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アパマン経営の投資判定基準を考える

皆様方はハウスメーカーとか建設会社が作成する事業収支計画書をご覧になったことがあるでしょうか? この帳票にはアパート等を建てた場合の毎年の事業収支がどうなるかが記載されています。

ところで皆様方は、この帳票のどこをご覧になりますか? おそらくほとんどの方は最終的に手元に残る手取り収入(資金収支とか手元残金ともいう)の欄だけを目を凝らしてご覧になっているのではないでしょうか?

要するにいくら儲かるんだというわけです。もちろん、いくら儲かるかということは大切なチェックポイントなのですが、その金額が果たして妥当なのか否かということになると自信を持って説明できる人はいないと思います。

例えば、手取り収入が当初10年間の平均で約300万円だったとしましょう。この300万円という数値が良いのか悪いのか分かりますか? おそらく分からないと思います。分かるわけがないのです。

そこで、実務上どうするかといえば、絶対額ではなく利回りで判断するのです。利回りといってもイロイロありますが、通常は表面利回りで判断します。例えば、10%ならばマアマアであるとか、7%はキビシイといった感じです。

ところが、この表面利回りだけで判断するのは危険です。というのは、この利回り計算では諸経費とか借入金の返済を無視しているので、最終的にいくら手元に残るのか分からないからです。

そこで私は借入金まで返済した後の最終的な手取り収入を投資額で按分した利回り(これを純利回りという)で判断するようにしています。

これについての詳細は現在、本を執筆中であるためそれに譲るとして、ここでは1つの事例を挙げてご説明しておきます。

例えば、先程の事例で工事費等の合計額が1億円かかったとしましょう。そうしますと投資額(工事費等の合計額)に対する純利回りは次のようになります。

投資額に対する純利回り
=300万円÷1億円
=3%

それでは、この3%という数値は良いのでしょうか、それとも良くないのでしょうか? 私の設定している基準では2%以上4%未満の場合、「可」となります(優、良、可、再検討、破綻の5段階)。

「可」の場合は、「良好とまでは言えないが、今の経済状況を考えれば仕方がないといったところでしょうか」に該当します。

投資額が1億円の場合、具体的に手取り収入で計算すると、2%の場合は200万円、4%の場合は400万円となります。

つまり1億円を投資して手取り収入が200万円から399万円以内であればOKだというわけです(400万円以上の場合は「良」に該当し、当然ながらもっと良い判定になります)。

もし、計画しているプランがこれより悪い場合には①プラン自体を変える、②借入金の返済期間を長くする、③一部自己資金を投入する、といった対策を実施する必要があるということです。

なお、この純利回りは家賃設定とか金利設定等によって変わります。したがって、これらの計算の前提条件は当然ながら厳しくチェックしなければなりません。


 


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