税に関すること

相続時や不動産所有で重要な路線価について

相続時や不動産所有で重要な路線価について

 相続税の算定や贈与税の算定をする際に、現金や株式などは、価格の査定が容易ですが、土地や建物といった不動産に関しては、個別性が強いため価格算定が容易ではありません。その一方で、資産が不動産に偏る傾向にある我が国では、相続税の徴収において不動産資産は重要な要因となります。
 今回は、その算定基準となる路線価について考えてみましょう。

路線価とは

 路線価とは、4つの「公的な土地価格」のひとつで、道路に面した宅地の評価額で、毎年1回、7月に国税庁から公表されます。国税庁が公表していることから分かるように、相続税・贈与税、そして固定資産税における不動産の価格算定に用います。路線価(路線価が設定されていない地点(=土地)では評価倍率)は、全国にある宅地、田、畑、山林が対象となります。ここでいう、「宅地」とは、住宅地という意味ではなく、住宅、商業施設、ビル、工場など、その用途にかかわらず、「建物の敷地となる土地」をさします。

固定資産税評価額と相続税評価額

 路線価と呼ばれるものには、厳密には固定資産税路線価と相続税路線価の2つがあります。
 このうち相続税路線価は、国に納める国税である相続税・贈与税等の課税のためを目的とし、国税庁が算定しています。相続税路線価は公示地価の約8割程度となっています。ふつうに路線価と言えば、こちらを指すことが多いようです。毎年1回1月1日が価格時点(地価公示と同じ)で、7月1日に公表されます。23年中にお亡くなりになった方の相続に伴う相続税、23年中に行われた贈与に伴う贈与税などは、この相続税路線価を使うことになります。

 一方、固定資産税路線価は、市区町村(東京23区の場合は都)に納める地方税である固定資産税の算定を目的としていており、各市町村が算定しています。固定資産税路線価は、公示地価の約7割程度となっています。固定資産税路線価から固定資産税評価額が算定され、これに基づいて固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税といった不動産を所有・取得に関する税の基準となります。価格時点は同じく1月1日、3年ごとに更新され、基準年の4月に公表されます。
 3年に1度の更新(21年は3年に1度の見直し年でしたが、新型コロナウイルスの影響が大きかった為、1年間の見直しの据え置きがありました。)ですので、地価が上昇している状況であれば、路線価の据え置きは不動産所有者の不利益にはなりませんが、地価が下落している状況であれば不利益が生じます。
 そのため、地価下落時は、できる限り固定資産税路線価額に反映させるため、市町村(東京23区の場合は都)の判断により簡易方法で修正を加えることができます。これを時点修正といいます。

路線価の計算方法と路線価方式

 路線価は、具体的には宅地の面している道路の路線価を確認し、その値をもとに宅地の相続税評価額を計算します。例えば、路線価が300千円の道路にだけ面している宅地が100㎡であったとします。このとき宅地の評価額は300千円×100㎡=30,000千円です。
 国税庁などのサイトを見れば分かりますが、路線価が示されているのは、道路に面している宅地のみで、道路に面していない場所は、「路線価方式」と呼ばれる方法で計算します。路線価方式とは、宅地が面する路線に付けられた路線価を基準として、宅地の奥行・距離に応じる奥行価格補正、側方路線影響加算、二方路線影響加算等の補正などの調整を施して計算された金額によって評価する方式のことをいいます。

路線価の詳細

 路線価は、特定条件や奥行距離等による補正、その他の計算方式はかなり複雑です。国税庁のホームページで検索すれば、ご自身で路線価を計算することもできます。
 https://www.rosenka.nta.go.jp/

 課税額は、個人の状況によりかなり異なりますので、より詳細な税額については、セキスイハイムや税の専門家に相談するといいでしょう。

路線価の傾向

 最後に、23年の路線価の見通しですが、路線価はここまで述べたように、3月下旬に公表される公示地価と同じ価格時点であり、また公示地価などを基にした価格(時価)の80%程度を目途に評価されています。そのため、路線価の前年変動率などは3月に発表される公示地価と同じような傾向となります。

 よって、今年の7月1日公表予定の23年路線価は、22年よりも価格上昇、そして上昇幅も大きくなるでしょう。特に、地方主要都市における住宅地の路線価の上昇が顕著になる見通しです。

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