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2006年10月25日

アパートか、戸建貸家か?

最近、戸建ての貸家が注目されているようです。その理由の1つがアパートの供給過剰にあるということのようです。
ご承知のとおり、日本では今年から人口の減少が始まりましたが、このままいけば需要より供給が上回り、空室がドンドン増えてニッチもサッチもならない状態になるというワケです。

私も人口が減少していくという予想は当たっていると思います。若い人が子どもを生まなくなったのですから当然ながら人口は減っていくでしょう。
私のように子どもを4人ぐらい生みますとドンドン人口が増えて日本は活気づくと思うのに現状は残念ながら減る一方です。どうして子どもを生まなくなったのでしょうか? 子どもが多いと毎日が楽しくて仕方がないと思うのですが(たまにうっとうしいときもありますが・・・)。

それはさておき、建物というのは建てれば建てるほど増えていきます。つまり取り壊さなければ物件の数が増える一方なのですから、たとえ人口が一定であっても空室率が高くなるのは当たり前なのです。こんなことぐらい勉強のキライな小学生でも分かります。
ところで、このように全体の空室率が高いということに対してそれほど神経質になる必要はないというのが私の考えです。その理由はもともと空室を減らそうと努力していない物件が相当数存在するからです。

建物の空室を減らす方法には様々なものが考えられます。例えばリフォームをするというのもその1つです。考えてみれば当たり前なのですが、建物というのは時と共にだんだん古くなっていきます。それなのに、なぜリフォームして小奇麗にしないのだろうといつも思うのですが、これはどうもその人の生まれた環境とか性格によるのではないかと考えています(育ちの問題?)。要するに、空室だ、空室だと騒ぐばかりしてやるべきことをやっていない人が多いようなのです。
これでは空室にならないのが不思議です。そんな物件についても空室率の計算対象にしているのですから、空室率の統計自体イイカゲンだと考えるべきなのです。

これはまったく失業率を計算する場合と同じです。失業率の計算では働く気があり、実際に仕事を探している人を対象にしますが、空室率の場合だって本来は同じやり方で計算すべきなのです。要するに貸す気があるだけではダメで、それを態度で示す必要があるということです。借りていただく努力をし続けなければならないということです。

以上で空室率についての考え方はだいたいご理解いただけたと思います。つまり、平均的な空室率はほとんど気にする必要はないということです。
一方、気をつけていただきたいのは空室率の中身です。新築の物件がドンドン増えた結果、空室率が高くなっているのであれば問題です。その理由は新しい物件同士で競争しなければならないからです。
場所にもよりますが、回りに新築の物件がたくさんあり、それらがかなりの割合で空室になっているようであれば、しばらく建築は見合わせるべきでしょう。シンドイだけだからです。

このようにアパートの場合は場所により既に競争が激化しているところがありますが、一戸建ての貸家はどうでしょうか? 私の知る限り、供給が需要を上回っている場所というのはそれほどないようです。その理由は貸家の場合、一般的にアパートより収益性が低いため、今まで供給が少なかったからです。

また、一戸建ての貸家の場合、最初から貸す目的で建てた物件はあまりありません。どちらかといえばマイホームを何らかの都合で賃貸に出しているケースが圧倒的に多いようです。 
このように一戸建ての貸家は物件数自体が限られていますし、あったとしても間取り的にかなり古いタイプのものが多いようです。

したがって、もしご自分の土地が立地的にそれほど良くないとか、広さもそれほどないといった場合は戸建ての貸家も選択肢の一つにされてはいかがでしょうか?

2006年10月12日

相続対策の王道はやはりアパマン経営です

相続対策には節税、納税、遺産分割の3つがありますが、今回は節税について書いておきます。相続税の節税というと毎年、相続人とかお孫さんに少しずつ財産を贈与するというのが一般的です。贈与税というのは毎年少しずつ贈与するのであればそれほどかかりませんし、贈与の場合は貰った人のうれしそうな顔を直接見ることができるからやりがいがあるのです(相続の場合はそのようなことは期待できません)。
したがって、ある程度の資産家であれば、ほとんどの方が何らかの形で実行されているようです。ただし、贈与が有効なのは一般的には金融資産です。その理由は不動産の場合はコストと手間がかかるからです。

このように贈与という方法は一般的に金融資産に限られるのですが、それでは財産のほとんどが土地であるといった場合はどうすれば良いのでしょうか? これについてはアパートとか賃貸マンション等を建てるという方法が一般的です。

それではなぜアパートとか賃貸マンションを建てれば相続税が安くなるのでしょうか? たとえ建築費を支払うための借入金は相続財産から控除できるといっても建物という財産が増えるわけですから差し引きトントンではないかと思えるからです。

これについては既にご存知とは思いますが、建物の相続税評価額が建築費に比べてかなり安いというのがその理由です。例えば、1億円のアパートを建てた場合、そのアパートの相続税評価額はだいたい3500万円になります。2億円であれば7000万円程度です。したがって、その差額が評価減になるというわけです。
それではなぜ、このように評価額を安くしているのでしょうか? 私が考えるに、やはり国としても建物を建ててほしいのです。民間が建てなければ公的部門が建てなければなりません(例えば公的住宅)が、それでは国の借金が膨らむ一方です。もし、民間が建ててくれれば借金が膨らむこともありませんし、毎年の固定資産税だって収入として期待できるのです。
このように一種のアメとして評価額を低く抑えているのだと考えられます。

いずれにしましても新規にアパートとか賃貸マンション、あるいは貸事務所、貸店舗等を建てれば相続税がかなり安くなるということだけは事実です。あとは、いかにして優良な入居者を見つけてくるかということですが、このようなことは当然ながら企画段階で詳細に煮詰めておくべきものです。

ところで私も相続対策として今まで数多くの建築プランをご提案してきましたが、自分が関わった建物というのはやはり愛着があるものです。皆様方も、もし遊休地があるのであれば、ご自分の意見をできるだけ反映させた良い「作品」を作るようにして下さい。
なお、実行される場合には是非ご家族の意見を事前に聞くようにして下さい。いくら離れて生活しているからといって自分の知らないうちに建物という大きなハコができていると、どなたも面白くないものです。せっかく相続対策として相続税を安くしておきたいと考えていたとしても勝手にやったのでは嫌われるのがオチです。