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土地購入から始める賃貸住宅経営のポイント

土地購入から始める賃貸住宅経営のポイント

 2013年以降、なんらかの賃貸住宅経営を行う方は年々増えています。
比較的少額で始められるワンルームマンション経営、所有する土地の有効活用として賃貸住宅を建てる方、新築・中古問わず賃貸住宅を購入する方、土地を購入してそこに賃貸住宅を建てる方・・そのバリュエーションは様々ですが、おそらくこの10年間は、史上最も多くの方が、なんらかの賃貸用の住宅を所有し、賃料収入を得ていることでしょう。

なぜ、賃貸住宅経営を行う方が増えたのか?

 どのような理由で、多くの方が賃貸用住宅を建築(あるいは購入)されたのでしょうか? 土地活用として行う賃貸住宅建築、賃貸住宅経営では、遊休地の節税、相続税対策などが理由の方が多いようです。特に、2015年に相続税の計算方法が改正されてからは、納めるべき方が増えましたので、14~15年あたりは、駆け込み的に増えました。

 ワンルームマンションを購入し賃料収入を得る方は、サラリーマンやOL、勤務医、大学教授、公務員という、あまり自由時間は取れないが安定収入を得ているという方が多いようです。金融機関からの融資が付きやすい上、管理に手間がかからないという特性から、こうした方々に支持を得ているものと思われます。
 加えて、今後ますます可能性が高まってきたインフレ懸念に対応する手段として、インフレに連動して上昇する(可能性が高い)賃料収入があることで、リスクヘッジへつながることも、大きな理由でしょう。また、投資の際に借りたローンの返済が完了すれば、私的年金的なモノになります。

土地を購入してからの賃貸住宅経営の注意点

 土地を所有している方による、遊休地を活用して賃貸住宅経営を行うことは、先に述べたような理由で広く行われています。このところは、2013年~18年に大きく増えた反動に加えて、新型コロナウイルスの影響で多少落ち込んではいますが、早晩着工数は回復すると思われます。
 2016年ごろから、遊休地を所有していない一定額以上の収入や大きな資産を保有する方などによる、「土地を購入して、そこに賃貸用住宅を建てる」というケースが増えていました。こうした傾向は、不正を行った企業の問題が発覚したこともあって2018年後半ごろから融資審査が厳しくなり、少し下火になっていました。しかし、21年に入ってからは、再び少しずつ増えてきているようで、審査基準も一時に比べれば緩和されているようです。

 土地を所有していない方の、賃貸住宅のパターンとしては、

①土地を購入して、そこにその後賃貸住宅を建てる

②新築賃貸住宅(1棟)を購入する

 という2パターンが考えられます。

 1つ目のパターンにおいては、「いい土地を、手ごろな価格で入手できるか」、が大きなポイントとなります。日ごろから、土地情報に強い不動産会社と連絡を密に行い、優良な土地の情報を入手するようにしたいところです。加えて、入手した土地の立地によって賃貸需要が異なるため、「その立地に相応しい間取りや設備」をハウスメーカー等施工会社と綿密な打ち合わせが求められます。
 大手企業ならば、グループ企業に土地情報を多く持っている不動産仲介会社や地域の不動産仲介会社と密接に情報のやり取りを行っていますので、こうした「土地を購入しての賃貸住宅経営」を考えている方は、まずはハウスメーカーに連絡するとよいでしょう。

 2つ目のパターンでは、いわば建売住宅の賃貸住宅版があります。立地はもちろん、建物の内部・外部を実際に見ることができるので、まずはじっくりと現物を見ることから始まります。
 注意しなければならないのは、想定利回りだけに目が奪われないことです。安価な住宅設備品などで仕上げた安い賃貸住宅の場合、それなりの賃料が取れるので、利回りはよく見えます。しかし、新築時は上手くいきますが、築10年を超えたころから、入居者がつかず困る例も見られます。一定レベルの外観、住宅設備品を使った賃貸住宅でないと、最近の目の肥えた賃貸住宅入居者にそっぽを向かれてしまう、という点には注意しておいた方がいいでしょう。

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

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