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土地と建物を別々に購入(契約)して始める賃貸住宅経営について 第3回

土地と建物を別々に購入(契約)して始める賃貸住宅経営について 第3回

 前回前々回でお伝えしたように、土地と建物購入型の賃貸住宅には、「分譲型賃貸住宅タイプ」と「土地を購入し、その後建物プランを検討して賃貸住宅を建てるタイプ」に分かれます。
 今回は、「土地を購入し、その後賃貸住宅を建築するタイプ」について解説します。

土地は誰と探すべきか?

 「新たに土地を購入して賃貸住宅を建築する」パターン、つまり「土地の売買契約」を行い、その後に「賃貸住宅の請負契約」を行うパターンです。このパターンでは、賃貸住宅経営に相応しい土地を見つけて、そこに最適な賃貸住宅を建築するという流れになります。
 つまり「賃貸住宅経営の視点」でいい土地を見つけるということですが、これが賃貸経営に精通した専門家でないと中々難しいようです。

 賃貸住宅経営においては収益性が重要視されます。単に「いい住まい」の提供だけでなく、賃貸住宅投資としての適切なリターンを得なければいけません。そのためには、「収益の上げやすい土地」を見つけ、「収益の上げやすい住宅建築」が必要です。加えて、賃貸住宅建築においては、一般的な戸建住宅に比べて法規制が多くなり、これに合致しないと「建築確認申請」が降りません。
 こうしたことから、このパターンでの賃貸住宅経営を検討するときには、賃貸住宅経営の専門家とともに「土地探し」を行うことでスムーズに進めることができるでしょう。

賃貸住宅需要を読み解いて土地探し

 どんな土地が賃貸住宅に向いているかを、まず賃貸需要の視点で検討してみます。
 賃貸住宅経営は賃借人(入居者)がいてはじめて成立します。たとえ、安くて広い土地が見つかったとしても、その周辺地域に賃貸住宅需要が見込めなければ「向いている土地」とは言えません。
 また、賃貸住宅経営は、途中で物件の売却をしなければ、30年以上の長期にわたります。そのため、現状は賃貸需要があっても、30年後の需要を見込んでおく必要があります。現在の日本の人口はわずかずつですが減少基調にあります。しかし、住宅需要に直結する世帯数はまだ増加しており、とくに単身世帯は増加の一途にあります。世帯数や単独世帯数の将来予測が都道府県別や主要都市別に公表されていますので、それらを参考にするとよいでしょう。

賃貸住宅経営に相応しい土地形状

 賃貸住宅経営における収益性を考えれば、賃貸住宅建築用地に適した土地パターンがあります。

1)広さについて
 広さについては、賃貸住宅に相応しい土地は概ね100坪以上は欲しいところですが、都市部では50~60坪の敷地に建てている例も多く見られます。逆にもう少し広い土地では、立地による用途制限にもよりますが、例えば商業ビル等といった別用途の可能性も広がり、その多様性から土地単価が上がる傾向にあります。賃貸住宅適地は、広すぎず、一等地過ぎず、適度な住宅街が相応しいと言えます。

2)間口形状について
 間口という言葉を聞いたことがあると思いますが、「土地における間口」とは道路に接している敷地面のことを言います。建物を建てる時には、「接道義務」があり、2M以上道路と接していない土地に住宅を含めて建物を建てることはできません。
 間口の広い土地は利用効率が高く、また建築工事もしやすく、賃貸住宅にむいています。逆に、都市部では、間口が2M程度しかなくても、奥に入れば広くなっているような土地もあります。こうした土地をその形状が似ていることから「旗竿地」と呼ばれますが、一応、2M以上の接道があれば住宅を建てることができます。
 とくに、車移動が中心の地域では、こうした「旗竿地」は駐車場の設置が難しいこともあり、賃貸住宅用地としては向かないでしょう。また、セキスイハイムが建築するような、ゆったりとした広々空間の賃貸住宅では、奥まった敷地はイメージにそぐわないとも思います。

3)セットバック
 また、間口が広くても、前面の接道の幅が4M未満の場合、セットバックといって、道路の中心線から2M分は後退させ、建築物を建てることができません。土地売買の際に、「敷地面積〇〇㎡ただし私道負担分〇㎡」というような記載があり、これらは道路のセットバック部分のことであることが多いようです。この部分は、敷地面積に入っているので、土地価格に含まれていますが、実際は使えない面積ですから、これを勘案しておかなければいけません。

 このように、賃貸住宅用の土地を探す場合には、かなり専門的な知識が必要です。とくに、「どんな賃貸住宅を建てられるのか?」については、建築基準法の知識は必須となりますので、土地購入前に賃貸住宅建築の専門家に相談は必須です。

どのようにして賃貸住宅に相応しい土地を探すか

 賃貸住宅用の土地を探では、次の3つのパターンが多いようです。

A:自分で探す(ネットなどで情報を集める)

B:不動産会社に探してもらう

C:賃貸住宅を建築する会社(もしくはその関連会社)に探してもらう

 ご自身に建築や賃貸住宅経営の知識があれば、自分で探すこともある程度はできると思いますが、ネットに掲載されている土地情報はマンション等に比べると圧倒的に少なく、また掲載されていても、かなり厳しい(値段が高い、形状がイマイチ・・)土地が多いようです。
 土地売買は、業者間取引が多く、市場に出回らず成約することが多いようです。そのため、地域密着型の不動産会社などに声をかけて親しくなっておくと(Bのパターン)、思わぬいい出会いがあるかもしれません。

 しかし、賃貸住宅経営のための土地探しで一番のオススメは、Cでしょう。
 「この土地なら、どんな(階数、広さ、部屋数など)の賃貸住宅が建てられ、その場合どんな収益シミュレーションになるのかが、素早くわかります。前節で述べたような少々難易度の高い土地をいかにうまく活用するかも指南してくれます。セキスイハイムのような賃貸住宅建築の実績豊富な企業ならば、こうした賃貸住宅建築・賃貸住宅経営のノウハウがある上に、グループ内外を通じて多くの土地情報が入ってきます。

 「賃貸住宅に相応しい土地をどう探すか」の第1歩は、どの企業に賃貸住宅を建ててもらうか、そのパートナー企業選びからスタートするといいでしょう。

セキスイハイムの取り組み

 セキスイハイムでは、土地活用としての賃貸住宅建築はもちろんのこと、土地購入タイプの賃貸住宅建築も行っています。ご興味のある方は、お近くのセキスイハイム各店へお問い合わせください。

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

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