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2009年03月25日

アパマン投資において大切な3つのチェックポイント

今回はアパートとか賃貸マンションを購入するに当たって必ず守っていただきたい大切なチェックポイントを3つほど、ご紹介いたします。

いろいろな本を読んだり、お話を伺っていて、何となく不動産投資を安易に考え過ぎているキライがあるからです。

①表面利回りとか実質利回りは参考程度に考える。

ご承知のように不動産投資においては表面利回りとか実質利回りといった指標が用いられます。

そして、表面利回りの場合はアパマン経営に係る各種の経費、例えば、固定資産税とか管理費、修繕費等といった通常発生する経費(経常経費)を無視しているからダメだとして、実質利回りを推奨するのが普通です。

ところが実務上は、こういった経費を調査するのに時間がかかったり、正確に分かる人がいなかったりで、とりあえず表面利回りで判断するケースが多いようです。

いずれにしても、これらの指標はあくまで現時点での収入とか経費だけで計算します。ところが家賃収入というのは徐々に減少していきますし、リフォーム代というのは逆に増加していきます。

したがって本来であれば将来の推移についてもシッカリと分析することが必要であるにもかかわらず、利回りを多少高めに設定するといった程度でお茶を濁しているのが実情なのです。

このように利回りだけで判断するには限界があるにもかかわらず、面倒なために家賃収入とか各種の経費について金額ベースで予測しようとしない人が何と多いことか!

もちろん、正確に予測することはできませんが、利回りだけで判断するよりは余程マシです。その理由は金額ベースで将来の収支を予測する場合にはアレコレと考えるからです。

例えば、大規模修繕というのはある程度の期間毎に実施する必要がありますが、類似の物件を調査すれば、修繕費がどれぐらいかかるかは分かりますので、その額を収支に織り込むのです。

ところで、このように将来の推移を予測することはハッキリ言って面倒です。エライ人に、例えば実質利回りで10%以上あればバッチリですよ、と言っていただければこんなに楽なことはありません。

ところが、そうやって購入した場合には失敗する確率が非常に高くなるのです。何故かといえば、当該物件について何も調査しなくなるし、また考えるということもしないからです。

不動産投資というのは毎日のおかずを買うのとはワケが違います。是非、様々な状況を想定してシミュレーションするようにして下さい。

因みにソフトバンクの会長である孫正義氏は、重要な案件を検討する場合には専用のソフトを作って1,000通り以上のシミュレーションをするそうです。さすがですね。優秀な人はデキが違います。

②ゲンブツを自分の目でシッカリと確認する。

中古物件の場合には実に様々なマイナス要因が隠されています。同じような建物で、建てられた時期もほぼ一緒であったとしても、オーナーの考え方次第で建物はまったく違ってきます。

例えば、築20年の物件(鉄筋コンクリート造)が売りに出されていたとしましょう。皆様方はどのような物件を想像されるでしょうか?

私はお客様から依頼されてよく物件を探しているのですが、ゲンブツを見て仰天することがあります。

日頃から、それなりのお金をかけて手入れしておけば、かなり良い状態を維持できるハズなのですが、そうでないケースが圧倒的に多いのです。

日本人というのは本来キレイ好きなハズですが、イザ不動産となるとかなり怪しくなります。「古くなって入居率が下がってきたら売ろう。」と考えているオーナーの何と多いことか!

本来は、「キレイにして入居率がアップしたら売ろう。」と考えるべきなのですが・・・。

これが日本の中古不動産市場の現実です。そうであるならば、ババを掴ませられないようにするためにも必ずゲンブツを調査しなければなりません。

③手仕舞いまでのコストをすべて考慮する。

不動産は出口戦略が重要であると言われておりますが、これは要するに購入した物件を最後に自分の手から離れるまでのすべてのコストを考慮した上で購入するか否かを判断する必要があるということです。

例えば、不動産をいずれ転売するつもりならば、転売に当たっての仲介手数料とか譲渡所得税等を購入する段階から計算しておくべきだということです。

また、最終的に取壊すまで所有するつもりなら、立退き料とか取壊し費用等をキッチリと織り込んだ上で、購入するか否かを判断する必要があるということです。

特に鉄筋コンクリートといったガッシリした物件の場合には取壊し費用が思いの外かかってくる場合もあります。気を付けたいものです。

以上、3点ほど購入するに当たっての注意点を書きましたが、いかがでしょうか? 少しはお役に立てたでしょうか? 

最近は不動産価格がかなり下がっておりますので、いろいろな方が虎視眈々と優良物件を狙っているようですが、くれぐれも単純な利回りだけで判断することがないよう、細心の注意を払うようにして下さい。


2009年03月11日

Jリートは、なぜ5%の物件を購入しても利益が出るのか?

皆様方はJリートが5%程度の物件を平気でガンガン購入しているのをご存知ですか? 

おそらくご存知だと思いますが、それでは、なぜ、そんなに低い利回りの物件でも利益が出るのか考えたことはありますか?

「インカムゲインではトントンだが、キャピタルゲインで儲けてるんじゃないの?」 
このように考えても何ら不思議ではありません。

不動産投資の本とかセミナーでは最低10%は必要であると力説しているわけですから、5%の利回りではどう考えてもやっていけるとは思えないというのがノーマルな考えです。

ところがリートの場合には表面利回りが5%でも十分やっていけるのです。信じられないと思われるでしょうが、これは事実です。

以下、その理由についてご説明したいと思います。まず次の損益計算書をご覧下さい。

収入合計(家賃収入等)     100億円(100%)
必要経費
 資産運用報酬  8億円
 外注委託費   5億円
 水道光熱費   5億円
 租税公課     7億円
 減価償却費  18億円
 その他      6億円     49億円(49%)
   営業利益           51億円(51%)
 支払利息               9億円 (9%)
   経常利益           42億円(42%)

これはあるJリートの実際の損益計算書をわかりやすくアレンジしたものです。収入合計が100億円となっていますが、実際は80億円程度(6ヵ月分)です。

このように収入合計を100億円としたのは、収入に対する各種経費の割合(%)が同時に計算できるからです。例えば、減価償却費が18億円となっていますが、収入に対する割合は18%になります。

ところで、この損益計算書をご覧になってどう思われましたか? 支払利息が何となく少ないと感じられたのではないでしょうか? その通り、通常の場合と比較すると、かなり少ないのです。

それでは通常はいくらほどになるのでしょうか? 具体例でご説明したほうが分かりやすいと思いますので、ここでは表面利回りが10%の物件を全額借金して購入した場合で計算してみましょう。

表面利回りが10%の物件を購入して家賃収入を年間100億円得るためには、次のように全部で1,000億円の物件を購入する必要があります。

☆家賃収入を年間100億円獲得するために必要な物件の購入価格(投資額)
=家賃収入100億円÷10%=1000億円

これを全額借金して購入するわけですから、金利を3%としますと、年間の支払利息は次のように30億円になります。

☆年間の支払利息=1000億円×3%(利率)=30億円

このように我々が通常のやり方で購入した場合には支払利息が年間で30億円もかかるのです。Jリートのように表面利回りが5%の物件を購入した場合には実に60億円もかかります(必要投資額が倍の2000億円となるため)。

それではなぜ、リートの場合にはこのように支払利息が極端に少ないのでしょうか?

結論を先に言えば、リートの場合には投資額に占める借入金の割合が50%ぐらいしかないということと、金利が非常に低いという2つの理由からです。

まず借入金の割合ですが、リートの場合には約半分の資金を投資家から出資してもらい、残りを銀行から借金します(ただし、この割合はリートによって異なります)。

一方、我々が行なう通常の不動産投資の場合にはほとんどの資金を銀行から借金しますので、当然ながら支払利息の額が多くなります(最近は自己資金をかなり要求されるようになりましたが、それでもリートほどではありません)。

次に金利ですが、リートの場合には借入金の金利が非常に低いのです。もちろんリートによって異なりますが、私が調べた限りでは1.2~1.5%程度が多いようです。

また借入金ではなく社債(投資法人債)を発行するケースがあるのですが、その場合の金利は0.8%程度と更に低いのです。

このようにリートの場合には投資額に占める借金の割合が少ないことと、利率が非常に低いことから支払利息が一般の投資と比較して異常に少ないというわけです。利息が少ないと、当然ながら利益の額はそれだけ多くなります。

以上は損益計算の観点からリートの場合には利回りが低くても十分ペイできるということを説明したわけですが、キャッシュフローを良くするもう1つの理由がリートにはあるのです。

それは借入金の返済が期日一括返済なので実質的に元金を返済する必要がないということなのです。

どういうことかと言うと、例えば5年返済の場合(リートの場合には3~5年返済が多い)、5年間は利息だけを支払い、5年後に元金を一括返済すればいいのです。

要するに元金据置型なのです。このように書くと5年後の返済原資はどうするのか気になると思いますが、その時点で新たに借り換えればいいのです。

いかがですか? 金利が低くて元金の返済も実質的に不要だということになれば、5%程度の物件でも十分やっていけそうですね。

このようなことをまったく知らないで、上場しているリートが購入しているのだから我々が購入しても特に問題はないと考える人がいたとしたら、その方は間違いなく不動産投資で失敗するでしょう。十分お気を付け下さい。