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2009年01月25日

アパマンを建てるのに最適な時期とは?

今回はアパートとかマンションを建てるのに最適な時期はいつか、という点について私の考えを述べたいと思います。

よく、「建てようと思った時が最高の時期である」と言う人がいますが、それは基本的にマイホームを建てる場合だけに限定すべき考え方です。

マイホームの場合には建てることに何らかの理由(必要性)があるのが普通です。例えば、結婚した、子供が生まれた(増えた)、両親(片親)と一緒に住むことになった、古くなった建物を建替える必要が生じた、等々です。

つまりマイホームの場合には、建てることに何らかの個人的な理由が存在しているのです。そして、こういった理由が発生する時期は当然ながら人によって異なります。

それではアパマンの場合はどうでしょうか? 少し考えれば分かりますが、アパマンの場合にはマイホームほどの必要性は一般的にありません。 

あるとしたら、固定資産税の支払が大変になってきた、老後のことをそろそろ考えておく必要がある、あるいは親がかなり高齢になってきたので相続対策のことを考えておく必要がある、といった程度です。

つまり、そんなに差し迫った必要性は感じていないのです。あくまで、「そろそろ」、「ぼちぼち」といった感じではないでしょうか?

それではアパマン経営といった観点からは、どのような時期が最適なのでしょうか? これについてはそれほど難しくないですね。

アパマンというのは超長期の設備投資になりますから、できるだけ建築費が安い時期に建てたほうが有利です。こんなことは小学生でも分かります。

ところが面白いことに建築費が高い時期に建てる人が意外と多いのです。その理由は建築費が高い時期というのは一般的に経済が好調な時期が多いからです。

人間というのは好景気な時は心がウキウキしますので、何でも上手くいくと考える傾向にあります。ところが好景気というのはそんなに長く続きません。長くて10年、普通は5~6年程度です。

一方、アパマンというのは、いったん建てますと30年とか40年はもたせる必要がありますので、建築費が安い時期に建てたほうが断然良いのです。

ところが建築費が安い時期というのは逆に景気が悪い時期ですから、将来を悲観して投資に踏み切れないのです。つまり大多数の人は経営の王道とはまったく逆のことをしているのです。

つまり、アパマン経営で失敗する典型的なパターンは次のようなものです。

<よくある失敗のパターン>

現状は景気がかなり良い。
→この景気はしばらく続くだろう。
→アパマンを建てて儲けよう。
→予想通り、満室になった。
→5年後に不況に突入。
→建築費が高かったので家賃を下げると赤字。結果、入居率は最悪。

本来は次のようなストーリーが望ましいのです。

<成功のパターン>

現在はかなり不景気である。
→不況なので建築費はかなり安い。
→そのうち景気は回復するだろう。
→今のうちにアパマンを建てておこう。
→家賃を安くしたので満室御礼となった。
→5年後に景気が回復。
→家賃は高くしていないので満室のまま。

いかがですか? 成功する人と失敗する人の分かれ道は実はこういった点にあるのです。

それでは現在の状況はどうでしょうか? ご存知の通り、昨年度(2008年)は世界的な不況に突入しました。したがって本来であれば建築費はそれなりに安くなっていなければなりません。

ところがオリンピック特需であるとか発展途上国の建設ラッシュで鉄骨等の建設資材が高騰し、かつ高止まりしていたのです。

つまり昨年度は建設するには最悪だったのです。ところが、今年になって状況は一変しました。新聞等をご覧になってお分かりだと思いますが、様々な建設資材とか人件費等が急激に安くなっています。

どこまで下がるのかは分かりませんが、かなり安い建築費で建てられるようになってきたことだけは事実です。

したがって、皆様方も、もし計画があるのであれば今年はチャンスだと認識し、準備しておかれたほうが良いと思います。

人がやらない時期に投資するからこそ商機が生まれるのだということをシッカリと認識することが大切です。

日本人というのは他人の真似をしたがります。「みんなで渡れば怖くない」というキャッチフレーズがありますが、土地活用においては完全に間違いです。
  

2009年01月13日

土地活用の失敗原因を分析する

私は現在アパマン経営に関する本を執筆中です。これでアパマン経営に関しては4冊目になるのですが、本を書くというのはなかなか重労働です。1日に3時間も書けばクタクタになります。作家というのは本当に体力、気力があるなあ、と感心します。

出版は4月頃になると思いますが、今回は、その中から「土地活用の失敗原因を分析する」というテーマについてご紹介いたします。

実際の本では失敗の原因について数多く紹介しているのですが、今回はそのうちの1つ、「土地への執着心」。失敗の王様とでも言えるものです。

『最初は「土地への執着心」です。この傾向は特に農家の方とか大地主の方に多いようです。

いずれの場合にも先祖から受け継いできた大切な土地ですから、自分の代で土地を減らすことはできないという強烈な使命感があるのでしょう。

したがって、相続によって形式上は自分の土地になったにもかかわらず、勝手に処分することは事実上ままならないというわけです。

その点、たとえ相続で土地を取得したからといっても土地の面積があまり広くない場合にはそれほどの執着心はないようです。

また、ご自分の努力と才覚で取得した場合には当然ながら土地に対する執着心はほとんどありません。

それでは「土地への執着心」が強い場合、どうして土地活用において失敗するケースが多いのでしょうか? その理由は相続税の節税の仕組み自体にあると考えられます。

アパートとかマンションを建てれば相続税が安くなることは既にご承知だろうと思いますが、相続税は豪華な建物を建てるほど節税になるのです。

ところが、いくら立派で豪華な建物を建てたからといって、それに比例して家賃を高く設定することはできません。したがって豪華な建物にすればするほど収支がドンドン悪くなるのです。

この場合、収支が悪くなるだけならまだしも、収支がマイナスになるケースが意外と多いのです。

そして収支がマイナスになりますと当然ながら借金の返済がままならなくなりますので、土地を一部処分せざるを得なくなります。

土地を減らしたくないばかりに立派なアパマンを建てたことが、結果としてより多くの土地を手放すことになるというわけです。

私は農地の宅地並み課税がスタートする時(平成4年3月)、独自で開発したコンピュータによるコンサルティングサービスがNHKとか日経新聞等に紹介されたことから、数多くのご相談をお受けする機会を得ました。

その時、様々なケースを想定してシミュレーションしてみたのですが、土地がかなり広い場合、すべての土地を残すことは不可能であるということが分かりました(ただし、このことは土地の評価額が高い地域にのみ当てはまります)。

つまり相続税という借金も建築費としての借金も借金であることには変わらないので、土地を処分しないで返済しようとするとアパマン経営からの家賃収入を充当するしかありませんが、それはきわめて難しいということです。

例えば、豪華なマンションを建てれば相続税は安くなりますが(ゼロになることもある)、逆に建築費としての借金が増えます。

そうすると上述しましたように収支が悪くなるどころかマイナスになることもあるのです。

一方、借金はイヤだということで小さいアパートしか建てなかったとしたらどうでしょうか? 当然ながら相続税という借金が増えます。

このように、ある程度の土地を所有している場合、すべての土地を残すというプランには理論的に無理があるのです(金融資産をかなり所有しているとか高額所得者の場合は別ですが・・・)。

まして、アパマンからの手取り収入の一部を生活費として充当したいとか、かなり広い自宅部分を残したいといった希望を満たすことはほとんど不可能です。

にもかかわらず、全ての土地を守ろうとするプランを立てる人が何と多いことか。

土地活用というのは本来、もうけるためにやるものです。相続税の節税が第一では必ず破綻を来たすことになるということを今一度肝に銘じておく必要があります。』

いかがですか? 何となくわかる気がしますか? 一度ジックリ考えてみて下さい。