アパマンを建てるのに最適な時期とは?
今回はアパートとかマンションを建てるのに最適な時期はいつか、という点について私の考えを述べたいと思います。
よく、「建てようと思った時が最高の時期である」と言う人がいますが、それは基本的にマイホームを建てる場合だけに限定すべき考え方です。
マイホームの場合には建てることに何らかの理由(必要性)があるのが普通です。例えば、結婚した、子供が生まれた(増えた)、両親(片親)と一緒に住むことになった、古くなった建物を建替える必要が生じた、等々です。
つまりマイホームの場合には、建てることに何らかの個人的な理由が存在しているのです。そして、こういった理由が発生する時期は当然ながら人によって異なります。
それではアパマンの場合はどうでしょうか? 少し考えれば分かりますが、アパマンの場合にはマイホームほどの必要性は一般的にありません。
あるとしたら、固定資産税の支払が大変になってきた、老後のことをそろそろ考えておく必要がある、あるいは親がかなり高齢になってきたので相続対策のことを考えておく必要がある、といった程度です。
つまり、そんなに差し迫った必要性は感じていないのです。あくまで、「そろそろ」、「ぼちぼち」といった感じではないでしょうか?
それではアパマン経営といった観点からは、どのような時期が最適なのでしょうか? これについてはそれほど難しくないですね。
アパマンというのは超長期の設備投資になりますから、できるだけ建築費が安い時期に建てたほうが有利です。こんなことは小学生でも分かります。
ところが面白いことに建築費が高い時期に建てる人が意外と多いのです。その理由は建築費が高い時期というのは一般的に経済が好調な時期が多いからです。
人間というのは好景気な時は心がウキウキしますので、何でも上手くいくと考える傾向にあります。ところが好景気というのはそんなに長く続きません。長くて10年、普通は5~6年程度です。
一方、アパマンというのは、いったん建てますと30年とか40年はもたせる必要がありますので、建築費が安い時期に建てたほうが断然良いのです。
ところが建築費が安い時期というのは逆に景気が悪い時期ですから、将来を悲観して投資に踏み切れないのです。つまり大多数の人は経営の王道とはまったく逆のことをしているのです。
つまり、アパマン経営で失敗する典型的なパターンは次のようなものです。
<よくある失敗のパターン>
現状は景気がかなり良い。
→この景気はしばらく続くだろう。
→アパマンを建てて儲けよう。
→予想通り、満室になった。
→5年後に不況に突入。
→建築費が高かったので家賃を下げると赤字。結果、入居率は最悪。
本来は次のようなストーリーが望ましいのです。
<成功のパターン>
現在はかなり不景気である。
→不況なので建築費はかなり安い。
→そのうち景気は回復するだろう。
→今のうちにアパマンを建てておこう。
→家賃を安くしたので満室御礼となった。
→5年後に景気が回復。
→家賃は高くしていないので満室のまま。
いかがですか? 成功する人と失敗する人の分かれ道は実はこういった点にあるのです。
それでは現在の状況はどうでしょうか? ご存知の通り、昨年度(2008年)は世界的な不況に突入しました。したがって本来であれば建築費はそれなりに安くなっていなければなりません。
ところがオリンピック特需であるとか発展途上国の建設ラッシュで鉄骨等の建設資材が高騰し、かつ高止まりしていたのです。
つまり昨年度は建設するには最悪だったのです。ところが、今年になって状況は一変しました。新聞等をご覧になってお分かりだと思いますが、様々な建設資材とか人件費等が急激に安くなっています。
どこまで下がるのかは分かりませんが、かなり安い建築費で建てられるようになってきたことだけは事実です。
したがって、皆様方も、もし計画があるのであれば今年はチャンスだと認識し、準備しておかれたほうが良いと思います。
人がやらない時期に投資するからこそ商機が生まれるのだということをシッカリと認識することが大切です。
日本人というのは他人の真似をしたがります。「みんなで渡れば怖くない」というキャッチフレーズがありますが、土地活用においては完全に間違いです。