アパマンを建設する場合と購入する場合の違い
最近、サラリーマンの方でアパートとか賃貸マンションを購入される人が増えておりますが、これらを新しく建設する場合と購入する場合でどのような違いがあるのでしょうか?
「3年で10億円のアパートを買った」とか「家賃収入はサラリーマンの年収の10倍」といったタイトルの本が所狭しと本屋に並んでおりますが、読んでみると最終的に手元に残る手取り収入を公開している人は1人もいません。
年収については内訳を書いているケースがあるのですが、残念ながら借金の返済額とか諸経費の額、まして所得税等までを控除した最終の手取り収入について公開している本は皆無なのです。
なぜ書いていないかと言えば、もしこれらの額を公開すると本は全く売れなくなりますし、カリスマとしての存在が全否定されてしまうからです。
実情を知った途端、ほとんどの人は白けてしまい、その人の元を去っていくのが目に見えているのです。
なぜ、このようなことが明確に分かるかといえば、私は資産税に特化した会計事務所として数多くのアパマン経営者の確定申告のお手伝いをさせていただいているからです。
もちろん、アパマン経営者の全てが儲かっていないわけではありません。本当に儲かっているのは都市農家の方のように元々大地主である人が土地の有効活用としてアパートとか賃貸マンションを経営しているケースです。毎年の手取り収入がウン千万円という方が当社のお客様の中だけでゴロゴロいます。
一方でサラリーマンの方とか勤務医の方で賃貸物件を購入している人の手取り収入は残念ながらそれほど多くありません。もちろん、本業の給与収入はそれなりにあるのですが、不動産収入に係る手取り収入は多くないのです。
この理由はお分かりでしょうか? 何となく理解されていると思いますが、要するに借金の返済とか修繕費、各種税金の支払等でほとんど消えていくからです。
この中で特に手取り収入に影響を与えるのが土地取得に伴うものです。ご承知のように土地というのは建物のような減価償却が全く認められておりません。減価償却というのは最終的に取り壊すまでの期間(法定耐用年数)で徐々に経費にしていく会計上の手続きのことです。
ところが土地というのは税務上も会計上も、価値が下がるとは考えておりませんので、減価償却費という経費は一切計上できないのです。まして不動産の場合はほとんどが借入金で購入しますので、その返済が非常に大変になるというわけです。
つまり経費に算入できない物件を借金で購入するということはキャッシュフローの観点からは最悪だということは明確に認識しておかなければなりません。
このように書くとお先真っ暗なのでフォローしておきますが、借金して購入したとしても完済してしまえば手取り収入は格段に良くなります。借金の返済期間中は非常に大変なのですが、それを耐えて返済が完了した暁には万々歳ということになるわけです。
さきほど「3年で10億円のアパートを買った」等の事例について現状は非常に厳しいのではないかと書いたのですが、それ自体は恐らく間違っていないと思います。ただし、彼等が本業の収入をもやりくりして一生懸命借金を返済していけば、いずれはきっとすばらしい「経済的自由」を獲得できるものと思います。
要するに不動産というものはシッカリした考えのもとに、本業からの収入も考慮した上で適切な物件を計画的に購入していくのであればサラリーマンを引退した後も安定した収入獲得の手段になりうるということです。
皆様方も批評家ではなく、当事者の1人として小さい物件からでも是非トライしてみて下さい。