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わが家の土地、どう活かすべき?失敗しないための土地活用10カ条

監修:鹿谷哲也 (しかたに てつや)(株)鹿谷総合研究所 代表取締役 公認会計士鹿谷会計事務所 所長 公認会計士・税理

【土地活用コラム】CHECK06 [相続について]相続税を正しく理解し、納税用地の確保を検討すること

■相続発生時、相続税をどうやって納める?事前に想定を。

土地活用を成功させるためにしっかり検討しておくべきことの一つ、「相続」。前回のコラムでは土地の特性に合わせた“相続しやすい”活用計画について解説しました。今回取り上げるテーマは、相続が発生したときの相続税の“納め方”。どのくらいの相続税が発生するのかを知り、どのように相続人が納税するのかを考えておくことは、土地活用の計画において非常に重要なポイントとなります。

なぜ計画の段階で相続のシミュレーションをしておくべきなのでしょうか?それは、予想される相続税額に対して金融資産が不足している場合、土地の一部を納税用地として確保しておくことも検討しておくべきだからです。土地活用を一旦スタートしてしまうと、土地の一部だけを売却することは難しくなります。土地全体を売却するという方法も考えられますが、一度アパートなどを建築してしまうと更地の状態よりも売却するのが難しくなる上、売却できたとしてもかなり買い叩かれる可能性が高くなります。また、無計画に土地活用を始めてしまったが故に相続税の納税にリスクを抱えるケースもあります。土地活用の際は相続税がどのくらいかかるのかを事前に把握し、どのように納税に備えるべきかを計画しておきましょう。

■相続税がかなりかかる!?こんなケースでは、とくに注意を。

所有している土地の特性(とくに立地や広さ)によって相続税は変化しますが、次のようなケースでは相続税がかさむことも多いので、とくに相続税納税のシミュレーションを事前にしておくことが望まれます。

1)	路線価が高く、容積率の低い土地。

とくに都心の住宅地に多いケースです。都心部にある住宅地は一般的に容積率が低いので、それほど大きな建物は建てられません。一方で路線価が高いので、建物を建てた後でもかなりの相続税がかかる場合があります。

2)	土地活用がしやすい形状で、道路事情のよい土地。

土地の形状が正方形に近かったり、二方路線・三方路線に囲まれた角地・準角地だったりと、“活用しやすい”ケース。当然、土地の評価額が高くなり、相続税が高額になりがちです。

3)	大通りに面している、容積率300%以上ある、といった商業向けの土地。

500㎡(三大都市圏の場合)以上の広さを持つ土地の場合、従来は「広大地評価の特例」としてかなりの評価減を受けられました。しかし、この特例が廃止され平成30年1月1日以降の相続から「地積規模の大きな宅地」という表現の下、評価方法や適用要件が大幅に変わるとともに評価減額が半分ほどに縮減されました。したがって、このような土地の場合には、かなり大規模な建物にしないと相続税が納められない可能性があるので注意する必要があります。

4)	相続人が少ないケース。

相続人が少ないとそれだけ基礎控除額も少なくなるため、納税しなければならない相続税も高くなります。

5)	土地以外に多くの財産を所有しているケース。

相続税は土地だけでなく金融資産や有価証券などすべての財産に対して課せられ、その財産が多いほど相続税は膨らみます。とくに自社株を所有している場合は要注意。一般的な上場株は売却することで金融資産に替えることができるため問題ありませんが、自社株の場合はその価値が思いのほか高く評価される上に事業継承の観点から売却することも難しいため、納税の手段を事前に計画しておくことが必要です。

■まずは相続税のシミュレーションを!

「相続はいつになるかわからない。まだ先の話」「とりあえず今は更地のままで置いておこう」と土地活用を先送りにされている方も多いのが事実です。しかし何の対策も講じないままだと、固定資産税を払い続け、いざ相続のタイミングになって多額の相続税を支払う……ということにもなりかねません。まずはその土地にどのくらいの相続税が発生するのか、簡単にシミュレーションしてみることをおすすめします。

土地に関する相続税シミュレーション:一例
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「土地の評価額、50%減も可能!?『小規模宅地等の特例』について」

相続により取得した土地のうち、一定の面積まで土地評価額を大幅に減額することができるのが「小規模宅地等の特例」。アパートが建っている土地については200㎡まで「小規模宅地等の特例」により評価額が50%減に。この制度を利用すれば、あまり広大な土地でない限り、相続税を過剰に心配しすぎる必要はないかもしれません。

なお平成30年度の税制改正により、相続開始前3年以内に貸付を開始した不動産については対象から除外されることになったため注意が必要です。ただし事業的規模(5棟10室以上)で賃貸経営を行っている場合は「小規模宅地等の特例」の対象となります。

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■金融資産以外の納税方法、いろいろ。

十分な金融資産があれば、相続税の納税に困ることはありません。ただし、冒頭に挙げたケースのように相続税が大きな負担になるかもしれないケースでは、納税方法について検討しておくことが重要です。金融資産以外の納税方法として、例えば被相続人が生命保険に入ることで納税資金を確保しておく方法や、土地の一部を納税用地として確保しておく方法などが考えられます。ただし後者の方法を路線価の低い土地で検討する場合は、注意が必要です。なぜなら、相続税額に相当する金額を用意するために、かなり広大な土地を売却しなければならないケースもあるため。買い手が現れにくい事態も想定し、生命保険や金融資産の積み立てなども考慮しておきましょう。

まずは総資産の棚卸をして「相続税がどのくらいになりそうか」を把握しておくこと。そうすることで土地活用計画を安心して進められるはずです。

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■CASE STUDY

すでに土地活用を始めている場合の、相続税への備えとは?

すでに賃貸経営を始めているケースでは、賃貸物件の築年数に応じて相続発生時の備えも変化します。賃貸物件が老朽化してから相続が発生した場合は、建物を解体した上での土地売却も可能ですし、その時点で事前に建て替えることもできます。
築浅の賃貸物件の場合、相続に備えて家賃収入を生命保険の掛け金に充当する方法もありますし、相続発生後に“延納”を選択して家賃収入を相続税の分納に充てるといった方法も可能です。

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