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2009年06月25日

長期優良住宅の各種特例は貸家にも適用できるのか?

ご承知のように平成21年度の税制改正で長期優良住宅という制度が新たに設けられました。

この制度は200年住宅とも言われている通り、良質な住宅を長く使うことによって地球環境の負荷を軽減することと、建替えコストの削減により住宅に係るコストを軽減することを目的としています。

このように長期優良住宅の場合はトータルとしての建設コストが軽減される予定ですが、下記のように税制面からも負担を軽減する措置がいくつか設けられています。

①住宅ローン控除について

一般住宅の場合には平成21年と22年中に住宅を取得すれば最大500万円が所得税等から控除されますが、長期優良住宅の場合には100万円加算されて最大600万円が控除されます。

ただし、この特例はあくまでマイホームの場合に限定されます。したがって賃貸の場合には適用されませんので、ご注意下さい。

②登録免許税について

一般住宅についての登録免許税の税率は次の通りです。

・所有権保存登記・・・0.15%
・所有権移転登記・・・0.3%

一方、長期優良住宅の場合には次のように軽減されます。

・所有権保存登記・・・0.1%
・所有権移転登記・・・0.1%

ただし、この特例についてもマイホームの場合に限定されます。したがって賃貸物件の場合には適用されませんので、ご注意下さい。

③不動産取得税について

新築住宅に係る不動産取得税について、一般住宅の場合には課税標準から1,200万円が控除されますが、長期優良住宅の場合には100万円加算されて1,300万円が控除されます。

なお、この不動産取得税については賃貸物件の場合にも適用されます。

④固定資産税について

一般住宅の場合の新築住宅に係る固定資産税の軽減措置は次の通りです。

・戸建て・・・・・当初3年間2分の1
・マンション・・・当初5年間2分の1

一方、長期優良住宅の場合には次のように軽減措置が拡張されます。

・戸建て・・・・・当初5年間2分の1
・マンション・・・当初7年間2分の1

なお、この固定資産税については賃貸物件の場合にも適用されます。

以上ご説明しましたように長期優良住宅に該当すれば様々な税務上の軽減措置を受けられますが、貸家の場合には住宅ローン控除と登録免許税の特例は適用できませんので、ご注意下さい。


2009年06月12日

土地を取得するための借入金利子について

土地を所有していない人がアパート経営をするためには当然ながら土地を購入するか借りるかする必要があります。

この場合、自己資金で取得するのであれば特に問題ありませんが、借金して取得する場合の借入金利子については一定の額が必要経費として認められません。具体的に言いますと次のようになります。

①土地の借入金利子>不動産所得の赤字のケース

この場合には不動産所得の赤字分に相当する借入金利子は必要経費に算入できません。
赤字分に相当する借入金利子が経費として認められないということは不動産所得の赤字はゼロになるということです。したがって他の所得と損益通算できないということになります。

②土地の借入金利子<=不動産所得の赤字のケース

この場合にはすべての借入金利子が必要経費として認められません。したがって、不動産所得の赤字の額から借入金利子の額を控除した額だけが他の所得と損益通算できるということになります。

この規定はバブル潰しのために平成4年に作られたわけですが、デフレとなった現在も相変わらず適用されています。不動産取引を活性化させるためには早急に廃止すべきだと思いますが、相変わらず政治家はピントがずれています。

ところで、このように必要経費として認められないということは、それに関する増税部分だけキャッシュフローが悪くなるということです。

そこで今回はその対応策についてまとめておきましたので、ご参考にして下さい。

1.利回りの高い物件を取得するとか、建物の割合が高い物件に買い換える。

この規制はあくまですべての物件のトータルで判断することになっています。複数物件を所有している場合には、それらの不動産所得を合算して判断するということです。

つまり他の物件の不動産所得がプラスであればトータルの不動産所得がゼロになるまでは必要経費として算入できます。

したがって現在の物件だけでは経費に算入できない借入金利子が生じている場合には、利回りの高い物件を取得するとか建物の割合が高い物件に買い換えるということが考えられます。

2.不動産所得を増やす対策を実行する。

例えば、附属設備とか構築物について定率法を採用している場合には定額法に変更するとか、金利が高いようであれば借り換えを検討するといったことが考えられます。

また節税対策として専従者給与を支払うとか不動産管理会社を設立している場合には、給与の額とか管理料の額を減額すべきです。

借入金利子というのは返済が進むに連れて減っていきますので、その時点でまた給与等の額を増やせば良いのです。

3.アパマンを法人に売却する。

この規制はあくまで個人の場合だけです。法人は規制の対象外です。したがって規模にもよりますが、メリットが高いと判断されるときは法人に売却することも一考に値します。

アパマン経営はこれからますます厳しくなることが予想されます。したがって今回説明したようなチョットしたことからでも小まめに実行していくべきでしょう。