駐車場経営の損益分岐点
皆様方の中には現在、駐車場経営について検討している方がいらっしゃることと思います。そこで今回は駐車場経営に焦点を合せてみたいと思います。
まず最初に駐車場経営のメリット・デメリットについてまとめておきます。
<駐車場経営のメリット>
①少ない投資資金で気軽に事業を始められる。
②借地借家法の対象外であるため、他の事業への転用や売却がスムーズにできる。
③レンタカー会社とか時間貸し駐車場(コインパーキング)の事業会社に一括貸しできれば比較的収益性が高くなる。
<駐車場経営のデメリット>
①固定資産税の特例がない。したがって、農地を転用して駐車場にしたり、それまで住宅用地であった土地を駐車場にすると税額がかなりアップする。
②立地によっては借り手探しが困難となり、持ち出しになる可能性がある。
③相続時に更地評価(自用地評価)されるため、相続税の節税効果がない。
このように駐車場経営にはメリットもあればデメリットもあります。したがって自分の置かれた状況をよく分析してから取り掛かる必要があります。
ところで、駐車場というのはいったいどれほど儲かるのでしょうか? 1つの事例を挙げて計算してみましょう。
<計算事例>
・固定資産税評価額/台・・・・・・30万円/㎡×20㎡=600万円
・駐車料金/台・・・・・・・・・・・・・18,900円/月
・駐車場の整備費・・・・・・・・・・ゼロとする
このように駐車場1台当たりのスペースを20㎡として計算します。
<計算結果>
駐車場の整備費は無視しますので駐車場に係るコストは固定資産税・都市計画税だけとなります。したがって、駐車場1台当たりの必要経費は次のようになります。
駐車場の1台当たりの必要経費
=600万円×1.7%(固定資産税1.4%+都市計画税0.3%)÷12月
=8,500円
したがって、駐車場1台当たりの利益は10,400円となります(収入金額18,900円-必要経費8,500円)。
ところで利益が10,400円ということは利益率は55%(10,400円÷18,900円)ですから、稼働率が45%以下であれば赤字となるわけです。例えば駐車台数が10台あり、その内4台しか稼動していなければ完全な赤字です。
以上はあくまで駐車場の整備費をゼロとして計算しております。ところが実際にはある程度の費用はかかるわけですから、実行に当たっては損益分岐点をジックリと計算してから行なうようにして下さい。
なお、駐車場にした場合には通常、固定資産税がアップしますが、どれほどの額になるかは自分では分かりません。市町村役場の担当者に教えてもらって下さい。