空室増加への対応策
今回はアパマン経営者にとって最も頭の痛い空室増加への対応策について考えてみたいと思います。
実は私のお客様で都民住宅を経営している方がいらっしゃるのですが、その方から最近空室を減らすための対応策について相談を受けたのです。
ご承知かどうか分かりませんが、都民住宅というのは特定優良賃貸住宅という制度を使って建てた東京都が管轄する賃貸マンションのことです。
ところで、この都民住宅の場合、入居者には家賃の補助が受けられますので非常に人気が高かったのですが、この家賃補助額は毎年減少していき、最終的にゼロになります。
また、この家賃補助額は収入によって違いがあるため毎年収入を証明しなければなりませんが、これが意外と面倒なのです。
このようなことから、このお客様の物件についても空室が徐々に増えてきたわけですが、空室が増えてきた場合、皆様方はどのように対応されていますか? 一般的に考えられる方法としては次のようなものが考えられます。
<空室が増えてきた場合の一般的対処方法>
①家賃を下げる。
②家賃以外の礼金とか敷金等の一時金を少なくする。
③リフォームをする。
④仲介業者にメリットを与える。
以下、順番に解説しておきます。まず①の家賃を下げる方法ですが、市場家賃よりもかなり高いようであれば早急に下げるべく行動に移す必要があります。
自宅を引っ越す場合には引越代とか仲介手数料等、様々な経費がかかりますので多少の家賃の違いであればおいそれとは出て行かないでしょう。
しかしながら、現在のようなデフレの時代において長期間住み続けていた場合には他の物件と比較して相当家賃が高くなっているハズです(デフレであっても通常は家賃を下げないため)。
それにもかかわらず家賃を据え置いている場合には入居者にとってはデメリットしかないので、家賃を下げなければ当然に退去者が続出することになります。
なお現在入居している人の家賃を下げるべき否かについては非常に難しい判断を要しますが、市場家賃と比較してかなりの開きが生じている場合には更新時にこちらから値下げを提案されたらいかがでしょうか?
先方から何も言ってこないからといってそのままにしているケースが多いと思いますが、入居者は不満を持っているものなのです。既存のお客様を大切にすることは商売の基本中の基本です。
次は②の家賃以外の礼金とか敷金等の一時金を少なくするという方法ですが、これについてはできるだけ柔軟に対応すべきでしょう。
家賃の1、2ヵ月程度であれば、空室が続くことを考えれば大したことはありません。不動産賃貸業も立派な事業であり、他の物件と比較して有利な条件でなければお客様は見向きもません。このことを今一度ジックリと考えていただきたいと思います。
次は③のリフォームをするという方法ですが、これについては家賃との見合いで考える必要があります。
リフォームをしなくても家賃が安ければ意外と入居者は見付かるものです。これについて実例を1つ挙げておきます。
実は私のお客様が所有する物件で2年先には建て替え予定のものがありますが、現在定期借家契約にしております。
定期借家契約というのは要するに期限が来たら必ず立ち退く必要があるものですが、家賃を安くしているため現在は満室なのです(全部で27室)。
なお、この物件は建て替えることが前提なので原状回復義務はありませんので、壁に釘を打ってもOKです。やりたい放題です。このイイカゲンさが受けているのかも?
このように特殊なケースではリフォームをする必要はありませんし低家賃戦略で行く場合にはそのままで良いのですが、それなりの家賃を貰いたい場合にはリフォームは必要条件です。
そして最後の④仲介業者にメリットを与えるという対策ですが、これは要するに仲介手数料以外のメリットを仲介業者に与えるというものです。
例えば、仲介手数料以外に家賃の1ヵ月分を広告宣伝費として別途支給するとか、営業マン個人に商品券のポイントを与えるといったことです。
東京都のように世帯数が増えている地域は別として、ほとんどの地域では全体のパイが縮小していますし、今後の回復もほとんど期待できません。
このような厳しい状況下、如何にしてご自分の所有する物件をアピールするかが大切になってくるわけですが、そのためには本来の報酬以外に魅力的なインセンティブが必要になるということです。
不動産所得は確かに「不労所得」ではありますが、それは入居者が決まった後のことです。それまでは一定の投資が必要になるということですからクレグレも間違えないように!