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2008年02月22日

準確定申告って、ご存知ですか?

今年も確定申告がスタートしましたが、いかがお過ごしですか? 芸能人のように初日に申告された方はいらっしゃるでしょうか?

当事務所のお客様で毎年初日に確定申告をしているところがありますが、今年も無事に終了することができました。

ところで皆様方は準確定申告という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 「準」という言葉が頭についていますので何となく想像はできると思いますが、これは亡くなった人の確定申告のことです。

亡くなった人は当然ながら確定申告という作業はできませんので実際は相続人が行なうのですが、その年の1月1日から亡くなった日までの所得について申告・納税する手続きのことを準確定申告と言っているのです。

申告期限は亡くなった日から4カ月以内ですから通常はそれなりに余裕があります。ところが相続人である奥さんとか子供さんは一般的に税金のことが全く分かりませんので右往左往するのです。たとえ会計事務所が代行するとしても非常に時間がかかってしまいます。

このように奥さんとか子供さんがいても厄介なのに、奥さんが働いているとか子供がいない場合は最悪です。

実は、私の事務所で昨年末、この準確定申告を依頼されたのですが(実際は相続の手続きを依頼されたということです)、このお客様には子供がいないだけでなく奥さんご自身が大学教授であることからほとんど時間が取れないのです。

また、子供はいないのですが亡くなった方のご兄弟が4人もいらっしゃるのです(全員女性です)。ご承知のように子供がいない場合には配偶者と兄弟姉妹が相続人になりますが、このご兄弟は日本全国に散らばっているのです。

ところで、この準確定申告では相続人全員の住所、生年月日等を記載した上で各人の印鑑を押してもらう必要があるのですが、相続から4カ月以内に印鑑をもらうなんて現実的ではありません。

このお客様はある人から紹介されたのですが、今までに1回だけしかお会いしておりませんし、ご兄弟の方は当然ながら存じ上げていないわけです。

相続というのは何となく想像できると思いますが、かなりの駆け引きが行なわれます。能天気に印鑑をもらうことなど不可能に近いのです。

それを準確定申告に必要だからといって4カ月以内に提出することは極めて難しいだろうということは容易に想像できると思います。

ところで、このように書くと皆様方は資産家だろうと勝手に想像するかも知れませんが、ごくごく一般的なサラリーマン家庭であり、相続税はおそらくかからないと思います。

今回の準確定申告だって、奥さんの実家がある北海道に所有している50㎡足らずの賃貸マンションに関する不動産所得(月額6万円)があるだけです(もちろん、一般的な年金等は別にありますが・・・)。

また準確定申告の場合には、これ以外に亡くなった方の廃業届けとか相続人である奥さんの開業届け、あるいは減価償却資産の償却方法の届出等、実に様々な届出書を作成・提出する必要もあります。

このようなことから、通常の確定申告の数倍は手間がかかるのですが、昨日どうにかこうにか申告することができました(少し裏技を使いましたが・・・・)。

なお、このお客様の昨年度の確定申告書を見たら間違いだらけなのです。パソコンで作成しているのですが、給与収入の額と給与所得の額がほとんど同じですし、年金収入と雑所得(年金の場合は雑所得に分類されます)の額もほとんど同じなのです。

これはどういうことかと言いますと、給与所得控除額とか公的年金等控除額の計算を間違えて、所得税を多く納付しているのです。

通常のソフトであれば給与収入とか年金収入を入力すれば自動的に計算されるので間違えようがないのですが・・・。今となっては当人が亡くなっているので確認のしようがありません。

いずれにしても、このままではソンですから更正の請求も一緒にすることにしました。これによって所得税は134千円ほど還付されます。実際はこれ以外に金利相当分である還付加算金をもらえます。

税務署というのは多く申告している場合には黙っておりますので皆様方も十分ご注意下さい(なお、更正の請求期限は原則として申告期限の1年後です)。

2008年02月12日

減価償却方法がこう変わった!

今回は平成19年度の減価償却費に関する改正のあらましと、減価償却に関して注意しておくべきポイントについてまとめておきます。

今回の改正で特にご注意いただきたいのは平成19年3月31日までに取得している減価償却資産と4月1日以降に取得した減価償却資産で償却方法等が全く異なるという点です。

(1)平成19年3月31日までに取得している減価償却資産

これについては次の2つの点が改正されました。

①減価償却方法の名称が変わりました。従来の定額法は旧定額法に、従来の定率法は旧定率法に変更されましたので、これからは減価償却方法が4種類に分類されることになります。つまり定額法とか定率法は19年4月1日以降に取得した資産にだけ付けられることになるということです。

②前年末までの減価償却累計額が償却可能限度額(取得価額の95%)に達している場合には、その達した年分の翌年分以後5年間で1円まで均等償却することになりました。

例えば、100万円で取得した減価償却資産について、前年度末の平成18年度までに95%である95万円まで償却済みであるとします。

このような物件について従来であれば帳簿価額である5万円を残したまま一切損金に算入できなかったのですが、これからは5年間で均等償却できることになりました。ただし、実際の適用は平成20年度からとなりますので毎年の償却費は次のようになります(平成19年度は0円ということです)。

平成20年度・・・1万円
平成21年度・・・1万円
平成22年度・・・1万円
平成23年度・・・1万円
平成24年度・・・9999円
平成25年度以降(除却するまで)・・・0円(帳簿価額は1円)

(2)平成19年4月1日以降取得した減価償却資産

これについては次の2つの点が改正されました。

①償却可能限度額(取得価額の95%相当額)および残存価額(取得価額の10%相当額)が廃止され、1円になるまで償却できることになりました。

②定額法および定率法の償却率が変更されました。

なお、ここでは省略いたしますが定率法についてはこれ以外にいくつか変更されております。詳細については「青色申告書(不動産所得用)」または「収支内訳書(不動産所得用)」という小冊子(税務署から郵送されていると思いますが・・・。)をご参照下さい。

以上が平成19年度の改正のあらましですが、これ以外で若干注意しておくべきポイントをまとめておきます。

<減価償却での注意すべきポイント>

①1単位当たり10万円未満の減価償却資産・・・ご存知の通り取得した時点で一時に経費算入できます。

②1単位当たり10万円以上20万円未満の減価償却資産・・・1年間に取得した1単位当たり10万円以上20万円未満の資産を合計した額を単純に3年で均等償却できます。取得時期に関係ありません。

③1単位当たり30万円未満の減価償却資産・・・1年間に取得した1単位当たり30万円未満の資産を合計した額が300万円以下であれば一時に経費算入できます。この特例は非常に使い勝手が良いのですが青色申告者に限りますので、ご注意下さい。

いずれにしても減価償却資産の数が多いようであれば手計算では、かなり面倒になりました。もし、ご自分で確定申告されているのであれば償却計算の機能がついている会計ソフトを購入されることをお奨めいたします。