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賃貸マンションを贈与する場合の注意点

遺産分割として、あるいは各種の節税対策として賃貸マンションを贈与する場合がありますが、今回は、この贈与対策を実施する場合に注意しておくべき点について解説することとします。

例えば、時価3000万円、相続税評価額700万円の賃貸マンション一室を子供に贈与するケースで考えてみましょう。

こういった場合、既に賃貸している物件であれば入居者から敷金を預かっていると思いますが、不動産を贈与する場合には当然ながらこの敷金も一緒に贈与することになります。

それではここで問題を出すこととします。上記のケースで敷金の額を20万円とした場合、贈与税の課税対象額はいくらになるでしょうか? 700万円マイナス20万円で680万円が正しいでしょうか?

残念ながら、ブーです。ご承知がどうか分かりませんが、不動産と一緒に負債を贈与する場合には税務上、負担付き贈与に該当します。

そして負担付き贈与に該当する場合には相続税評価額ではなく時価で贈与したものとして贈与税を計算する必要があるのです。

このケースの場合、相続税評価額は700万円ですが、時価は3000万円ですから、この3000万円を元にして贈与税を計算しなければならないというわけです。つまり贈与税の課税対象額は3000万円マイナス20万円で2980万円となるわけです。

負担付き贈与というと通常は借金と一緒に贈与する場合をイメージしますが、敷金だってれっきとした債務です。

したがって、敷金と一緒に贈与した場合には負担付き贈与があったものとして高い贈与税がかかりますのでご注意下さい。

でも考えてみれば、敷金を預かるのは通常の商慣習です。最近こそ敷金・礼金タダ、というケースもありますが、それはむしろ例外です。

ほとんどのケースで家賃収入の1~3ヵ月ほどの敷金を預かっているわけですが、そうだとすると、賃貸マンションは実際上、贈与の対象から除外しなければならなくなってしまいます。

でもご安心下さい。これについては税務署も折れてくれました。敷金といったチッポケな額の負担についてもイチイチ負担付き贈与があったものとして一律課税するのも可愛そうだ。ただし条件がある。敷金に相当する額の現金を一緒に贈与しなさい、ということになったのです。

つまり上記のケースで言えば、敷金に相当する20万円を一緒に贈与すれば一般の贈与として取り扱います、というわけです。したがって、この場合の贈与税の課税対象額は700万円ということになります。

なお、実際に贈与する場合には贈与契約書を作成すると思いますが、敷金と現金に関しても条文に記載しておけば完璧です。

触れておかなくても実態さえキチンとなっておれば特に問題ないと思いますが、こういった完璧な契約書を作成し、申告書に添付しておけば税務調査もなくスムーズに事が運ぶというわけです。

いずれにしても税務というのは本当に怖いのです。チョットしたミスで何百万円、何千万円といった税金が余計に課税されることがありますので、十分ご注意下さい。


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