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2009年09月22日

アパートか区分所有マンションか?

皆様方が不動産投資をする場合、アパートと区分所有マンションのいずれを選びますか?

私の所にはサラリーマンの方を筆頭に様々な方が不動産投資の相談に見えるのですが、比較的多いのが上記の質問です。

アパートとマンションでは見た目も違いますし、当然ながら価格も異なります。

例えば、中古のアパート1棟(8戸程度)では3000万円から5000万円ですが、中古の区分所有マンション1戸では場所にもよりますが500万円から1500万円です。

したがって、イザ投資しようと思うと当然ながらアレコレ心配になります。

ところで、この選択についてはいろんな人がいろんなことを仰います。マンションを仲介している不動産会社では例えば次のような論調でマンションの良さを吹聴します。

「やはりマンションでしょう。マンションの場合には管理会社がシッカリ管理しているため修繕計画はバッチリですし、利便性も高いので将来にわたって入居者確保にそれほど苦労しません。また複数戸を買っておけば遺産分割で揉めることもありません。」

一方、アパート推進派も負けておりません。
「アパートの良さは何と言っても土地・建物の全てを所有することにあります。全部が自分のものですから古くなればいつでも建て替えることができますし、更地にして売却することもできます。またアパートのほうが一般的に利回りが高いのです。」

議論しあえばいくらでも出てきますが、世の中にアパートとマンションの両方が厳然と存在していることを考えると、片方が良くて片方がダメだということではなさそうです。

それではどうすれば良いのでしょうか? これについては本人のアパマンに対する考え方も当然ながら関係してきます。

例えば最近相談に来られたお客様の場合、1棟売りのマンションしか購入しないと仰るのです。

その理由は木造アパートの場合にはどうしても上下階の騒音が問題となるからとのことでした。

しかしながら、これについてはそれほど神経質になる必要はないのではないかというのが私の考えです。

実は私は浪人時代から大学生時代、その後の国家試験の勉強中を通じて賄い付きの貸家とかアパートに何度か住み替えたのですが、騒音についてはそれほど気になりませんでした。大人が考えるほど若い人は騒音に無頓着なような気がします。

そうはいっても本人が気になるのであれば無視するわけにはいきません。なお、1棟売りのマンションの場合にはアパートと同じような特徴を有しているということができます。

ところでアパマン投資をする場合、どのようなスタンスで実行するのが良いのでしょうか? 人がやっているから自分もやるというのはいただけません。

これについてはまず投資目的を明確にすることからスタートするのが良いのではないでしょうか。

例えば、退職後の個人年金とする、現時点での副収入とする、相続税を安くする、配偶者にご褒美として渡す、ダメ息子・娘のための将来の安定収入を確保する等々です。

そして、目的が決まれば次は投資金額をいくらにするかを決めます。例えば、副収入が目的である場合、具体的にいくら欲しいのかを明確にします。

例えば月額20万円欲しいとしますと、それに必要な物件価格等が逆算で求められますので、そのような物件を探せば良いわけです。

この場合に大切なことは、それ以上の物件は探さないことです。人間というのはついつい欲が出て当初の目的を逸脱していくキライがあるのですが、それで失敗するケースが何と多いことか!

目的が達成されたのであれば、それ以上は手を出さないというのが成功の鉄則です。


2009年09月11日

税務相談Q&A

先日、当事務所のお客様から税務に関していくつか質問されたのですが、土地活用をする場合には比較的重要な論点が含まれていましたので、今回はQ&Aという形でまとめておくこととします。

なお、このお客様は土地のオーナーではなく、不動産コンサルタントです。つまり、土地を所有しているオーナーから質問を受けたのですが、税務にはあまり自信がないので当事務所に相談に来られたというわけです。

このように当事務所のお客様(顧問先)にはオーナーの方だけでなく、このような個人のコンサルタントの方もいらっしゃるのです。

Q1.妻名義の土地に夫名義の建物(アパート)を建てる場合、税務上特に問題ありませんか?

A.地代をゼロとすれば特に問題ありません。地代がゼロであれば賃貸借ではなく使用貸借になり借地権が移動しないからです。

一般の人の感覚からすると、ある程度の地代を授受しなければ逆に問題になるのではないかと考える人が多いと思いますが、税務の世界では全く逆なのです。

なお、妻が支払っている固定資産税については夫の不動産所得の計算上、必要経費に算入できます。これを世帯単位課税と言います。

Q2.共有の土地を単独所有に変更する場合、持分どおりに面積を分ける必要がありますか?

A.土地の利用価値がだいたい同じであれば面積もほぼ同じにする必要があります。一方、表通りの土地と奥まった土地に分けるような場合には当然ながら土地の利用価値が違うわけですから、そのような場合には土地の時価(路線価等)を勘案して面積按分する必要があります。

そのようにしないと相手側に贈与したものとして贈与税が課税されますので、十分ご注意下さい。

Q3.借地権を買い戻した上でその土地にアパートを建てる場合、借地権の買戻し価格は減価償却費と経費のうちいずれになりますか? なお、その場合、年収からどういう引き方をするのですか?

A.この質問はハッキリいってビックリです。専門家からすると呆気にとられるのですが、一般の人の中にはこのような考えをする人がいらっしゃるのですね。

それでは答えを言います。減価償却費にも一般の経費にもなりません。借地権の買戻し価格は土地の取得費となるだけです。

将来、土地を売却する場合に譲渡所得の計算上、それだけ土地の売却価格から引くことはできますが、所有している限り一切経費にはなりません。

土地というのは減価することはないということで、建物のように減価償却することはできないのです。

Q4.耐震補強する場合のリフォーム代は一時に経費になりますか? なおリフォーム代は約1200万円です。

A.耐震補強に係る経費については内容を見ないとハッキリとは言えませんが、おそらく一時に経費にできるものはないと思います。

そして、一時に経費算入できないものについては資本的支出として一旦建物の取得価額に計上して減価償却することになります。

なお耐用年数は建物の本体に適用されている年数を採用することになります。例えば、建物の耐用年数が47年の場合、資本的支出部分についても47年を採用する必要があります。

建築後かなり経過している建物であっても新築の建物に適用されている47年で計算する必要がありますので、ご注意下さい。

このように税務というのは我々の常識では考えられないような処理を要求されるケースが多々ありますので、金額が重要である場合にはできるだけ専門家に相談するようにして下さい。