誰の名義で建てるか?
アパートとか賃貸マンションの経営を考えている方の中で、誰の名義で建てるべきか一度は考えたことがあるでしょうか?
例えば、土地を所有している本人が建てるべきか、あるいは、息子が建てるべきかといったことです。
このテーマについて、私は以前、NHK文化センター主催のセミナーでお話したことがありますが、公演時間は実に3時間にも及びました。それほど大きいテーマであるにもかかわらず、残念ながら、ほとんどの方はあまりジックリ検討されていないようなのです。
私が考えるに、どういった問題が潜んでいるのか分からないからというのが、その理由なのではないでしょうか?
しかしながら、誰が建てるかによって、その後の税金は全く異なってきます。以下、簡単にご説明しておきます。
①毎年の所得に対してかかる税金
個人が建てれば所得税とか個人住民税がかかりますが、法人を設立してその法人が建てれば、その法人に法人税とか法人住民税がかかります。そして、後者の場合、法人の役員に役員報酬を支払えば、もらった個人は所得税とか個人住民税がかかります。
②相続が発生した場合に、財産をもらった人にかかる税金
土地を所有しているが亡くなった場合、一定額以上であれば、相続した人に相続税がかかります。この場合、アパート等を誰が建てたかによって相続税評価額がかなり違ってくるのです。
③建物にかかる消費税を還付請求する場合の還付金額
最近、サラリーマンの方もよく勉強されているようで、アパート等を建設した場合にかかる消費税を還付請求するやり方についてよく質問されます。それ自体は別に良いのですが、これについても誰が建てるかによって還付額には相当の開きが生じます。住宅の家賃(売り上げ)には消費税がかからないので、本来であれば建物にかかる消費税(仕入れ)については還付請求できないのですが、やり方によってはそれなりの額を戻してもらうことが可能なのです。
このように誰が建てるかによって各種税金の額がかなり異なってきますが、その人の置かれた立場によって結論が異なってくるのでこれまたヤッカイなのです。単に税金の額だけでないことも、それに輪を掛けています。
ただ、非常に重要なテーマであることには違いありませんので、これからも折に触れて私の考えを書いていきたいと思っています。