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2007年05月18日

建築中に相続が発生した場合の相続評価はこうなる

相続対策としてアパートとか賃貸マンションを建てる人は多いのですが、運悪く建築中に事業主であるお父さまが亡くなるというケースもあります。

このようにアパート等が完成する前に相続が発生した場合にはどのように評価するのでしょうか? これについては次のように評価することになっております。

(1) 土地・・・・自用地(更地)として評価します。つまり何の評価減もないということです。ただし、建て替えのケースでは「小規模宅地としての評価減」は適用できます。

この「小規模宅地としての評価減」というのは賃貸物件の敷地については全部で200㎡までについて50%だけ減額してくれるというものです。つまり、今までの事業を継続するためにアパートを建て替える場合には、たとえ建築中であったとしてもその敷地についてこの特例を適用できるということです。

建て替える前に相続が発生していたら適用できたのに、建て替えたばかりに適用できなくなったのでは可愛そうだということでこのような取扱いになっているわけです。

(2) 建物・・・・原則として、それまでに支払った費用の70%相当額で評価します。つまり、30%の評価減になるわけです。そうすると建築費全額を契約時点で支払っても70%で評価できるのかという疑問が生じますが、これについては税務は次のように規定しています。

つまり、「工事進行度合いに応ずる費用」に対して70%相当額で評価するとしているのです。これについては若干分かりずらいので具体例を挙げてご説明することにします。

例えば、ハウスメーカーと1億円の工事請負契約を締結し、その工事が2分の1程度完成した時点で相続が発生した場合で考えてみます。

このケースで、もしハウスメーカーにそれまでに6000万円支払っていた場合、工事進行度合いに応ずる5000万円(1億円×1/2)については70%で評価するが、5000万円を超える1000万円(6000万円-5000万円)については前渡金として、そのままの額を資産として計上しなければならないというわけです。

つまり、建物については3500万円(5000万円×70%)で評価し、前渡金については額面どおり1000万円で評価することになりますので合計額は4500万円となります。

6000万円というお金が4500万円で評価されるわけですから、4500万円から6000万円を差し引いた1500万円だけ全体としては評価減になります。

このように建て替え期間中であっても若干は評価減になるということですが、できればこのようなことにならないよう、できるだけお父さまがお元気なうちに計画すべきでしょう。自分が計画した建物が見られるということはこの上なくうれしいものです。

2007年05月11日

アパートを建て替え中の土地の固定資産税は?

ご承知のとおり、住宅用地の固定資産税については税負担の軽減のため次のように課税標準の特例措置が設けられています。

小規模住宅用地(注1)の課税標準・・・・・固定資産税評価額×1/6(都市計画税は1/3)

一般住宅用地(注2)の課税標準・・・・・・・固定資産税評価額×1/3(都市計画税は2/3)

(注1)小規模住宅用地とは住宅の敷地で住宅1戸につき200㎡までの部分
(注2)一般住宅用地とは住宅の敷地で住宅1戸につき200㎡を超え、住宅の床面積の10倍までの部分

課税標準というのは税率をかける基となる金額のことです。例えば、土地の固定資産税評価額を6000万円とすると課税標準は6分の1の1000万円になるということですから、固定資産税の税率を標準の1.4%とすると税額は14万円になります(都市計画税は課税標準が2000万円(6000万円×1/3)ですから、2000万円×0.3%で6万円)。

ところで固定資産税というのは1月1日現在の所有者に課税されるわけですが、アパートを建て替える場合はどうなるのでしょうか? 例えば、既存のアパートを今年の8月に取り壊し、来年の2月に完成するケースを想定してみましょう。

この場合、来年の1月1日現在は当然ながら工事中です。工事中の建物というのは人が住めない状態ですから、住宅の敷地ではないということで上述しました課税標準の特例は受けられないのでしょうか? 

普通に考えたらそのような結果になるのですが、それでは可愛そうだということで、次の条件を全て満たす場合には引き続きこの特例を受けられることになっています。

1. 当該年度の前年度の賦課期日(1月1日)において住宅用地であったこと。

2. 住宅の新築が、建替え前の住宅の敷地と同一の敷地において行われること。

3. 当該年度の前年度の賦課期日における建替え前の住宅の所有者と建替え後の住宅の所有者が同一であること。

4. 当該年度の賦課期日において、次のいずれかに該当していること。

ア.住宅の新築工事に着手していること。

イ .住宅の新築について、建築基準法の規定に基づく建築主事の確認済証または、指定確認検査機関の確認済証の交付を受けており、かつ、直ちに住宅の新築工事に着手するものであること。

ウ.住宅の新築について、建築主事または、指定確認検査機関に確認申請書を提出していること。ただし、確認申請書に基づく確認済証の交付後、直ちに住宅の新築工事に着手すること。 

これらの条件はそれほど難しいものではありませんので、建て替えを検討している人にとっては一安心といったところではないでしょうか。