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2009年10月26日

建物の固定資産税評価額はどのようにして決まるのか?(1回目)

建物を建てますと、毎年固定資産税がかかってきますし、相続が発生した場合には相続税もかかります。

このように建物は固定資産税とか相続税の課税対象となるわけですが、その基になる価額である固定資産税評価額がどのようにして決まるかご存知ですか?

一般の方は経験することがそれほど多くないと思いますので、今回と次回はこの建物の評価方法から納税通知書の発送までの事務の流れとポイントを解説することとします。

まず事務の流れですが、だいたい次のようなステップで行なわれます。

①課税客体の把握
   ↓
②建物の実地調査
   ↓
③評価額の計算
   ↓
④評価調書の作成
   ↓
⑤価格等の決定
   ↓
⑥課税台帳への登録
   ↓
⑦課税台帳の縦覧
   ↓
⑧納税通知書の発送

まず最初が①課税客体の把握です。表現が若干硬いのですが、要するに課税対象とする建物(家屋)をどのようにして見付けるかということです。

よく知られているのが法務局からの登記済通知書による方法です。これは地方税法第382条の次の条文に基づいて行なわれています。

「登記所は、土地又は建物の表示に関する登記をしたときは、十日以内に、その旨を土地又は家屋の所在地の市町村に通知しなければならない。」

お役所という所は縦割り意識が強いので、このように法律を作った上で情報がスムーズに流れるようにしているというわけです。

ただし、できるだけ早く情報を入手するために、各市町村の担当者が法務局を訪れて通知書を受け取っているケースが多いようです。

なお表示登記というのは建物の面積とか構造等、建物のハードに関する様々なデータについて登記するもので、具体的な作業は土地家屋調査士という専門家が行ないますが、原則として建物完成後1ヵ月以内にする必要があります。

また建築計画概要書(建築現場に掲載されている看板)を情報源にすることもあるようです。完成する前から情報を速やかに入手しようとしているわけです。これら以外にも土地担当者から聞いたり航空写真で調べることもあります。

ところで、調査対象となる建物が特定されますと「②建物の実地調査」に移るわけですが、突然来られたのではアタフタしてしまいますので、必ず事前に連絡があります。一般的には電話とか次のようなハガキで知らせてきます。

<ハガキのサンプル>
固定資産税に係る家屋の実地調査について(お願い)

「日頃から、市税につきましてはご協力をいただき、ありがとうございます。
このたび    町   番地  に建築された家屋は、平成 年度から固定資産税・都市計画税が課税されることになります。
つきましては、現地での家屋の実地調査を次の通り行いたいと存じますので、お手数ですが、折り返し電話または返信用はがきによりご回答くださいますようお願いいたします。(貸家の場合には、借家人へのご連絡もお願いいたします)。
また、取り壊された家屋がございましたら取り壊し年月日もご連絡ください。

◎調査予定日   月   日午前・午後  時頃
◎準備していただく書類
1.建築確認通知書
2.工事契約書(附属設備を含む)
3.工事見積書(附属設備を含む)
4.関係図面」

それでは現地調査ではどのような点を、どのような方法で調査するのでしょうか? これについてはかなりの紙面を要しますので次回のブログでご説明したいと思います。

2009年10月08日

事務所を引っ越すと意外とお金がかかる!

私の事務所は来週の月曜日(10月12日)に引っ越しすることになりました(内装工事等は10日より)。場所は丸の内線の本郷三丁目という所ですが、今の事務所がある池袋から4つ目の駅です。

池袋に来て5年弱なのですが、余りにも人が多いのに嫌気が差して引っ越すことに相成ったわけです。

日本の人口は既に減少しているようですが、池袋のような繁華街で仕事をしておりますと本当に人口が減っているのか疑問さえ感じます。

ところで引っ越すとなるとイロイロお金がかかるわけですが、事務所を移転する場合、どれほどかかると思われますか?

現在の事務所の部屋の面積は36坪ほどであり、移転先の面積は40坪程度です。池袋から地下鉄で4つ目ですから、距離もそれほど遠くありません。

もし個人の住宅であれば大体次のような額になるのではないでしょうか?

引越し代・・・30万円程度
礼金・・・・・家賃の1ヵ月分
敷金・・・・・家賃の2ヵ月分
前払家賃・・・家賃の1ヵ月分
日割り家賃・・日数分
仲介手数料・・家賃の1ヵ月分

家賃を例えば30万円としますと合計では約200万円です。なお、解約することになる部屋の敷金が1ヵ月分戻ってくるとしますと、実質は170万円といったところでしょうか? 

それでは事務所の場合はどうでしょうか?

まず引越し代ですが、造作の解体・設置費用等を含めて120万円ほどかかります(これでもコンピュータの配線等は自分で行なうとかで、かなり安くしたのですが・・・)。

住宅の場合には造作というものは基本的にありませんが、事務所の場合にはこういった費用がかなりかかるのです。

間仕切りからパーティション等は全て現在使っているものを使用しますので(ほとんど汚れていないため)、新たに材料費はかからないのですが、人夫賃だけでこれだけかかるのです。

また家賃ですが、一般的に住宅の場合よりも事務所のほうが最寄り駅から近いので、同じグレードであっても坪当たり家賃は高くなります。

今回の物件についても一時より下がったとはいえ30万円では当然ながら入れません。ご想像にお任せしますが、それなりにはかかります。

以上で何となく比較できたかと思いますが、事務所の場合にはこれだけでは終わりません。別途、原状回復費がかかるのです。

住宅の場合には上述しましたように、敷金から入居者負担のリフォーム代を引かれるわけですが、一般的にはそれほど高くありません。上記の事例では家賃の1ヵ月分としましたが、実際はもう少し少ないと思います。

ところがドッコイ、事務所の場合にはビックリするほどの額になります。リフォーム代が平均で坪当たり3万円かかるのです。現在の事務所の部屋の面積は上述しましたように36坪ほどですから3万円×36坪で108万円。

いかがですか? 原状回復費として108万円もかかるのです(実際はイロイロ工夫して若干安くしますが・・・)。住宅の場合には高くて30万円なのに事務所だと100万円を超えるのです。

なぜ、このように開きが出るかと言いますと、事務所の場合には天井(通常は吹きつけ)、壁(クロスの張替え)、床(タイルカーペットの張替え)、全てを新しくする必要があるばかりか、リフォーム代金を入居者が全額負担することになるからです。

契約書によりますと確かに原状回復してオーナーに返還するようになっておりますが、原状回復とはいったい何でしょうか?

何か造作をしたのならば取り外す必要がありますし、キズを付けたのならば修繕するのが当たり前です。ところが事務所の場合には、それだけではダメで全てを新しくする必要があるのです。

いかがですか? 何となく腑に落ちないのではないでしょうか? でも、これが現実なのです。裁判で争われたこともないようなので、文句の付けようもありません。

要するに賃貸借契約といっても、個人の場合と法人の場合(個人事業主も同じ)では全く異なった解釈をしているということです。オカシナ話ではありますが・・・。

それにしても引越しは忙しい。一昨日から準備しているのですが、かなりグロッキーです。早く帰ってビールを飲みたい。