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2006年07月20日

誰の名義で建てるか?

アパートとか賃貸マンションの経営を考えている方の中で、誰の名義で建てるべきか一度は考えたことがあるでしょうか?
例えば、土地を所有している本人が建てるべきか、あるいは、息子が建てるべきかといったことです。

このテーマについて、私は以前、NHK文化センター主催のセミナーでお話したことがありますが、公演時間は実に3時間にも及びました。それほど大きいテーマであるにもかかわらず、残念ながら、ほとんどの方はあまりジックリ検討されていないようなのです。
私が考えるに、どういった問題が潜んでいるのか分からないからというのが、その理由なのではないでしょうか?

しかしながら、誰が建てるかによって、その後の税金は全く異なってきます。以下、簡単にご説明しておきます。

 ①毎年の所得に対してかかる税金

個人が建てれば所得税とか個人住民税がかかりますが、法人を設立してその法人が建てれば、その法人に法人税とか法人住民税がかかります。そして、後者の場合、法人の役員に役員報酬を支払えば、もらった個人は所得税とか個人住民税がかかります。

 ②相続が発生した場合に、財産をもらった人にかかる税金

土地を所有しているが亡くなった場合、一定額以上であれば、相続した人に相続税がかかります。この場合、アパート等を誰が建てたかによって相続税評価額がかなり違ってくるのです。

 ③建物にかかる消費税を還付請求する場合の還付金額

最近、サラリーマンの方もよく勉強されているようで、アパート等を建設した場合にかかる消費税を還付請求するやり方についてよく質問されます。それ自体は別に良いのですが、これについても誰が建てるかによって還付額には相当の開きが生じます。住宅の家賃(売り上げ)には消費税がかからないので、本来であれば建物にかかる消費税(仕入れ)については還付請求できないのですが、やり方によってはそれなりの額を戻してもらうことが可能なのです。

このように誰が建てるかによって各種税金の額がかなり異なってきますが、その人の置かれた立場によって結論が異なってくるのでこれまたヤッカイなのです。単に税金の額だけでないことも、それに輪を掛けています。
ただ、非常に重要なテーマであることには違いありませんので、これからも折に触れて私の考えを書いていきたいと思っています。

2006年07月07日

はじめまして、鹿谷哲也です。
特別控除65万円は共有者全員が受けられます

今回より月に2回ほどのペースでブログを始めることにしました。
主な読者は既にアパート等を所有しているオーナーの方とか、近い将来、アパート経営をお考えの方を想定しています。できるだけ皆様方にお役立ていただけるよう、分かりやすく書いていくつもりです。
ご質問とかご意見があれば、ご遠慮なくコメントを書き込んでください。できる範囲でご回答したいと思います。

それではさっそくですが、皆様に43up.jpならではの「アパート経営に役立つ」お話をさせていただきます。

青色申告にすれば様々な特典を受けられますが、そのうちの1つに青色申告特別控除というのがあります。
これは要するに所有している物件の数が「5棟10室」以上であれば65万円、それ未満であれば10万円を課税所得から控除できるというものです。
つまり1戸建ての貸家であれば5棟以上、アパートの場合は10室以上であれば65万円を控除できるということですが、共有の場合はどのように判定することになるのでしょうか?
例えば、10室のアパートを夫が10分の6、妻が10分の4を所有している場合、この5棟10室を判定する場合、どのようになるのかということです。
常識的に考えると、夫は6室、妻は4室になりそうですが、税務の取り扱い上は持分を掛けるということはしません。
つまり、夫も妻もそれぞれ10室を所有していると考えるのです。
したがって、夫婦それぞれが65万円を自分の課税所得から控除できるのです。もし、3人で共有しておればトータルで195万円(65万円×3人)、4人であれば260万円(65万円×4人)を控除できるということになります。
共有というとすぐにモメルからダメだと言う人がいますが、共有でモメルのは通常、兄弟間です。夫婦間とか親子間ではそれほどモメルことはありません。
したがって、それほどもめそうもない場合で、できるだけ所得税を節税したい場合には所有している物件の持分の一部を贈与なり売買で別の人に移転すれば良いということになります。
なお、土地の所有権まで移転しようとすると資金的にも大変ですから、通常は建物だけを対象とします。

どうでしょうか、共有も良いなと思われたでしょうか? チョットしたことを知っているか否かで税金はかなり違ってくるのです。税金でゼイゼイしないためにも勉強に励みましょう!

2006年07月04日

プロフィール

(株)鹿谷総合研究所  代表取締役
公認会計士鹿谷会計事務所  所長
公認会計士・税理士


慶應義塾大学商学部卒業。
1987年(株)鹿谷総合研究所を設立。相続対策等のコンピュータ・ソフトの開発、資産税対策、M&A等を主要な業務とする。この間、高知大学の非常勤講師を勤める。著書に「相続対策失敗実例集」(新評論刊)「アパマン経営・節税テクニック これがすべてです!」(新評論刊)「自分で考えるQ&Aアパート・マンション経営プラン」(ぎょうせい刊)「家主さん、地主さん、もっと勉強して下さい!-デフレ時代を生きぬくために」(新評論刊)などがある。