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中古アパートを土地と建物に分ける賢いやり方

最近、サラリーマンの方で将来の個人年金として、また副収入を目的として中古のアパートとかワンルームマンションを購入する人が増えております。
ひと頃のようにキャピタルゲインではなくインカムゲイン、つまり家賃収入を主目的に利回りの高い物件を選択するようになっておりますので、それ自体は非常に結構なことだろうと思います。
ところでサラリーマンの方の場合、勤務先の経理部の人が年末調整で1年間の税金を計算してくれるため、所得税の仕組みについてはあまり詳しくない方が多いようです。
でも、いったん不動産経営を始めますと、年に一回は確定申告しなければならなくなります。一度経験しますとそれほどでもないのですが、やはり初めての確定申告ではかなり緊張もするようです。

ところで今回のテーマはタイトルにありますように、中古アパートを土地と建物に分ける賢いやり方です。アパートとか賃貸マンションの場合は建物について減価償却する関係上、全体の物件価格を土地と建物に分ける必要があるのです。減価償却というのは取得価額を所定の耐用年数に応じて少しずつ経費に計上する手続きのことですが、この対象となる資産は建物のように減価(価値が下がるもの)していくものだけです。
土地というのは地盤沈下でもしない限り消滅することはありませんので原則として売却するまで一切経費にはなりません。
このようなことから物件価格を土地と建物に按分する必要があるのですが、皆様方はどのように分ければいいと思われますか?

税法では消費税の額から逆算して建物の価格を求め、全体の物件価格から建物の価格を差し引いた額を土地の価格にすればいいと紹介しているのですが、この方法は建物の価格が分かっていなければそもそも計算できないのです。
中古物件について土地と建物の内訳が分からないからどうやって算定するかを議論しているわけですから、消費税の額から逆算するというのは論理的に矛盾があるのです。

また消費税の額を基準に土地と建物に按分しようとすると、できるだけ建物の価格を安くしようと考えます。消費税というのは建物代金にしかかからないからです
マイホームであればこのような考えは正しいと思いますが、アパートのような事業用の場合は減価償却費をできるだけ多くするため建物の割合を高くしたほうが有利なのです。それではどのような基準で按分すればいいのでしょうか?
適当に分けますか? 例えば土地と建物を1対9というように・・・。残念ながらこれでは税務否認を受けてしまいます。税務上はやはり何らかの根拠が必要になるのです。

これについては一般的に固定資産税評価額で按分するのがいいようです。その理由は建物にかかる固定資産税をあまり下げたくない課税庁の思惑から、時価に比較して評価額が高止まりする傾向があるからです(ただし、すべてのケースで有利だとは言えませんので、様々なやり方で試して下さい)。

なお、売買契約書に消費税の額を記載しているケースがありますが、もし、その額が購入者にとって不利なものであれば削除してもらって下さい。売買契約書に消費税の額を記載しなければならない理由は何もないのです。税込価格○○○万円で十分なのです。

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