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面倒になった役員給与の税務

平成18年度の税制改正により、役員に対して支給する給与について法人税法の取り扱いが大きく変わってしまいました。

もともと役員に支給する給与については1冊の本になるぐらい複雑だったのですが、それに輪を掛けて難解になったのです。以下、簡単に内容をご説明しますが、国が民間の給与についてまで細かく介入するようになってきたという印象です。

「民間にできることは民間に!」と言いながら、はやり任せらないのでしょうか、様々な届出書を要求するようになったのです。公務員というのはどういうわけか民間人を管理したがるようです。

それはさておき従来は役員給与を「役員報酬、「役員賞与」、「役員退職給与」の3つに分けておりました。

まず役員賞与というのは一般社員の給料に当たるもので、簡単に言えば月給のことです。これについては不相当に高額でない限り損金に算入できておりました。

次に役員賞与ですが、これは一般社員であれば夏季賞与、冬季賞与、決算賞与等に当たるものです。これについては一切損金(経費)に算入できなかったのです。その理由は利益処分に当たるからというものですが、要するに配当と同じ位置づけだったのです。

利益処分ということは税金を支払った後の利益なら株主とか会社の経営者で分けても良いですよ、というものです。

ところがこれについては事前に届出をしておけば損金に算入できるようになったのです。従来は一切損金に算入できなかったものができるようになったのだから万々歳ではないか、と言えなくもないのですが、事前に届出をしなさいということがどうにも気になります。

役員の給与はキチンと申告書に明細を記載することになっておりますので、事前にわざわざ届出をする必要はないはずです。ところがこのように届出を義務付けることは双方にとって手間が増えるばかりです(税務署だって書類を受け付けたり、たまには内容をチェックするでしょうから・・・)。何を考えているのですかね? もう少し前向きな仕事をしてほしいのですが・・・。

最後に役員退職給与ですが、これについては役員報酬と同じく過大でない限り従来どおり損金に算入できます。

ところで今回大きく変わったのは役員報酬を増額するケースです。今までは期の途中であっても増額することができていたのですが、これからは決算の承認に関する株主総会(有限会社の場合は社員総会)終了後でないと増額できなくなったのです。

つまり期の途中において柔軟に報酬を増やすことができなくなったということです。したがって、これからは次年度の収益を正確に見積もった上、1年間の報酬の額を決めなければならなくなりました。

でも、実務上はこれが意外と大変なのです。不動産賃貸業の場合でも入居者が突然退去することになり、退去後の修繕費がかなりかさむことがありますし、臨時的な出費というものは意外と頻発するのです。

でも仕方ありません、お国がやれというのですから従うしかありません。これからは中小企業であっても大企業のようにキチンとした経営が要求されるということでしょう。

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