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土地活用の失敗原因を分析する

私は現在アパマン経営に関する本を執筆中です。これでアパマン経営に関しては4冊目になるのですが、本を書くというのはなかなか重労働です。1日に3時間も書けばクタクタになります。作家というのは本当に体力、気力があるなあ、と感心します。

出版は4月頃になると思いますが、今回は、その中から「土地活用の失敗原因を分析する」というテーマについてご紹介いたします。

実際の本では失敗の原因について数多く紹介しているのですが、今回はそのうちの1つ、「土地への執着心」。失敗の王様とでも言えるものです。

『最初は「土地への執着心」です。この傾向は特に農家の方とか大地主の方に多いようです。

いずれの場合にも先祖から受け継いできた大切な土地ですから、自分の代で土地を減らすことはできないという強烈な使命感があるのでしょう。

したがって、相続によって形式上は自分の土地になったにもかかわらず、勝手に処分することは事実上ままならないというわけです。

その点、たとえ相続で土地を取得したからといっても土地の面積があまり広くない場合にはそれほどの執着心はないようです。

また、ご自分の努力と才覚で取得した場合には当然ながら土地に対する執着心はほとんどありません。

それでは「土地への執着心」が強い場合、どうして土地活用において失敗するケースが多いのでしょうか? その理由は相続税の節税の仕組み自体にあると考えられます。

アパートとかマンションを建てれば相続税が安くなることは既にご承知だろうと思いますが、相続税は豪華な建物を建てるほど節税になるのです。

ところが、いくら立派で豪華な建物を建てたからといって、それに比例して家賃を高く設定することはできません。したがって豪華な建物にすればするほど収支がドンドン悪くなるのです。

この場合、収支が悪くなるだけならまだしも、収支がマイナスになるケースが意外と多いのです。

そして収支がマイナスになりますと当然ながら借金の返済がままならなくなりますので、土地を一部処分せざるを得なくなります。

土地を減らしたくないばかりに立派なアパマンを建てたことが、結果としてより多くの土地を手放すことになるというわけです。

私は農地の宅地並み課税がスタートする時(平成4年3月)、独自で開発したコンピュータによるコンサルティングサービスがNHKとか日経新聞等に紹介されたことから、数多くのご相談をお受けする機会を得ました。

その時、様々なケースを想定してシミュレーションしてみたのですが、土地がかなり広い場合、すべての土地を残すことは不可能であるということが分かりました(ただし、このことは土地の評価額が高い地域にのみ当てはまります)。

つまり相続税という借金も建築費としての借金も借金であることには変わらないので、土地を処分しないで返済しようとするとアパマン経営からの家賃収入を充当するしかありませんが、それはきわめて難しいということです。

例えば、豪華なマンションを建てれば相続税は安くなりますが(ゼロになることもある)、逆に建築費としての借金が増えます。

そうすると上述しましたように収支が悪くなるどころかマイナスになることもあるのです。

一方、借金はイヤだということで小さいアパートしか建てなかったとしたらどうでしょうか? 当然ながら相続税という借金が増えます。

このように、ある程度の土地を所有している場合、すべての土地を残すというプランには理論的に無理があるのです(金融資産をかなり所有しているとか高額所得者の場合は別ですが・・・)。

まして、アパマンからの手取り収入の一部を生活費として充当したいとか、かなり広い自宅部分を残したいといった希望を満たすことはほとんど不可能です。

にもかかわらず、全ての土地を守ろうとするプランを立てる人が何と多いことか。

土地活用というのは本来、もうけるためにやるものです。相続税の節税が第一では必ず破綻を来たすことになるということを今一度肝に銘じておく必要があります。』

いかがですか? 何となくわかる気がしますか? 一度ジックリ考えてみて下さい。

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