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共有にしているアパートの記帳方法と確定申告

不動産はできるだけ共有にしないほうが良いと言われますが、実際は共有になっているケースが意外と多いのです。相続のときとか、新しくアパートを建てるときに所得を分散するため敢えて共有にするケースがあるからです。

ところで、このように共有になっているアパートについて、どのように記帳するのか質問されることがあります。これについては簿記の本にも書かれていないようなので、実務ではどのように記帳しているのか、また、その場合の確定申告はどうなるのかについてまとめておくこととします。

まず日々の記帳についてですが、これについては次の2つの方法があります。

①取引ごとにそれぞれ分けて記載していく方法

この方法は要するに自分の持分だけを記帳していく方法です。例えば、ご主人が3分の2、奥さんが3分の1の持分をそれぞれ取得しているケースで考えてみます。まず家賃収入ですが、ある入居者が8万円の家賃を振り込んできた場合、ご主人は8万円の3分の2である53,333円を家賃収入として記帳し、奥さんは別の帳簿に3分の1の26,667円を記帳するのです。

経費も同じです。支払いの都度、それぞれ按分して記帳していきます。このように、この方法は非常に原始的で分かりやすいのですが、非常に手間がかかるというデメリットがあります。

②普段の取引については代表者の帳簿に全額をそのまま記載し、決算時に合計額を按分する方法

この方法は要するに普段の取引(収入、支出すべて)ではあたかも単独で所有しているものとして記帳し、決算時点で合計額に持分をかけてそれぞれの決算書を作成するという方法です。この方法は非常に簡単であるという特色がありますが、複雑なケースではそれなりに難しい判断が要求されます。

例えば、投資用のアパートを夫婦それぞれ2分の1ずつの持分で取得した場合を考えてみましょう。このケースでご主人も奥さんも同じ額の自己資金を投入し、借入金も全く同じ条件で借りた場合には決算書の各項目の数値を半分にすればOKです。

ところが自己資金の額が異なるとか借入れ条件が異なりますと、当然ながら支払利息の額は夫婦それぞれで異なってきます。また、元々どちらかが土地を持っており、その敷地にアパートを建てるケースでは土地の固定資産税が異なります。このようなことから建物の持分が同じであったとしても決算書は微妙に違ってくるのです。

したがって、この方法を採用した場合には決算書を作成するに当たって各勘定科目ごとに配分比率をよく吟味する必要があります。なお、この方法を採用した場合、一般的には合計決算書、科目ごとの配分率表、各人ごとの決算書を作成・提出することになります。

このようにいずれの方法であってもそれなりに面倒ではあるのですが、次年度からは機械的にできますので当初ほどの時間はかからなくなります。なお、私の事務所では2番目の方法で行っております。

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