2010年07月27日

フリーレント契約と賃貸料の税務上の取扱い

今回はフリーレント契約に係る賃貸料の税務上の取扱いについて解説しておきたいと思います。

ご承知のように家賃等の収益計上時期は"契約または慣習により支払いを受けるべき日の属する年度"の収益に計上することになっています。

ところが、この規定は定期的に支払いを受ける賃料等を想定しているものであり、フリーレントについて規定しているものではありません。

それではフリーレントの場合、どのように処理することになるのかということですが、これについては「週刊税務通信」(会計専門家向けの雑誌)によれば実務上、次のように取り扱うことになっているようです。

なお一口にフリーレント契約といっても中途解約が可能なものと中途解約が不可能なものに分かれていますので、税務上の取扱いも当然ながらそれぞれで異なります。以下、これらについて具体例を設けてご説明することとします。

<具体例>

・賃貸契約期間・・・・・3年
・賃貸料・・・・・・・・30万円/月
・フリーレント期間・・・3ヵ月

<中途解約できるフリーレント契約の場合>
(1年目)
   実際の賃料収入   30万円×9=270万円
   税務上の収益計上額 30万円×9=270万円 
    (借方) 現金 270万円 / (貸方) 賃料収入 270万円

※実際の収入金額をそのまま税務上の収益計上額として処理すれば良いということです。2年目、3年目も同様です。

(2年目)
   実際の賃料収入   30万円×12=360万円
   税務上の収益計上額 30万円×12=360万円 
    (借方) 現金 360万円 / (貸方) 賃料収入 360万円

(3年目)
   実際の賃料収入   30万円×12=360万円
   税務上の収益計上額 30万円×12=360万円 
    (借方) 現金 360万円 / (貸方) 賃料収入 360万円

<中途解約できないフリーレント契約の場合>
(1年目)
   実際の賃料収入   30万円×9=270万円
   税務上の収益計上額 
     賃貸期間の合計賃料990万円(30万円×33ヵ月)×12/36=330万円
    
    (借方) 現金  270万円 / (貸方) 賃料収入 330万円
       未収入金 60万円 / 

※中途解約できないということは賃貸借期間である3年間の賃料収入が確定しているということですから、3年間の合計賃料を3年で均等按分した額を毎年の収入として計上すべしと考えるのです。

この事例では当初3ヵ月分についてはフリーレントということでタダにするわけですから、賃貸期間の合計賃料は990万円(30万円×33ヵ月)になります。

そして、この額を均等按分しますので1年目の収益計上額は330万円(990万円×12/36)になるというわけです。

なお実際の入金額は270万円ですから差額の60万円は未収入金として処理することになります。

(2年目)
   実際の賃料収入   30万円×12=360万円
   税務上の収益計上額 330万円 
    
    (借方) 現金  360万円 / (貸方) 賃料収入 330万円
                  / (貸方) 未収入金  30万円

※このように1年目とは逆に、2年目の入金額は360万円ですから差額30万円を未収入金から取り崩すことになります。3年目も同じ。

(3年目)
   実際の賃料収入   30万円×12=360万円
   税務上の収益計上額 330万円 
    
    (借方) 現金  360万円 / (貸方) 賃料収入 330万円
                  / (貸方) 未収入金  30万円  

いかがですか。一口にフリーレントといっても中途解約ができる場合とできない場合では税務上の会計処理はかなり違ってきますので十分ご注意下さい。


2010年07月12日

払い過ぎた税金を取り戻す方法

今回は「払い過ぎた税金を取り戻す方法」についてご紹介したいと思います。

常識的に考えると、払い過ぎた税金は修正申告によって簡単に取り戻すことができそうですが、税の実務ではそう簡単ではありません。一定の手続きが必要なのです。

「でも、当初申告した税額が少なかった場合には修正申告によっていつでも税額を修正することができるじゃないですか?」との疑問を抱かれると思いますが、それはあくまで当初申告した税額が本来の正しい税額よりも少なかった場合です。

「払い過ぎた税金を還付請求する」ケースというのは当初申告の税額よりも正しい税額のほうが少ない場合ですが、このような場合には修正申告は認められないのです。

「それではどうするんだ?」ということですが、これには2つの方法があります。1つ目が「更正の請求」であり、2つ目が「減額更正の嘆願」です。以下、順番にご説明いたします。

まずは「更正の請求」から。これは当初申告した税額が本来の正しい税額よりも過大となった場合に、税務署長に対して税額の減額をしてくれるよう申請するというものです。

このように更正の請求は税務署長に対して減額の申請を請求するものですが、この請求はいつでもできるわけではありません。一定の期限があるのです。通常の更正の請求では法定申告期限から1年以内となっており、この期限を1日でも過ぎたらアウトです。

また、本来の正しい税額よりも過大となったからといって、どんな場合でも認められるわけではありません。「その税額の計算が税法の規定に従っており、計算に誤りがない」場合には認められないのです。例えば次のようなケースです。

<更正の請求が認められないケース>

①小規模宅地の特例の適用を受けるケース・・・この特例は納税者にとって最も有利になるように適用する宅地を選択することができるわけですが、一旦選択しますと別の宅地に変更できません。

②仕入税額控除の計算方法を選択するケース・・・消費税の計算方法については個別対応方式と一括比例配分方式の2つの方法が認められておりますが、一旦選択した方式を別の方式に変更することはできません。

これ以外にも様々なケースがありますが、いずれの場合も2つ以上の選択肢から任意に選択できるものについては更正の請求によって別の有利なほうに変更することはできないことになっております。

このように一旦選択しますと取り返しがつかなくなってしまいますので、事前によくシミュレーションしてから有利なほうを選択するようにして下さい。

なお、以上はあくまで法定申告期限の翌日から1年以内に更正の請求をするケースです。法定申告期限内であればいつでも何度でも申告し直すことが可能です。この場合には後の日付の申告書が採用されます。

以上が「更正の請求」に関するあらましです。それでは次に「減額更正の嘆願」についてご説明いたします。

減額更正の嘆願とは文字通り、税務署長に対して税金を減額してくれるようにお願いするというものです。正に「嘆願」です。

法定申告期限から1年以内であれば上記の更正の請求をすれば良いわけですが、この期限を過ぎた場合にはもはや更正の請求はできません。

そこで納税者としては更正の請求に代えて、この「嘆願」をするわけです。ところでこの「嘆願」は税務署長に対して法的な拘束力を有するものではありません。

したがって税務署長がこれを無視して減額更正の処理を行なわず放置したとしても法的には「不作為」として責任追及することはできません。だからといって明らかに還付請求できる事案についてほったらかしにすることは無いと思いますが・・・。

なお、この減額更正の嘆願は法定申告期限から5年以内であれば可能です。もし、この期限を過ぎた場合にはどうすることもできませんので十分ご注意下さい。


2010年06月27日

空室増加への対応策

今回はアパマン経営者にとって最も頭の痛い空室増加への対応策について考えてみたいと思います。

実は私のお客様で都民住宅を経営している方がいらっしゃるのですが、その方から最近空室を減らすための対応策について相談を受けたのです。

ご承知かどうか分かりませんが、都民住宅というのは特定優良賃貸住宅という制度を使って建てた東京都が管轄する賃貸マンションのことです。

ところで、この都民住宅の場合、入居者には家賃の補助が受けられますので非常に人気が高かったのですが、この家賃補助額は毎年減少していき、最終的にゼロになります。

また、この家賃補助額は収入によって違いがあるため毎年収入を証明しなければなりませんが、これが意外と面倒なのです。

このようなことから、このお客様の物件についても空室が徐々に増えてきたわけですが、空室が増えてきた場合、皆様方はどのように対応されていますか? 一般的に考えられる方法としては次のようなものが考えられます。

<空室が増えてきた場合の一般的対処方法>
①家賃を下げる。
②家賃以外の礼金とか敷金等の一時金を少なくする。
③リフォームをする。
④仲介業者にメリットを与える。

以下、順番に解説しておきます。まず①の家賃を下げる方法ですが、市場家賃よりもかなり高いようであれば早急に下げるべく行動に移す必要があります。

自宅を引っ越す場合には引越代とか仲介手数料等、様々な経費がかかりますので多少の家賃の違いであればおいそれとは出て行かないでしょう。

しかしながら、現在のようなデフレの時代において長期間住み続けていた場合には他の物件と比較して相当家賃が高くなっているハズです(デフレであっても通常は家賃を下げないため)。

それにもかかわらず家賃を据え置いている場合には入居者にとってはデメリットしかないので、家賃を下げなければ当然に退去者が続出することになります。

なお現在入居している人の家賃を下げるべき否かについては非常に難しい判断を要しますが、市場家賃と比較してかなりの開きが生じている場合には更新時にこちらから値下げを提案されたらいかがでしょうか? 

先方から何も言ってこないからといってそのままにしているケースが多いと思いますが、入居者は不満を持っているものなのです。既存のお客様を大切にすることは商売の基本中の基本です。

次は②の家賃以外の礼金とか敷金等の一時金を少なくするという方法ですが、これについてはできるだけ柔軟に対応すべきでしょう。

家賃の1、2ヵ月程度であれば、空室が続くことを考えれば大したことはありません。不動産賃貸業も立派な事業であり、他の物件と比較して有利な条件でなければお客様は見向きもません。このことを今一度ジックリと考えていただきたいと思います。

次は③のリフォームをするという方法ですが、これについては家賃との見合いで考える必要があります。

リフォームをしなくても家賃が安ければ意外と入居者は見付かるものです。これについて実例を1つ挙げておきます。

実は私のお客様が所有する物件で2年先には建て替え予定のものがありますが、現在定期借家契約にしております。

定期借家契約というのは要するに期限が来たら必ず立ち退く必要があるものですが、家賃を安くしているため現在は満室なのです(全部で27室)。

なお、この物件は建て替えることが前提なので原状回復義務はありませんので、壁に釘を打ってもOKです。やりたい放題です。このイイカゲンさが受けているのかも?

このように特殊なケースではリフォームをする必要はありませんし低家賃戦略で行く場合にはそのままで良いのですが、それなりの家賃を貰いたい場合にはリフォームは必要条件です。

そして最後の④仲介業者にメリットを与えるという対策ですが、これは要するに仲介手数料以外のメリットを仲介業者に与えるというものです。

例えば、仲介手数料以外に家賃の1ヵ月分を広告宣伝費として別途支給するとか、営業マン個人に商品券のポイントを与えるといったことです。

東京都のように世帯数が増えている地域は別として、ほとんどの地域では全体のパイが縮小していますし、今後の回復もほとんど期待できません。

このような厳しい状況下、如何にしてご自分の所有する物件をアピールするかが大切になってくるわけですが、そのためには本来の報酬以外に魅力的なインセンティブが必要になるということです。

不動産所得は確かに「不労所得」ではありますが、それは入居者が決まった後のことです。それまでは一定の投資が必要になるということですからクレグレも間違えないように!

2010年06月11日

グループホームを考える

今回は土地活用の一つとしてのグループホームを取り上げてみたいと思います。

実は先日、顧問をしているハウスメーカーの担当者からグループホームを建てた場合の相続税対策としての効果等について質問があったのです。

グループホームの意義についてはある程度ご存知だと思いますが、要するに

「認知症の方が小規模な生活の場で少人数(5人から9人)を単位とした共同住居の形態で、食事の支度や掃除、洗濯などをスタッフが利用者とともに共同で行い、一日中家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることにより、認知症状の進行を穏やかにし、家庭介護の負担軽減に資する」施設のことです(全国認知症グループホーム協会のホームページより)。

つまりオーナーから見れば、認知症の方向けの集合住宅を建設して介護事業者に一括して賃貸するというものですが、通常のアパート等と違っている点をまとめますと次のようになろうかと思います。

<通常のアパート等と違っている点>

①入居者の人数が5~9人に限定されている。通常のアパートとか賃貸マンションの場合には敷地の広さに応じて戸数は千差万別ですが、グループホームの場合はスタッフと入居者が「家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ること」を主眼としているため、このような制限が設けられているのです。

ただし、土地に余裕がある場合には複数のユニットを設けることができます。例えば、1階と2階にそれぞれ9室を設ければ全部で18室になります。

②各ユニットには共同の居間・食堂・台所、トイレ、浴室等、およびスタッフルーム(事務所)が必要。つまり独身寮のようなものです。

ところで、このグループホームについては施設が不足しているということで国とか各自治体から補助金をもらえるケースがあります。

金額については自治体によってかなり違っているようですが、建設費について補助金を貰った場合、会計処理はどのようになると思われますか?

例えば1000万円貰った場合、この1000万円は入金のあった年度の収入として確定申告する必要があるのでしょうか?

もし、そんなことになれば建築費が足らなくなってしまいます。そこで収入に計上するのではなく建物の取得価額から控除することにしているのです。

「建物の取得価額から控除」しますと減価償却費の計算対象が減りますが、減価償却費が少なくなれば当然ながら不動産所得が増えます。そして不動産所得が増えればそれだけ所得税等が増加するというわけです。

「なんだ、結局、補助金はすべて取り戻されるのか!」、と心配することなかれ。所得税等の税率は人により異なりますがせいぜい20%程度。したがって1000万円の補助金の場合、取り戻されるのは多くて200万円。残りの800万円は貰いドクというわけです。

ところでグループホームを建設した場合の相続税対策としての効果はどうなるのでしょうか?

これについては通常のアパート等を建てた場合と同じです。補助金は建物の固定資産税評価額とはまったく関係ありません。

なお、相談を受けた事例は父親と娘さんの両方の敷地を利用するようになっておりましたが、相続税の節税のためには全額借金して父親が建てたほうが有利になります。

いずれにしてもグループホームは全国的に不足しているようです。したがって、敷地条件から通常のアパートでは入居者を探すのが難しいようであれば、こういった介護施設を建設するのも一考に値するのではないかと思います。


2010年05月27日

収益物件の購入は相続税対策として有効か?

相続税の節税対策と言いますと、毎年お子様に少しずつ財産を贈与するとか所有地にアパート等を建設するというのが一般的ですが、収益物件を購入するという対策は果たして相続税対策として有効なのでしょうか?

これについてはケースを分けて論じる必要があります。つまり金融資産をたくさん所有しているケースと、そうではないケースです。

土地を売却するなりして多額の金融資産を所有している場合には、その金融資産で都心にある築浅の区分所有マンションを購入すれば確かに相続税は安くなります。

私もお客様から物件の紹介を依頼されるケースがありますので調査する機会が多いのですが、比較的高層の建物の場合には相続税評価額が時価の3分の1程度になります。

そして、こういった物件の場合、利回りはそれほど高くないのですが、全額を自己資金で購入するわけですからキャッシュフロー上もまったく問題ありません。

以下、簡単な事例で解説します。

<全額自己資金で区分所有マンションを購入した場合>

・物件価格・・・・・1戸当たり1300万円×10戸=1億3000万円
・相続税評価額・・・土地2800万円、建物1200万円、合計4000万円(時価に対する割合           30.7%)
・利回り・・・・・・表面6.5%、実質4.5%

「相続税対策として効果」
  評価減額・・・1億3000万円-4000万円=9000万円 
  節税額・・・・3000万円(9000万円×税率30%のケース)
「毎年の手取り収入」
  1億3000万円×4.5%=585万円(所得税控除前)

いかがですか? 金融資産1億3000万円で収益物件を購入しますと、それだけで相続税が3000万円安くなりますし、また毎年の手取り収入が585万円増えるのです。借金がゼロですから、たとえ空室が発生してもそれほど大きな問題にはなりません。

このように金融資産がたくさんある場合には、都心にある築浅で管理の行き届いた物件を購入することで相続税という難題をクリアーすることができるのです。
  
それでは所有する物件が不動産等だけで金融資産があまりない場合はどうでしょうか? 実際はこういったケースが多いのですが、このようなケースでも収益物件の購入は相続税対策として有効なのでしょうか?

これについては既にお分かりだと思いますが、収益物件の購入は実際上難しいのです。金融資産がほとんど無いわけですから借金するしかありません。

ところが利回りが実質で4.5%しかないのですから、キャッシュフローはおそらくマイナスになります。

4.5%もあるのだから金利を3%としても十分やっていけるのではないかと考える人がいたとすると、その方は不動産投資とか借入金の仕組みがまったく分かっていないのです(業者からすると、こういったお客様はカモです)。

今回はこれらの仕組みについての解説はしませんが、4.5%程度の物件を全額借金してやっていけるワケがないのです(詳しく知りたい方は、小著「アパマン経営、なぜ失敗するのか?」の中の「Jリートの場合、なぜ表面利回りが5%の物件でも利益が出るのか?」を参照して下さい)。

このように説明すると、それではもう少し利回りの良い物件ではどうなのかと考える方がいらっしゃると思いますが、確かにもっと良い利回りの物件はあります。

例えば、かなり年数が経っているとか、地方・郊外物件です。このような物件の場合には全額を借金して購入してもキャッシュフローはプラスになるケースが多いと思います(このような物件の場合、確かにリスクはありますが、他に収入がかなりある方であればリスクテイクできます)。

しかしながら今回私が提起した課題は相続税対策です。相続税対策のためには物件価格と相続税評価額との間にかなりの開きがなければなりませんが、利回りの高い物件の場合には両者にほとんど差がないのです。

場合によっては相続税評価額のほうが時価よりも高いケースがあります。このことは特に建物について言えます。建物の相続税評価額は固定資産税評価額とイコールですが、固定資産税評価額は建物というハードに対して付けられるものです。

そして、いったん付けられた評価額は計算の仕組み上、徐々にしか下がりませんので需給関係によっては時価が逆転するケースはよくあるのです(以前は建物の価値は15年でゼロになると言われておりました)。

いかがですか? 金融資産のあまりない方が相続税対策のために収益物件を購入するという選択肢はほとんどありえないということが理解できたでしょうか?

ただし、所有している不動産を現金化して収益物件を購入するというやり方はアリです。上述しました金融資産をたくさん所有している方の場合も、そもそもは不動産等を売却したからこそ資金ができたのです。

このように収益物件を購入する対策一つとっても、その人の状況によって有効である場合もあればダメな場合もありますし、組み立て方によって有効になるケースもあるというわけです。

こんな当たり前のことがまったく分からないまま実行に移す人がナント多いことか! 是非、皆様方は頭が擦り切れるまで考えてからトライするようにしていただきたいと思います。

2010年05月11日

ほとんどが金融資産である場合の相続税対策は、こうする!

今回は所有財産のほとんどが金融資産である場合の相続税対策について私の考えを述べたいと思います。

ほとんどの資産が金融資産である場合、納税は可能ですが節税対策には全くなっておりません。額面金額に対してそのまま課税されるからです。

一方、不動産の場合は通常は時価よりかなり低い評価になりますので、時価との差額が評価減になるわけです。

このようなことから、所有資産のほとんどが金融資産である場合には金融資産から不動産へと資産の組み換えを行なうケースが多いのです。

そこで今回は不動産の中でも一般的なマイホームを取得するケースと、アパートとか賃貸マンションを取得するケースを取り上げてご説明したいと思います。

まずはマイホーム。ご承知のようにマイホームの敷地については240㎡まで80%評価減(20%評価)になるという小規模宅地としての評価の特例を適用できます。

例えば、面積が200㎡、時価が1億円(50万円/㎡)、路線価が40万円/㎡の土地の場合の相続税評価額は次のようになります。

◎土地の相続税評価額・・・40万円×200㎡×(1-80%)=1600万円

したがって1億円-1600万円=8400万円の評価減になるというわけです。

また建物に関しても相続税評価額(=固定資産税評価額)は建築費の約50%になりますので、建築費が3000万円であれば1500万円の評価減になります。

両方合わせて9900万円、約1億円です。もし相続税の実効税率が30%だとすれば、マイホームの取得だけで3000万円の節税になるというわけです。

ところで以上は土地を購入した上で新築住宅を建てるという前提なのでどうしても時間がかかってしまいます。

そこで、もし比較的短期間に節税効果を享受したい場合には中古の戸建とかマンションを検討すれば宜しいかと思います。

次はアパートとかマンションといった収益物件を購入するケースです。具体的な節税の仕組みについては省略いたしますが、自宅が無い場合(賃貸物件に住んでいる場合)とか区分所有のマンションに住んでいる場合には小規模宅地としての評価減を使うことができますので、かなりの評価減になります。

小規模宅地としての評価減とは要するに200㎡までの敷地について50%評価になるというものですが、この特例を使えばかなりの評価減になるのです(自宅がある場合には通常そちらについて適用しますので、アパマンの敷地については適用できません)。

私が実例を基に調べたケースでは都内の賃貸マンションの場合、相続税評価額が20%程度になっていました。もちろん物件によって異なる場合がありますが、100のものが20として評価されるわけですから、その効果たるや凄まじいものです。

ところで賃貸物件の場合、入居者がいるかどうか心配になる方がいらっしゃると思いますが、所在場所と管理会社を間違わなければほとんど問題ありません。

まして全額を自己資金で購入する場合には入居者が現れるまで家賃を下げることができますので、リスクという観点からはほとんど問題がないのです。

なお、それでもイヤだという方は購入しなければいいだけの話です。国も税収が減って大変な時期ですから、できるだけ多く納税していただいたほうが良いのです。

税収で貢献するか住宅という居住空間の提供で社会に貢献するかは、その方の考え方次第です。

なお賃貸物件を購入する場合、当面の税収(相続税)は減少しますが、毎年の所得税とか固定資産税等を支払うことになりますので、この面からも社会貢献になるのです。


2010年04月27日

建物を現物出資するという選択肢

私は小著で様々な節税方法についてご紹介してきましたが、今回はそれらの著書では触れなかった現物出資という方法についてご説明したいと思います。

現物出資というのは金銭出資に対応する概念ですが、有価証券とか不動産といった現物を金銭の代わりに出資するというものです。新規に法人を設立する場合だけでなく増資する場合も利用できます。

ところで法人を使った節税方法には①不動産管理会社を設立する方法と、②不動産所有会社を設立する方法の2つのやり方がありますが、この現物出資という方法は②の不動産所有会社の範疇に属するものです。

つまり次のように整理することができます。

<法人を使った節税方法の分類>

①不動産管理会社の設立・・・現金出資による方法のみ

②不動産所有会社の設立・・・現金出資による方法と、現物出資による方法に分かれる。

このうち不動産管理会社については既にご存知だと思いますし所有会社とは基本的考え方が異なりますので、今回は不動産所有会社についてだけ相互に比較する形でご説明したいと思います。

まず現金出資により不動産所有会社を設立する方法ですが、この場合には出資者は次のように分かれます。

イ.親だけが出資するケース
ロ.子だけが出資するケース
ハ.親と子の両方が出資するケース

これらのうち、いずれを採用するかはその時の状況によって異なりますが、「イ.親だけが出資するケース」は当事務所のお客様の中にはほとんどありません。あったとしても子供がいないケースぐらいです。

なお、子供が出資する場合で出資する資金を子供が持ち合わせていない場合には、親が贈与したり貸し付けたりします。そして貸し付ける場合には子供に支給する役員給与から返済してもらうことになります。

ところで、親が出資しますと出資の対価としてもらうことになる株式(有限会社等は出資という)が相続財産になりますが、ほとんどを役員給与として支給すれば評価額がそれほど上がりませんので、それほど心配する必要はありません。

また、もともと相続税がほとんどかからないという場合にはどなたが出資者になっても全く問題にならないわけです。

一方、現物出資による方法は現物を持っている人が出資者にならざるを得ません。例えば建物を現物出資する場合、建物を所有している親が当然に出資者になるわけです。

そうしますと出資の対価としてもらうことになる株式が相続財産になるわけですが、多額の役員給与を支給すれば法人にはほとんど資産が残りませんので、株式の評価もタダ同然というわけです。

それでは現金出資による方法と現物出資による方法では、どちらが相続税の節税になるのでしょうか?

これについては少し考えていただくと分かるのですが、ほとんどの場合、現物出資によるほうが有利になります。

その理由は現金出資による場合には法人が建物を購入するわけですが、その購入代金が建物の譲渡者である親のほうに移るからです。

通常は資金繰りの関係から長期に分割して支払うことになるわけですが、いずれにしても建物の所有者に資金が移り、それが相続財産として相続税の課税対象になってしまうのです。

ところが現物出資の場合には売買ではなく出資ですから購入代金を法人に支払うということはありませんので相続財産にはならないのです。

もちろん上述しましたとおり株式については相続財産となりますが、役員給与等として支払ってしまえば残るのは出資した建物だけになりますので、株式の評価額は徐々に低くなっていくのです。

なお現金出資による方法であろうと現物出資による方法であろうと、役員には原則として相続人が就任すべきです。

そうすれば支給する役員給与が相続財産から除外されるだけでなく、納税資金として貯めておくことができるからです。

いずれにしても、様々な節税方法のうち、いずれの方法を採用するか、あるいは組み合わせるかによって、結果が相当違ってきますので、必ずこういったことを専門にしている会計事務所に依頼するようにして下さい。後悔、先に立たずです。

なお現物出資による場合は出資する不動産の価格(時価)を不動産鑑定士に鑑定してもらう必要があります。


2010年04月12日

共有にする場合には出資割合に気を付けて!

マイホームを購入したり建設する場合には共有にするケースがよくあります。その理由は各種の贈与の特例があるため夫婦それぞれの親とか祖父母から資金援助を受けられるようになっているからだろうと思います。

ところで、このように共有の場合には出資額に応じて持分登記するわけですが、もし出資額と登記した持分が違っている場合には差額に対して贈与税が課税されます。

具体例を挙げてご説明しましょう。例えば、マイホームの購入資金が5000万円で夫婦それぞれの出資額が次のようになっていたとします。

夫・・・出資額4000万円(うち夫の親からの贈与1500万円、残り2500万円は銀行ローン)
妻・・・出資額1000万円(すべて妻の親からの贈与)

こういった場合、夫の持分を4/5、妻の持分を1/5として登記すれば特に問題ないのですが、もし夫の持分を1/2、妻の持分を1/2として登記すれば次のように妻は夫から1500万円の贈与を受けたものとして贈与税が課税されます(基礎控除の110万円は無視)。

贈与対象額・・・5000万円×1/2-1000万円=1500万円

このようにマイホームの場合には持分登記を間違えると贈与税が課税される可能性があるということを多くの人がご存知なのですが、アパマンの場合にはなぜか間違える人が多いのです。

例えば、今年初めて確定申告したお客様の中に2億円ほどの賃貸用マンションを購入された方がいらっしゃいます。

事前にお話を伺ったときは奥様が100%取得されたということだったので奥様だけの確定申告でいいのかと思っていたところ、登記簿を見ますと奥様の持分が4/5、ご主人の持分が1/5となっているではありませんか。

このお客様のケースでは借金の額1億4000万円が次のように奥様の持分より少なかったのでそれほど大きな問題にならなかったのですが、もし多かったとしたら面倒になるところでした。

借入金の額1億4000万円<奥様の持分1億6000万円(2億円×4/5)

ところで、このケースでは初めての確定申告だったのでどうにか対応できたのですが、最近相談に見えた方の場合は7~8年前から間違えたまま確定申告してきているのです。

このお客様はかなりの資産家で相続対策のために沢山の賃貸マンションを所有されているのですが、資金の出資額と登記持分が全く合っていないのです。

どういうことかと言いますと、建築資金を母親名義で借りているのですが、建物の持分を母親と子供がそれぞれ2分の1ずつにして登記しているのです。

そして、それに基づいて確定申告しているため母親の所得が少なくて子供の所得がかなり多いという歪(いびつ)な状態になっているのです。支払利息を全額母親に計上し、子供はゼロとして計上しているわけですから当然です。

このお客様の借入金は8億円近くもありますので、もし建物の2分の1を母親が子供にタダで贈与したものとして贈与税が課税されたらたまったものではありません。

現在、どのように対応しようか思案中ですが、不動産の登記持分と出資額が一致していないと税務上、大変な問題を抱えることになりますので皆様方も十分お気を付け下さい。

なお、このお客様の確定申告の原稿はお客様ご自身が行い、税理士はメクラ判を押していたようなのです。また融資している銀行とか登記をした司法書士は気が付かなかったのでしょうか? これから少しずつ解明されていくことになろうかとは思いますが呆れてしまいます。

2010年03月25日

建て替えにあたっての税務上の注意点

前回は消費税の還付に関する実例を2つご紹介したのですが、今回はアパートを建て替えた場合の税務上の注意点について実例を元にご紹介することとします。

アパートとか貸家を建て替える場合には次のような様々な経費がかかりますし、建て替え中は収入がゼロになりますので、通常は大幅な赤字になります。

◎建物の取壊し費用・・・建物の構造とか所在地あるいは解体業者により異なりますが(近所にウルサイ人がいると解体作業を手作業で行なう必要がありますので、かなりの高額になる場合があります)、だいたい坪当たり3~5万円ほどになるのではないでしょうか?

したがって、例えば床面積が100坪の木造アパートで坪当たりの解体費が3万円であれば300万円になります。

◎建物等の除去損失・・・未償却残高のある建物等を取り壊した場合には、その時点で未償却残高を一時に経費に算入します。

例えば、建物とか附属設備の未償却残高が200万円であれば200万円を全てその年度の経費に算入することになります。つまり、それまで行なっていた減価償却はその時点で終了するということです。

ただし、白色申告の場合には不動産所得がゼロになるまでしか経費にできません。つまり不動産所得の赤字と他の所得を損益通算することはできないということです。

◎立退料・・・アパートとか貸家を建て替える場合には現在の入居者に立ち退いてもらう必要があります。

この場合はオーナーの都合ということなので立退料を支払うのが一般的です。それでは、この立退料はいくらほどになるのでしょうか? 

これについては千差万別なので一概にいくらとは言えないのですが、家賃の5~6ヵ月分位が一般的なのではないでしょうか? 引越し代とか住み替えのための諸費用の合計額がだいたいこのようになるということです。つまり実費精算です。

ただし、中にはゴネル方がいらっしゃるので、建て替え予定の場合には若干余計に資金を見積もっておく必要があります。

今年確定申告したお客様のケースでは最高額が140万円余りでした。家賃は43,500円ですから32ヵ月以上です。因みに最低額は3万円で平均は約23万円です(25人)。

また、立ち退きに伴い立退き業者に手数料を支払うのが一般的です(このお客様の場合は手数料が100万円チョットかかりました)。建設会社がやる場合にはサービスが多いのではないでしょうか?

なお預っている敷金についてはその時点で返還する必要がありますが、これについては当然ながら経費に算入することはできません。

ところで建て替えの場合には建物を取り壊すわけですから、入居者に原状回復義務はありません。当たり前です。

このように建物を建て替える場合には多額の経費がかかりますし、上述しましたとおり建て替え中は収入がありませんので、通常はかなりの不動産所得の赤字が発生します。

この赤字については他に所得があるとか建て替え物件以外に沢山の物件を所有している場合には損益通算することにより節税できるのですが、そうでない場合には通常は翌期以降に繰り越して、その時点の黒字の所得と損益通算することになります。

この制度を一般的に純損失の繰越控除と言いますが、赤字の所得を前年に繰り戻して、既に納めた税金を返してもらうこともできます。これを純損失の繰り戻し還付と言います。

ところで、この繰り戻し還付は原則として前年分しかできませんが、前年の所得よりも赤字の所得が多い場合にはどうすれば良いのでしょうか?

これについては控除しきれない額を翌期以降3年間まで繰越控除できることになっております。つまり両方の制度を併用できるということです。

上述しましたお客様のケースでは赤字の額が1500万円近くもありましたので、両方の制度を併用することとしました。

いずれにしても、これらの制度は青色申告者だけに認められている特典です。したがって皆様方の中に数年の内に建て替えを検討されている方がいらっしゃるのであればできるだけ早急に青色申告に変更されることをお奨めいたします。善は急げです。

2010年03月16日

消費税還付の2つの実例紹介

読者の皆様はご自身の確定申告、無事に終了しましたでしょうか? 申告期限は昨日の月曜日でしたが、私の事務所では先週の金曜日(3月12日)にどうにかこうにか終了しました。

できれば10日頃までには余裕で終わりたいと思っているのですが、昨年度はお客様がかなり増えたこともあり、予定より遅くなってしまいました(因みに、増えたお客様は全て私の本の読者です)。

ところで今回のブログでは今年の確定申告で消費税の還付請求をした2つの実例をご紹介したいと思います。

いずれも平成22年度の税制改正における歯止め措置の対象外のものです。つまり、これからも同じような事例であれば還付請求できるという事例です。

<消費税還付に関する2つの実例>

「その1・・・姉妹で自宅併用の複合ビルを建てたケース」

AさんとBさんは姉妹ですが(いずれも現在は独り者で、かなりのご高齢)、評価額の高い場所にそれぞれ若干の土地を所有しておりました。

このままでは相続税もそれなりにかかりますし、土地を遊ばせておくのももったいないということで自宅併用の貸ビルを計画、昨年の連休明けに完成・引渡しを受けることができたという事例です。

このビルは1階と2階の半分を店舗として第三者に、そして2階の残り半分は孫の家族に住居用として貸し、自分たちは3階に住むという構成になっています。

そして建物の持分は姉妹でほぼ半分ずつですが、こういった建物を建築した場合、建物に係る消費税の還付額はどのように計算するのでしょうか?

これについては、まず建物の床面積で利用区分毎に建築費等を按分し、それに係る消費税をそれぞれ計算する必要があります。

この場合、自宅部分は事業用ではありませんので当然ながら還付請求額の計算から除くことになります。

次に課税売上割合を計算するわけですが、店舗部分の賃貸料は孫に貸している住宅部分の賃貸料よりは圧倒的に多いわけですから、結果として課税売上割合はかなり高くなります。

そして上記で計算した建物に係る消費税(店舗部分と孫に貸している住宅部分)に、この課税売上割合を掛けた額が仕入税額控除額の対象となるわけです。

なお以上の計算は当然ながら姉妹でそれぞれ別々に行なう必要がありますし、消費税の還付を受ける場合には税抜き経理が必要ですから(税込み経理をすると還付を受けた消費税に対して所得税がまた課税されます)、それなりに手間がかかるというわけです。

これ以外にも細かくて複雑な処理がいくつかありましたので、担当者も5回ほど修正を余儀なくされました。

このように消費税の還付と言っても、複合ビルであるとか共有である場合には非常に手間がかかってくるわけです。会計事務所も意外と大変なのです。

「その2・・・弁護士が賃貸マンションを購入したケース」

次にご紹介するのは法律事務所を経営するある弁護士が、賃貸マンション1棟を購入したケースです。

ご承知だと思いますが、弁護士事務所とか司法書士事務所には数年前から過払金返還請求で沢山のお客様が行列をなしています。大手の弁護士事務所がテレビコマーシャルをガンガン出しているのも、そういったお客様を獲得しようとしているのです。

そういうわけで、弁護士事務所とか司法書士事務所は儲かって仕方がないのですが、そんな折、とある九州の弁護士の方から購入した賃貸マンションの記帳代行を依頼されたのです。

私の事務所では顧問契約について「経理は自分でコース」と「全ておまかせコース」の2つのコースをご用意しているのですが、ほとんどの方は「経理は自分でコース」を選択されます。こちらのほうが料金が安いからです。

ところが、この方は「全ておまかせコース」を選択されたのです。これはある意味、当然ですね。儲かって仕方がないわけですから、面倒な会計処理は会計事務所に丸投げするのが普通です。

それはともかく、この人の年収はここ数年8000万円前後です。年収ではあるのですが、2人のパートの方の給料が1人当たり120万円程度ですし、事務所も自宅併用でほとんどコストがかかりません(かなり地方の事務所です)。

そういうわけで事業所得も6000~7000万円程になるのですが、こういった方が賃貸マンションを購入して建物に係る消費税を還付請求した場合、どれほどの額が還付されると思いますか?

利回りが10%の2億7000万円程度のマンションを購入した場合、年間の家賃収入は2700万円です。しかしながら通常は期の途中で購入しますので購入した年度の家賃収入はここまでは行きません。

このお客様も9月頃購入されたのですが、1階の店舗部分が未入居であること、それ以外の住居部分も入居率が80%程度であったことから初年度の家賃収入は800万円ほどでした。

このようなことから課税売上割合は91%(8000万円/(8000万円+800万円))にもなったのです。これを建物に係る消費税に掛けた額が仕入税額控除の対象となりますので、ウンと還付されるというわけです。

なお、このお客様は昨年度より簡易課税方式を選択されていたのですが、基準期間(2年前)の課税売上高が5000万円を超えておりましたので、原則課税方式が強制適用されたのです。

もし5000万円以下であったとしたら簡易課税方式が適用され、還付額はゼロになるところでした。アブナイ、アブナイ。

因みに、この方の還付額は660万円ほどでしたが、これは本来収めるべき事業所得に係る消費税を控除した後ですから、全くオメデタイお話です。


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(株)鹿谷総合研究所  代表取締役/公認会計士鹿谷会計事務所  所長/公認会計士・税理士
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