不動産市況

地価の変動と賃貸住宅経営

地価の変動と賃貸住宅経営

4つの地価

 「地価」と呼ばれるものは4つあります。
 「一物4価」と呼ばれる地価には、公示地価、基準地価、路線価、そして、固定資産税評価額の4種類あります。それぞれ、調査(公表)主体が異なり、いつの時点の価格という価格時点が異なります。しかし、一般的に地価というと、大抵は公示地価のことを指すことが多いようです。公示地価は、地価公示法という法律がありそれに基づいて、国土交通省が毎年1月1日時点の地価をその年の3月半ば頃に公表しています。

 以下、それぞれについてまとめておきます。

 公示地価と基準地価は、概ね同じような地価になりますが、路線価や固定資産税評価額は、公示地価・基準地価の70~80%となります。

 また、公表される地価ではありませんが、言うまでもなく実際に取引される価格(実勢価格)があり、取引の基準とされる基準地価よりも都市部では高くなっていることが多く、地方では低くなることもあるようです。

賃貸住宅経営と地価の変動

 賃貸住宅経営・土地活用において、地価の上昇下落はどんな影響を与えるのでしょうか?
 自身が保有する遊休土地がある場合、その場所に賃貸住宅を建築するか、あるいは手放すかの選択を検討する方もいると思います。地価上昇期には、「今は、高く売れる」として手放す方も増えるのかもしれません。また、先祖代々の土地を手放せないという方も多いと思います。しかし、地価上昇が続くと、その後しばらくして住宅賃料が上昇する傾向にありますので、「賃貸住宅経営の始め時」とも言えます。

地価の変動と住宅賃料

 では、地価上昇下落と賃料の関係はどうでしょうか?
 賃料には粘着性という性質があります。一気に動くことが少なく(上昇が緩やかで)、また価格上昇下落(変動)の動きが鈍いというイメージで捉えてください。
 賃料契約は2年や3年ごとの更新というのが一般的です。毎月の家賃変動はなく、契約期間中は固定されます。また、家賃の改定の際には、10%を超えるような大きな上昇や下落はあまり行われません。更新の際の上昇下落は、前家賃に比べてそれほど大きな乖離はないものです。しかし、住宅賃料上昇期は、新たな入居者を募集する時には、強気の賃料を提示することもできます。

地価下落が続く地域での土地活用

 「遊休土地をどうするか」を考える際に、地価の上昇下落は、「手放すか、活用するか」という検討に大きな影響を与えることは間違いありません。

 人口減少・世帯数減少が続くような地域では、新たにインフラ整備(例えば、新幹線の駅ができる、大学のキャンパスが移転してくる等)が進むといったビックイベントがない限り、今後も地価下落を続ける可能性が高いと思われます。つまり、放っておけば遊休土地の資産価値が目減りしていくということです。

 このようなエリアに遊休地をお持ちの方は、「地価の今後の見通し」だけで判断すると、手放すとすれば早く手放すか、あるいは賃貸住宅経営などの土地活用を行い収益を生む資産に変えるか、の選択は早ければ早いほどいいと言えるでしょう。

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

関連記事