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2009年05月24日

小規模宅地の評価減と駐車場経営

皆様方は小規模宅地の評価減という特例をご存知でしょうか? これは要するに被相続人(亡くなった方)が所有していた土地のうち、一定の面積までは土地の評価額から評価減してくれるというものです。

自宅の敷地であるとか何らかの事業をしていた土地は当然ながらこの特例の対象となりますが、駐車場として賃貸している土地も該当します。

それではどのような駐車場であってもこの特例の対象となるのでしょうか? 残念ながら、これについては次のような一定の条件があります。

<小規模宅地の評価減が適用できる駐車場経営の条件>

①建物または構築物があること
②相当な対価を得て継続的に行なわれていること

まず①の条件ですが、立体駐車場であれば文句なく適用されます。次にアスファルトとかコンクリートで敷き詰められておれば、これらは構築物に該当しますので全く問題ありません。

それでは砂利敷きの青空駐車場はどうでしょうか? 砂利というのは土地に対する定着物ではありませんので残念ながら該当しません。

また同様の理由により、ロープが敷設されている場合も除かれます。ロープなどは簡単に取り外すことができるからというのがその理由です。当然ながら看板などもダメです。

それでは車止めの枕木はどうでしょうか? これについても単に土に埋めているだけではダメですが、セメントで固めている場合はOKです。基準はあくまで簡単に取り外すことができるか否かということです。

次に②の「相当な対価を得て継続的に行われていること」という条件ですが、第三者に賃貸する場合には特に問題となることはないでしょう。

以上、ご説明しましたように、小規模宅地の評価減が適用できるか否かの条件は2つだけです。したがって駐車場の規模とか営業形態は一切問われません。

したがって、極端な話、1台であっても対象となりますが、当然ながら車1台が駐車するのに通常必要とする面積に限られますのでご注意下さい。

100㎡の土地の真ん中にポツンと車1台を駐車させているだけで全体の土地がこの特例の対象となるわけではないということです。

また経営形態を問わないということですから、月極めであろうと時間貸しであろうと関係ありません。いずれの場合も対象となります。

それでは月極めの駐車場として業者に一括して土地を賃貸している場合はどうでしょうか? この場合はオーナーからすると土地の賃貸になりますが、このような形態であろうと全く問題ありません。

なお、この小規模宅地の評価減は200㎡まで50%評価減してくれるというものですが、所有している土地のうち、どの土地に適用するかは納税者の任意です。したがって通常は路線価の最も高い土地から適用します。

以上ご説明しましたように同じく駐車場であっても適用できる場合とできない場合がありますので、評価額が高い場合には適用できるように何らかの対策を打っておくべきでしょう。

2009年05月11日

昨日テレビに出演しました

昨日(5月10日 母の日)、フジテレビの「新報道2001」という特番に出演しました(スタジオに行ったのではなく事務所で撮影したものをVTRで放送したものです)。これでテレビ出演は2回目ですが、前回が平成4年ですから、かれこれ17年になります。

17年経ったということは私もそれだけ年齢を重ねたということですが、テレビを見ていると確かに顔に締りが無くなっていたように感じられました。ガク。

ところで前回は宅地並み課税の選択に関する当社のコンサルティングサービスがNHKにおいて取り上げられたのですが、今回も前回と同じく農地の税金に関するものでした。どういうわけか私は農地とご縁がありそうです。

それはさて置き、今回出演するに当たって久し振りに農地の税制、ないし生産緑地の申請状況をいろいろ調べたのですが、宅地化農地の割合が非常に小さくなっていることを発見しました。

17年前には東京の23区内で宅地化農地と生産緑地の割合がだいたい7対3だったのですが、現在はおおよそ2対8でした。

すべての区を調べたわけではありませんが、区によっては1対9というところもあります。つまり宅地化を選択したところはほとんどが宅地に転用しているということです。

考えてみればそれも当たり前です。宅地化を選択しますと固定資産税が一気に上昇しますので農業ではやっていけないからです。

例えば、今回テレビで放送するために特定の農地について宅地化農地の固定資産税を計算したところ、年間で340万円にもなったのです(都内で3000㎡の農地を所有しているという前提)。

都市計画税を含めると500万円近くにもなるのです。これだけの税金を農業収入だけで賄うことなんてできるわけがありません(因みに生産緑地の場合には年間で9240円ですから、何と371分の1です)。

したがって多くの農家の方はアパートとかマンションを建てたり、売却したりして対応されたのだと思いますが、結果としてこのように宅地化農地はドンドン減少していったのです。近い内に宅地化を選択した農地はすべて宅地に転用されると思います。

最近、食料の自給率が40%程度に下がったと騒がれていますが、少なくとも三大都市圏の特定市街化区域内農地については税制改正がモロに影響して農地が減ってしまったということがはからずも証明されたわけです。

ところで今回は三大都市圏以外の農地についてもいろいろ調べたのですが、線引きの変更により市街化区域農地を少しずつ増やしているようです。

一般の農地から市街化区域農地に変更しますと当然ながら農地の固定資産税はアップします。徴収する側の市区町村は税収がアップして良いのでしょうが、支払う側の農家は大変です。それだけ手取り収入が減少するからです。

だからといって、耕作放棄地についてまで安い固定資産税を課税していたのでは非農家にとっては面白くありません。

日本の食糧の自給率を上げ、かつ自治体の税収を維持するためにも耕作放棄地についてはそれなりにキチンと調査する必要がありそうです。