元利均等返済と元金均等返済のいずれが良いか?
借入金の返済方式には元利均等返済方式と元金均等返済方式の2つの方式があります。
まず元利均等返済方式ですが、これは元金返済額と利息支払額の合計額を毎回等しくする返済方式です。つまり「元利合計均等」返済方式ということになります。
支払利息というのはその時点の借入金残高に利率を掛けて求めますので、元金の返済が進むにつれて減っていきます。そして、元利均等返済方式というのは上述したとおり元金返済額と支払利息の合計額を等しくする方式ですから、元金返済額は最初少なくて徐々に増えていかざるを得ない運命にあるのです。
つまり、元利均等返済方式の場合は当初はなかなか借入金の残高が減らないのですが、終盤にかけてはドンドン勢いよく減っていきます。
一方、元金均等返済方式というのは毎回の元金返済額を等しくする方式です。そして支払利息は元利均等返済方式の場合と同じく、その時点の借入金残高に利率を掛けて求めますので、最初多くて徐々に減っていきます。その結果、各回の元利返済額は最初多くて徐々に少なくなります。
このように、これら2つの方式には大きな違いがあるのですが、アパートとかマンション経営者の場合、いずれの方式が良いのでしょうか?
以下、質問形式でこの問題を考えてみることにしましょう。それでは第1問です。「元利均等返済方式の場合は各回の返済額が等しいので毎期の収支はほぼ安定する」というのは正しいでしょうか?
これは残念ながら正しくありません。その理由は経費に算入できる支払利息の額が徐々に減っていくからです。支払利息の額が減るということは逆に所得が増加することを意味するわけですが、所得が増えれば当然ながら所得税とか住民税が増えます。
したがって、たとえ家賃収入が一定だったとしても手取り収入は減っていくのです。高度成長時代ならともかく、一般的に建物が古くなるにつれて家賃は下がっていくわけですから、税額が増える以上に手取り収入は減っていくのです。
それではいつまで減っていくのでしょうか? その答えは借入金の返済が終了するまでということになります。
借入金の返済が終了しますと経費に算入できる支払利息がゼロとなり所得税等が増えるのですが、そもそも返済自体が無くなるのですから、手取り収入は格段にアップしていくのです。
このように「元利均等返済方式の場合は各回の返済額が等しいので毎期の収支は安定する」というのは正しくないのです。
それでは次の質問です。「元金均等返済方式の場合は返済額が徐々に減っていくので逆に手取り収入は増えていく」というのは正しいでしょうか?
残念ながらこれも正しくありません。この場合は「借入金の返済が終了するまでは手取り収入はそれほど変わらない」というのが正しいのです。その理由についてはご自分で考えてみて下さい。
最後にもう1つ質問します。「元利均等返済方式も元金均等返済方式も支払利息を含めたトータルの返済額は変わらない」というのは正しいでしょうか?
これは明らかに間違いです。元金均等返済方式のほうが元金の返済が早いので利息支払額は少なくなります。元金返済額は当然ながらいずれであっても同額ですから、トータルの返済額は元金均等返済方式のほうが少なくなるのです。
このように元金均等返済方式のほうが収入が安定し、なおかつトータルの手取り収入も多くなるのですが、一方で元利均等返済方式に比べて当初の手取り収入が少なくなります。皆様方はいずれを選択しますか? 一度じっくり考えてみて下さい。