はメクラ判を押していたようなのです。また融資している銀行とか登記をした司法書士は気が付かなかったのでしょうか? これから少しずつ解明されていくことになろうかとは思いますが呆れてしまいます。