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サブリース契約の注意点

サブリース契約というのは要するに一括借り上げのことです。そのアパートがいかに空室が多くても当初契約した家賃が支払われるためオーナーとしては安心できる制度だと言えます。

ところが、どんな制度でもメリットだけということは絶対ありません。もし、そのようなものがあるとすると取引の相手が常にソンをするだけということになり、その制度は長続きしないからです。

サブリース契約の場合で言えば、デメリットとして次のようなものが考えられます。

①借上げ家賃は市場家賃の85%から90%程度である。つまり、この差額がサブリース会社の収入となり、逆にオーナー側からすればそれだけ負担が発生することになるわけである。サブリース会社としてはこの収入で空室リスクを負担したり修繕費あるいは管理費等を支払うことになる。

②サブリース会社が倒産すると家賃を支払ってくれなかったり敷金が戻って来なくなる。

まず①ですが、気を付けていただきたいのは借上げ家賃の相場です。通常は市場家賃の85%から90%程度が多いのですが、元になる市場家賃を高くすると、当然ながらオーナーに入る収入は多くなります。

借上げ家賃が高いということは、逆の立場、つまりサブリースをする側からすれば儲けが少ないということです(場合により赤字となる)。それなのに、このような契約をするということは何らかの魂胆があると考えるべきなのです。

ご承知だと思いますが、サブリース契約というのは、たとえ全体の借上げ期間が15年とか20年といった非常に長期であったとしても借上げ家賃が保証されるのはあくまで2年とか3年の間だけです。その期間が過ぎれば更新ということになりますが、その場合の借上げ家賃はその時の相場を勘案して再度決めることになるのです。

したがって、借上げ家賃を通常よりも高くしたからといって実際に負担するのは当初2~3年だけです。この程度のことであれば建築費に若干オンすれば済むことです。

例えば、1億円のアパートを建てた場合を考えてみましょう。表面利回りを12%としますと年間の満室時の家賃収入は1200万円となります。この場合に借上げ家賃を建築費の11%(1100万円)とし、入居者から貰う家賃収入が1000万円だとした場合、1年間ではたかだか100万円(1100万円-1000万円)の負担です。2年間では200万円に過ぎません。200万円の負担で1億円の収入が期待できるのです。

つまり、次のような流れになります。まず高めの家賃設定で事業収支を良くした計画書を作り建築を勧めます。サブリース契約ですからオーナーの危険負担はほとんどありません。その結果、アパート経営をスタートするのですが、当初の2、3年は計画通りに収入が入ります。ところが、その後の更新契約では世間相場が下がったと言って借上げ家賃を下げて来るのです(中古の家賃は通常、新築の家賃より下がります)。

このように新築時のサブリース契約には上述したような落とし穴が隠されているということは是非理解しておいて下さい。私は何もサブリース契約が悪いと言っているのではありません。リスクを軽減するには非常に良い制度だと考えております。
制度としては良いのですが、中には制度を悪用する業者がいるので、気を付けていただきたいということです。

次に②のサブリース会社が倒産するという危険性ですが、これについてはサブリース会社の経営の安定性を調査する必要があります。上場していれば財務情報を入手できるのですが、上場していない場合には融資を受ける金融機関等から情報を入手するようにして下さい。
いずれにしましてもサブリース契約だからといって安心してはいけないということです。

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