建物の固定資産税評価額はどのようにして決まるのか?(1回目)
建物を建てますと、毎年固定資産税がかかってきますし、相続が発生した場合には相続税もかかります。
このように建物は固定資産税とか相続税の課税対象となるわけですが、その基になる価額である固定資産税評価額がどのようにして決まるかご存知ですか?
一般の方は経験することがそれほど多くないと思いますので、今回と次回はこの建物の評価方法から納税通知書の発送までの事務の流れとポイントを解説することとします。
まず事務の流れですが、だいたい次のようなステップで行なわれます。
①課税客体の把握
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②建物の実地調査
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③評価額の計算
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④評価調書の作成
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⑤価格等の決定
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⑥課税台帳への登録
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⑦課税台帳の縦覧
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⑧納税通知書の発送
まず最初が①課税客体の把握です。表現が若干硬いのですが、要するに課税対象とする建物(家屋)をどのようにして見付けるかということです。
よく知られているのが法務局からの登記済通知書による方法です。これは地方税法第382条の次の条文に基づいて行なわれています。
「登記所は、土地又は建物の表示に関する登記をしたときは、十日以内に、その旨を土地又は家屋の所在地の市町村に通知しなければならない。」
お役所という所は縦割り意識が強いので、このように法律を作った上で情報がスムーズに流れるようにしているというわけです。
ただし、できるだけ早く情報を入手するために、各市町村の担当者が法務局を訪れて通知書を受け取っているケースが多いようです。
なお表示登記というのは建物の面積とか構造等、建物のハードに関する様々なデータについて登記するもので、具体的な作業は土地家屋調査士という専門家が行ないますが、原則として建物完成後1ヵ月以内にする必要があります。
また建築計画概要書(建築現場に掲載されている看板)を情報源にすることもあるようです。完成する前から情報を速やかに入手しようとしているわけです。これら以外にも土地担当者から聞いたり航空写真で調べることもあります。
ところで、調査対象となる建物が特定されますと「②建物の実地調査」に移るわけですが、突然来られたのではアタフタしてしまいますので、必ず事前に連絡があります。一般的には電話とか次のようなハガキで知らせてきます。
<ハガキのサンプル>
固定資産税に係る家屋の実地調査について(お願い)
「日頃から、市税につきましてはご協力をいただき、ありがとうございます。
このたび 町 番地 に建築された家屋は、平成 年度から固定資産税・都市計画税が課税されることになります。
つきましては、現地での家屋の実地調査を次の通り行いたいと存じますので、お手数ですが、折り返し電話または返信用はがきによりご回答くださいますようお願いいたします。(貸家の場合には、借家人へのご連絡もお願いいたします)。
また、取り壊された家屋がございましたら取り壊し年月日もご連絡ください。
◎調査予定日 月 日午前・午後 時頃
◎準備していただく書類
1.建築確認通知書
2.工事契約書(附属設備を含む)
3.工事見積書(附属設備を含む)
4.関係図面」
それでは現地調査ではどのような点を、どのような方法で調査するのでしょうか? これについてはかなりの紙面を要しますので次回のブログでご説明したいと思います。