自宅をリフォームして賃貸する場合の注意点
最近の有料老人ホームは非常に豪華になってきました。単に設備が良いだけでなくサービスもかなり行き届いているようで、入居希望者が日増しに増えております。
ところで老人ホームに入居するということは、今まで住んでいたマイホームが必要なくなるということです。いずれ帰ってくるかもしれないという場合はそのままにしておいても構いませんが、老人ホームを終の棲家とするのであれば、やはり何らかの対応を考えておくべきです。
例えば子供がいないとか既にマイホームを所有しているというのであれば一般的には売却するか賃貸することになります。
この内、第三者に売却するケースではそれほど問題になりませんが、賃貸する場合には検討しておかなければならない点があります。
それは建物の取得価額をいくらにするかということです。通常のアパートを取得した場合には建物について減価償却できますが、自宅をリフォームして賃貸する場合も当然ながら減価償却できます。
ただし、この場合は常に中古物件になりますので、新築したときから賃貸する時点までの減価分について、当初の取得価額から控除する必要があります。
なお、自宅をリフォームした場合のリフォーム代のうち資本的支出に該当する額は建物の取得価額に加算することになります(資本的支出とは修理することによって価値が増えるか耐用年数が長くなるものです)。
以上は建物を所有している本人が賃貸する場合ですが、ケースによってはその建物を別の人に売却して、それを購入した人が賃貸したほうが有利になるケースがあります。
そのような場合には建物をいくらで売却すべきかが問題になります。 これについては上記で計算した帳簿価額で売却すれば特に問題はありませんが、それより安くすると税務否認を受ける場合があります。
例えば法人を設立して、その法人が賃貸するケースでは時価(帳簿価額)の二分の一以上でなければ時価により売却したものとされてしまいます。いくら安くしたいといっても限度があるということは是非覚えておいて下さい。せっかく所得分散により節税を図ろうとしても否認されたのでは元も子もないからです。
なお、時価の二分の一以上といってもギリギリでは危険なので若干余裕をもたせた金額にしたほうが良いでしょう。
いずれにしても誰が賃貸したほうが有利かをジックリ検討してから取り掛かるようにして下さい。後悔、先に立たずです。