小規模宅地の評価減と駐車場経営
皆様方は小規模宅地の評価減という特例をご存知でしょうか? これは要するに被相続人(亡くなった方)が所有していた土地のうち、一定の面積までは土地の評価額から評価減してくれるというものです。
自宅の敷地であるとか何らかの事業をしていた土地は当然ながらこの特例の対象となりますが、駐車場として賃貸している土地も該当します。
それではどのような駐車場であってもこの特例の対象となるのでしょうか? 残念ながら、これについては次のような一定の条件があります。
<小規模宅地の評価減が適用できる駐車場経営の条件>
①建物または構築物があること
②相当な対価を得て継続的に行なわれていること
まず①の条件ですが、立体駐車場であれば文句なく適用されます。次にアスファルトとかコンクリートで敷き詰められておれば、これらは構築物に該当しますので全く問題ありません。
それでは砂利敷きの青空駐車場はどうでしょうか? 砂利というのは土地に対する定着物ではありませんので残念ながら該当しません。
また同様の理由により、ロープが敷設されている場合も除かれます。ロープなどは簡単に取り外すことができるからというのがその理由です。当然ながら看板などもダメです。
それでは車止めの枕木はどうでしょうか? これについても単に土に埋めているだけではダメですが、セメントで固めている場合はOKです。基準はあくまで簡単に取り外すことができるか否かということです。
次に②の「相当な対価を得て継続的に行われていること」という条件ですが、第三者に賃貸する場合には特に問題となることはないでしょう。
以上、ご説明しましたように、小規模宅地の評価減が適用できるか否かの条件は2つだけです。したがって駐車場の規模とか営業形態は一切問われません。
したがって、極端な話、1台であっても対象となりますが、当然ながら車1台が駐車するのに通常必要とする面積に限られますのでご注意下さい。
100㎡の土地の真ん中にポツンと車1台を駐車させているだけで全体の土地がこの特例の対象となるわけではないということです。
また経営形態を問わないということですから、月極めであろうと時間貸しであろうと関係ありません。いずれの場合も対象となります。
それでは月極めの駐車場として業者に一括して土地を賃貸している場合はどうでしょうか? この場合はオーナーからすると土地の賃貸になりますが、このような形態であろうと全く問題ありません。
なお、この小規模宅地の評価減は200㎡まで50%評価減してくれるというものですが、所有している土地のうち、どの土地に適用するかは納税者の任意です。したがって通常は路線価の最も高い土地から適用します。
以上ご説明しましたように同じく駐車場であっても適用できる場合とできない場合がありますので、評価額が高い場合には適用できるように何らかの対策を打っておくべきでしょう。