不動産市況

土地と建物を購入して始める賃貸住宅経営について 第2回

土地と建物を購入して始める賃貸住宅経営について 第2回

 賃貸住宅経営は、区分マンション投資でなければ、土地と建物が一体となった建物内に複数戸存在する1棟物件を入居者に貸すことで賃料を得る活動です。
 そのため、所有する土地の有効活用での賃貸住宅経営でなければ、土地と建物を購入することから、賃貸住宅経営が始まります。
 前回お伝えしたように、土地と建物購入型の賃貸住宅には、分譲型賃貸住宅(建売型賃貸住宅と同義)タイプと土地を購入して、その後、建物プランを検討して賃貸住宅を建てるタイプに分かれます。
 今回は、「分譲型賃貸住宅」について解説します。

分譲型賃貸住宅の2タイプ

 土地と建物を一体として建築済みの賃貸住宅の販売することを、ここでは、「分譲型賃貸住宅」と呼ぶことにします。
 販売までの流れは、まず、ハウスメーカーなどの建築会社が土地を仕入れます。そしてその周辺の賃貸住宅需要を見通した賃貸住宅を建築し、それを分譲販売します。このタイプの分譲型賃貸住宅は、大都市部の周辺都市で、1棟ずつの販売がよく見られます。また、郊外の分譲住宅(=建売住宅)が多く建築販売されている地域、たとえばニュータウンと呼ばれるエリアでも、その区画の一部を賃貸住宅が建築され販売されます。この場合では、2、3棟の分譲ということもあります。

都市型の建売賃貸住宅

 都市部に立地する分譲型賃貸住宅は、投資家が好んで不動産投資を行う物件です。東京23区やその周辺都市、関西(大阪市・神戸市・京都市)の主要地域、名古屋市の主要地域、福岡市の主要地域などで販売されている物件が多いようです。建築工法は、RC造、やS造、木造と工法は様々ですが、不動産投資における利回り重視の投資家が多いため、旗竿地や変形地あるいは狭小地などに、賃貸物件を建てている例が多いようです。これらは、いつも販売しているという状況ではなく、いい土地(適地)が見つかればそこに業者が賃貸住宅を建てて販売するという流れです。

郊外型の建売賃貸住宅

 公団や地方自治体が先導した郊外の大規模ニュータウンの開発は1970年代~90年代に盛んに行われました。また、沿線開発を行う電鉄会社や不動産デベロッパー、生命保険会社なども、ニュータウン開発に参入しました。しかし1990年代後半には都心回帰志向が進み、大都市中心部でのマンション開発が相次ぎました。こうした流れの中で、新規の分譲は大幅に減り、かつて開発したエリアをその地域を得意とするハウスメーカーや工務店に一括販売している例が目立ちます。
 しかし、新しいインフラ(新線)が開通した地域での、ニュータウン分譲は人気が高く、活況となっています。すでに、公団や県などの新規ニュータウン開発が行われておらず、未販売エリアを民間業者に売却して、分譲住宅の開発・販売が行われ、多くの方が購入しています。

 郊外ニュータウンは、一部では衰退の声も聞こえますが、他方、人口増加の地域もありと、新たな局面に入っています。現在も物件販売の中心は分譲戸建ですが、一部賃貸住宅を建築して販売している例があります。
 人口が増えている街では、それにともない流通小売店舗が増え、またその周辺エリアでは研究施設や産業施設などが建築されています。このような流れの中で勤務(転勤含む)する方々が増え、その方々向けの賃貸需要が生まれているという状況です。
 ニュータウンは、整備された街、整然と並ぶ住宅、という地域ですがその一角に建築される賃貸住宅も、開発分譲しているハウスメーカーなどが統一感のある建物を建てており、街の雰囲気形成に一役かっています。
 このような地域に建築され販売される分譲型賃貸住宅は物件数がそもそも少なく、また、投資家目線では賃貸需要が見込まれる物件ということで、人気が出ています。こうしたことから、その多くは建築前、計画段階で販売が完了しているようです。

 しかし、タイミングよく購入するチャンスに遭遇すれば、賃貸住宅需要が伸びている地域の物件ですから、賃貸住宅経営を有利に進めることができるでしょう。セキスイハイムでも、このようなニュータウン内に賃貸住宅を建てていますので、問い合わせてみるといいでしょう。

分譲型賃貸住宅の仕様水準について

 一般的に、建売戸建は土地を買ってオーナーが自由設計する注文住宅に比べて、仕様レベルが劣るというイメージがあります。しかし、現在では「こだわり」の部屋や外観に仕上げることはできませんが、一定水準の仕様となっています。

 土地活用としての賃貸住宅建築は、いわば自宅における注文住宅のように仕様を決めることができますが、しかし自宅用の注文住宅と異なり、きらびやかな賃貸住宅を建築されるオーナーはそれほどおらず、賃貸住宅における一定の水準を満たす仕様の物件が多いようです。

分譲型賃貸住宅に求められるもの

 賃貸住宅において求められる仕様水準は、「周辺の賃貸需要を想定して」、「賃借人のニーズを満たす賃貸住宅」であることが求められます。例えば、豪華な仕様にすれば、その分賃料を高く設定することになりますが、その地域に豪華な賃貸需要がなければ、家賃の高さが敬遠され空室が増える可能性が高まります。賃貸住宅では、躯体などの施工水準が高いことは必要不可欠ですが、その上で、周辺の賃貸需要を想定の上、賃借人のニーズを満たす賃貸住宅の建築が求められます。

 このような観点で、賃貸住宅の建物を選ぶ(または建築する)といいいでしょう。そのためにも、施工実績、販売実績の豊富な企業を選択することが、賃貸住宅経営のファーストステップとなります。

セキスイハイムの取り組み

 セキスイハイムでは、土地活用としての賃貸住宅建築はもちろんのこと、土地購入タイプの賃貸住宅建築も行っています。またここで述べたような土地と建物一体となった分譲型の賃貸住宅販売も行っていますので、ご興味のある方は、お近くのセキスイハイム各店へお問い合わせください。

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

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