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2007年03月21日

アパートを建てた場合の固定資産税はこうなる(建物編)

アパートとか賃貸マンション等を建てますと、その建物について固定資産税とか都市計画税がかかります(都市計画税は市街化区域内にある物件のみに課税)。

税率は1.4%(市町村によって最高2.1%)ですが、この税率を掛ける対象となる金額を課税標準と言います。この課税標準という言葉はあまり馴染みがないと思いますが、要するに軽減措置がある場合にはそれを適用した後の金額です。

それでは以下、建物の固定資産税がどのように算定されるかを順を追って説明しておきますので、ご参考にして下さい。

まずアパートが完成しますと最初に表示登記をします。これは要するに建物の大まかな特徴を登記簿に記載しておくもので、例えば建物の所在地、種類、構造、床面積等について完成から1ヵ月以内に登記申請することになっています。

それが終わりますと今度は保存登記をします。これはその建物が誰の所有物かを登記するものです。この登記をすることによって初めてその建物が自分のものだと主張できるというわけです。

このようにして建物の保存登記がなされますと、その情報が登記所から各市町村役場に流され、それに基づいて固定資産税の担当者が建物の評価額を決めるためにやってくるという寸法です。縦割り行政の弊害が叫ばれていますが、こういった点だけは風通しが良いみたいです。

ところで、最終的に評価額がどれほどになるかご存知ですか? この評価額が高いと当然ながら以降の毎年の固定資産税も高くなるわけですが、通常は建築費の50%程度になります。もちろん相場に比較して坪当たり建築費が高い(仕様が高級)とか逆に安い場合にはこの割合は上下します(高い場合は割合が低くなり、低い場合は割合が高くなります)。

ところで上述しましたとおり、建物の固定資産税には軽減措置が設けられております。当然ながら一定の適用要件を満たしていなければなりませんが、それを満たしている場合には当初3年間(3階建て以上の耐火または準耐火構造の住宅の場合は5年間)税額が半分になるというわけです。

適用要件としては 1戸当たりの床面積が40㎡以上280㎡以下の住宅で床面積の2分の1以上が居住用であるという程度です(廊下、階段等の共用部分で建物として登記する部分は専用部分の割合に応じて按分します)。

1戸当たり40㎡以上ということですから単身者用は通常対象になりません。プランを考える場合にはこの点もよく踏まえて検討しておく必要があるでしょう。

2007年03月11日

意外と面倒な青色専従者給与に関する実務処理

青色申告の特典には幾つかありますが、その中で一般によく知られているのが、青色専従者に支給した給与を経費に算入できるというものです。

白色の場合には専従者控除として配偶者の場合は一律年間86万円(子供の場合は一律50万円)しか控除できませんが、青色の場合には業務内容に照らして過大でなければ全額を必要経費に算入できます。

ところで実際に専従者給与を支給する場合、その具体的な手続きについては存知でしょうか? ご存知ない方のために今回はこの手続きについてまとめておくこととします。

まず、専従者給与を支給する場合は当然ながら青色事業者でなければなりませんので、その届出をしなければなりません。また、これとは別に「青色事業専従者給与に関する届出書」という書類を提出します。

これには専従者の氏名とか仕事の内容・従事の程度、月額給与、昇給の基準等を記載することになります。そして、この届出書はその年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2か月以内)に税務署に提出します。

なお、この届出書に記載した専従者給与の金額の基準を変更する場合(給与規程を変更する場合とか通常の昇給の枠を超えて給与を増額する場合など)や新たに専従者が加わった場合には、遅滞なく変更届出書を提出する必要がありますので、ご注意下さい。

ところで、これらの手続きは一回限りなのでそれほどでもないのですが、専従者給与の額が月額88,000円を超え源泉所得税がかかるケースでは法人の場合と同じ手続きが必要になります。つまり、給与の額が月額88,000円を超える場合には所定の額を源泉所得税として控除した上で専従者に支払うのですが、控除した源泉税は原則として翌月の10日までに税務署に納税する必要があるのです。

ただし、小規模事業者の場合には半年に1回でも良いことになっています(7月10日と翌年1月10日)が、そのためには「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」という書類を提出する必要があります。

これに加えて、一般の法人と同じく12月には年末調整という手続きも必要になりますし、翌年の1月には管轄の市町村役場に対して給与の支払報告をしなければなりません(これに基づいて翌年の住民税が決定されますので間違いは許されません)。
このように実際に専従者給与を支給するとなると税務上は実に様々な手続きが必要になってくるのです。

なお、専従者給与を支給したり白色申告の場合の専従者控除を適用する場合には事業的規模に該当しなければなりません。つまり5棟10室以上でないと適用にならないわけです。また、これらを適用しますと配偶者控除とか扶養控除の対象から外れますので、実行に当たってはメリット、デメリットをよく比較検討しておくべきでしょう。