新規開業と開業届出書の提出の必要性の有無
12月になり、ますます寒さが身にしみるようになりましたが、皆様いかがお過ごしですか?
ところで12月というと不動産賃貸業者にとっては決算月ということになりますが、そろそろ税務署から決算書の用紙が届くものと思います。
もしアパマン等を新規に取得(購入、建設)したにもかかわらず、まだ税務署等に開業届出書を提出していない場合にはできるだけ早急に提出するようにして下さい。
この届出書を提出しないと用紙は送ってきません。当然ですね。送ってきたらそれこそビックリします。
それではここで1つ質問します。
1ヵ所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下であれば確定申告する必要がありませんが、開業届出書については提出する必要があるでしょうか?
不動産所得が20万円以下であれば確定申告する必要はないのですが、開業届出書については提出する必要があるかどうかということです。
これについては提出する必要はないことになっております。当たり前ですね。確定申告しないにもかかわらず開業届出書だけが送られてきたら税務署としても困ってしまいます。
それでは確定申告する場合はどうでしょうか? つまり不動産所得は20万円以下だが、医療費控除とか住宅ローン控除を受けるために確定申告する場合には開業届出書を提出する必要があるか否かということです。
因みに、医療費控除等を受ける場合にはたとえ不動産所得が20万円以下であったとしても給与所得に合算して所得税を計算する必要があります。
不動産所得が20万円以下だとしても確定申告して税金を取り戻す場合には不動産所得を含めて申告する必要があるのです。税務署もそういったことについては抜かりがありません。
それでは答えを言います。確定申告する場合でも事業的規模に該当しない場合には開業届出書は提出する必要はありません。
つまり、この届出書は確定申告するケースで、なおかつ事業的規模の不動産貸付けを開始した場合にだけ提出すればいいということになっているです。税務というのは本当にややこしいですね。
なお、開業した場合にはこれ以外に様々な届出書とか申請書を提出する必要があります。以下、代表的な提出書類について解説しておきますのでご参考にして下さい。
<新たに不動産の貸付けを開始したときの届出書・申請書>
1.「個人事業の開廃業等届出書」(上記、開業届出書のこと)
事業的規模の不動産貸付けを開始したときは、開業の日から1ヵ月以内に「個人事業の開廃業等届出書」を提出する必要がある。
2.「所得税の青色申告承認申請書」
不動産の貸付けを開始した年分から青色申告をしようとする場合は、開業の日から2ヵ月以内(その年の1月15日以前に開業した場合は3月15日まで)に「所得税の青色申告承認申請書」を提出して承認を受ける必要がある。
もし提出期限までに提出しなかった場合には次年度からの適用となるので、初年度は白色申告となり青色申告の各種特典は受けられない。
※ 青色申告については事業的規模に該当しなくても適用可能。
3.「青色事業専従者給与に関する届出書」
この特例は事業的規模で営んでいる人のみ適用を受けられる。
提出期限は青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した場合とか新たに専従者を採用することとなった場合は、その開業の日や専従者を採用することとなった日から2ヵ月以内)に提出する必要がある。
4.「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」
個人の場合、この届出書を提出しないと定額法を採用することとなる。一方、法人の場合には逆にこの届出書を提出しないと定率法を採用することとなる(ただし、建物については法人の場合であっても定額法となる。つまり選択の余地はないということ)。
なお提出期限は、開業した年の翌年3月15日まで。