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2007年08月24日

建築中の借入金利子の会計処理は、こうなる

アパートとか賃貸マンションを建てる場合、工事費は通常、3回から4回に分けて支払いますが、これらの資金は通常、金融機関から借金します。

そして、アパートが完成し保存登記をした段階で、長期のアパートローンに切り替えるわけです。つまり、この借入金はアパートが完成するまでの「つなぎ資金」というわけです。

したがって、短期借入金という範疇になるのですが、短期借入金の場合は通常、利息は天引きされます。例えば、借入金が1000万円の場合、利息を30万円とすると970万円しか振り込まれないのです。そこで、必要資金に利息部分を足した額を借り入れる必要があるというわけです。

ところで、この借入金に係る支払利息はどのように会計処理することになるのでしょうか(元金部分は長期のアパートローンに切り替えられるだけですから、直接は関係ありません)?

例えば、「借入金の元金返済額は経費にならないが、支払利息は支払った時点で経費になる」というのは正しいでしょうか?

これについては正しい場合もあれば、正しくない場合もあるというのが正解です。つまり、アパート経営が初めての人は経費にできないが、既に何らかの賃貸物件を持っている人の場合は支払った時点で経費に算入することができるということです。

以下、若干解説しておきます。まずアパート経営が初めての人の場合ですが、建築中ということは建物がまだ完成していないということです。したがって、当然ながら税務署とか県税事務所に開業届けをしていない状態です。

このような段階で支払った(天引きされた)利息というものは、そもそも経費として算入することが理論的にできないのです。

会計の大原則に「費用・収益対応の原則」というのがありますが、これは要するに収益を獲得するために必要なものしか費用として認められないということなのです。

アパート経営の場合で考えますと、アパートが完成しない段階ではそもそも収益が発生しませんので、それまでに支払った経費は費用として計上しようがないのです。

それでは実際に支払った利息はどのように会計処理することになるのでしょうか? これについては建物の建築費として処理することになります。つまり、減価償却費として徐々に経費に算入していくということです。

それでは既にアパート経営をしている人が、追加して建てる場合の支払利息はどうして支払った時点で経費に算入できるのでしょうか?

新しく建てるアパートは完成するまで収益を生まないはずです。それにもかかわらず経費として認められるのは筋が通らないではないかと叱られそうですが、これについてはそこまでは厳密に考える必要はないということになっています。

つまり不動産所得を生ずべき業務を行っている場合においては、新しくアパートを建てることは、その業務の拡張行為であると考えるのです。

なお、法人の場合は新規にアパートを建てる場合であっても支払い時点で全て経費に算入することができます。

2007年08月10日

路線価アップで思うこと

既にご存知だと思いますが、8月1日に路線価が発表されました。全国平均で8.6%のアップです。地域別内訳は次の通り。

  東京圏  13.1%、
  大阪圏   8.1%、
  名古屋圏 9.1%、
  地方圏   0.0%

これを見て皆様方はどうお感じになられましたか? ようやく日本もデフレから脱却したか、といった感じでしょうか? 私なんかは、こんなに上がって大丈夫だろうかという思いです。

もちろん一部の超一等地の価格上昇が平均を押し上げたことには間違いありませんが、来年以降も当分この高騰が続いていくような気がしてなりません。

前回のバブル時と違って、今回の地価上昇は二極化していると言われますが、それはあくまで個別の土地の時価についてです。

路線価というのは道路に面した特定の土地(標準宅地)の価格のことですが、その路線の価格が上がれば当然ながら、その路線に面した他の土地まで一斉に上昇します。

つまり一部の土地の取引価格が上昇することによって、同じ路線の他の土地の路線価も追随して上がらざるを得ない運命にあるということです。

そして、路線価が上がれば当然ながら固定資産税も連動して上がりますし、相続税にいたっては累進課税が適用されるためそれ以上に上昇します。

正にバブルそのものです。もちろん、今回の地価上昇は都心部と一部の県庁所在地だけでしょうが、このような地域に土地をお持ちの方はまた税金で苦労することになりそうです。

一方、不動産を所有していない人はどうするのでしょうか? 「不動産なんか興味ありません、賃貸で十分」という人もいると思いますが、マイホームがほしいという方も相変わらず多いようです。

そのような方にとっては今購入したほうが良いのでしょうか? それとも地価が下がるまで待つべきでしょうか? 私はいずれ買うつもりならできるだけ早く買ったほうが良いと思います。

その理由は結果的に今より高く買ってしまうか、買いそびれるような気がするからです。

不動産のプロと言われる人たちは既に土地の価格は高くなりすぎていると、さも知ったかぶりをしますが、今年から来年にかけて不動産が下がるとはどうしても考えられません。

もちろん地方の経済は疲弊してどうしようもありませんが、日本経済自体は過去最高の状態なのです。したがって、先程挙げた東京圏とか大阪圏、名古屋圏といった所の土地はこれからもしばらく上がり続けると思います。

ただし、購入するとしても最初は中古の賃貸物件が良いでしょう。それも、できれば小規模で安い物件を全額自己資金で購入するのです。そうすれば空室になってもそれほど家計に影響することもありません。

ところで、なぜ私が不動産をお勧めするかと言えば、不動産はインフレヘッジに最適な商品だからです。インフレヘッジとは要するに物価が上昇することによる貨幣価値の下落を食い止めることですが、不動産はインフレヘッジに最適な商品なのです。

株とか貴金属、あるいは書画・骨董といったものもインフレヘッジのある商品ですが、安定性といった点からは不動産のほうが軍配が挙がると思います。その理由は実需に基づくものだからです。

ところで不動産投資をする上で大切なことは、あまり儲けようとしないことです。儲けようとするのではなく、あくまでインフレヘッジをするというスタンスでやれば良いのではないでしょうか? つまり自己防衛です。

儲けようとすれば、どうしても利回りの高い物件を探そうとします。利回りが高いということは何らかの瑕疵(欠陥)があるということですから、それだけリスクも高くなります。

一般のサラリーマンの方で安定収入がある方は無理をしないのが一番です。現在持っている金融資産を不動産に変えて、来るインフレに備えるというスタンスが良いのではないか思われます。