ゴルフ会員権の譲渡損失と損益通算について
今回は目先を変えて、ゴルフ会員権の譲渡損失と損益通算についてご説明いたします。
実は私の顧問先の社長から最近ゴルフ会員権の税務について質問されましたので、皆様方にも参考になるのではないかと考えたからです。
数年前に、不動産の譲渡損失は他の所得と損益通算できないというビックリするような税制改正があったのはご存知でしょうか?
そのとき、ゴルフ会員権の譲渡損失についてはどうなんだということになったわけですが、これについては特に問題ないということになっています。
つまり、ゴルフ会員権の譲渡損失については、現在でも給与所得とか事業所得、不動産所得といった他の所得と損益通算できます。
それはゴルフ会員権というのは金銭債権以外の債権であり、損益通算が認められていない動産とか不動産には該当しないからという理由です。
以上はゴルフ会員権の譲渡損失と損益通算に関する一般的説明ですから、ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、今回ご説明したかったのは次のような事例についてです。
つまり単にゴルフ会員権の相場が安くなって譲渡損が発生したのではなく、ゴルフ場が倒産した結果、預託金が大幅にカットされた場合の譲渡損についても損益通算の対象となるや否やというものです。
ゴルフ場が倒産した場合、そのまま閉鎖することもありますが、通常は預託金を大幅にカットした上で新会社に営業譲渡されます。
その場合、会員は今まで通りプレーできるケースが多いのですが、このような場合でも損益通算できるのかどうかということです。
これについては結論を先に言えば次のようになります。
A.預託金が100%カットされた場合・・・損益通算の対象とはならない。
B.預託金のカット率が100%未満(ex.95%)の場合・・・損益通算の対象となる。
わずか1%でも預託金の返還請求権があれば対象となるが、100%カットされた場合には一切損益通算の対象から外れることになるということです。
その理由はゴルフ会員権の性格にあります。つまりゴルフ会員権というのは次の2つの権利が一体となっている必要があるのです。
①預託金返還請求権
②優先的施設利用権
ところが上記Aのように預託金が100%カットされますと、①の預託金返還請求権が無くなりますので本来のゴルフ会員権の譲渡とはならなくなってしまうからです。
このように預託金カットの割合が違うだけで損益通算ができたりできなかったりしますので、実際に売却するかどうかはともかく、ご自分の所有しているゴルフ会員権について一度確認しておかれたらいかがでしょうか?
なお、ゴルフ会員権に関する譲渡損失の損益通算については突如としてできなくなるかも知れませんので、税制改正についてはよく注意しておいて下さい。