満室アパート化計画/入居者ニーズをアパート経営に!第11回 世帯タイプ別、洗面所へのニーズ
「お住まいに関するアンケート」第2回調査において、洗面所に関する間取りを尋ねたところ、全体では約6割が「洗面所が独立している」と答えており、とくに既婚者の約8割が「独立」型となっています。
学生は「浴室と洗面所が一体」と答えた人が半分以上で、社会人になると「独立」型の割合が増えます。社会人は金銭的に充実するとともに、社会生活における身だしなみの大切さを実感し、洗面所の役割を重視しているのだと考えられるでしょう。
なお、洗面所がない物件に住んでいるのは、全体では約10%、属性別では学生に多くなっています。ライフステージが学生から社会人、結婚と移るにつれて、洗面所は生活との密着度を増していくと言えます。
洗面所の広さに満足している人は約6割
洗面所の広さについてどの程度満足しているかという質問では、「満足」「まあ満足」を合わせると59.4%。約6割が満足しているということになります。
一方、「不満」「やや不満」なのは、18.3%で2割弱。洗面所は身だしなみを整えるための場所であり、毎日の生活に欠かせない空間としてとらえると、2割弱というのは意外に高い数字かもしれません。
広さに対する不満では、タオルや着替えを入れる所がないなど収納に関することと、家族との同時使用や着替えがしにくいなど動作に関することに大別されます。
洗面所の広さ洗面所の広さ
4分の3は広さ以外についての不満を持っている
洗面所に関して、広さ以外の不満が特にないというのは4分の1。4分の3はなにかしら満足できない点があるようです。
その内容を訊いてみると、シンク・収納などのサイズに関することと、水はねや汚れなどのメンテナンスに関することが多くなっています。賃貸物件であるためか、デザインにまで強くこだわってはいないようです。
こだわり強いのは未婚者より既婚者、男性より女性
調査結果全体を見渡すと、やはり未婚者より既婚者、男性より女性が洗面所へのこだわりを強く持っています。同居者が増えるごとにニーズが多様化しているということがわかります。
これは、自分自身の身繕いの時だけでなく、掃除や洗濯など家事に携わる中で洗面所と関わる機会が多くなるにつれて細かい部分での気づきも多くなり、“機能的かつ広々としていてしかも清潔感を維持しやすい水回り”へのニーズが高まるということでしょう。
子供が大きい家庭では、広さの他にも水栓の数や機能(温度調節やシャワー)などへのニーズがより高まることも考えられます。
不満項目ごとの各属性の割合
●洗面所は浴室と別になった独立型が人気
今回のアンケート結果では、世代が上に行くほど、独立した洗面所を希望する割合が高くなっています。また、2割弱の人が広さに不満を持っています。これらのことから、洗面所は浴室と別になった独立型が望ましいといえます。
最近は世代や男女を問わず現代人のライフスタイルを考えると、何種類ものグルーミング用品を使う人が増え、洗面台に収納したいというニーズも高いのではないでしょうか。

●洗面所は入居者に合わせた広さを確保
設備が充実していれ入居者の快適性は増します。しかしながら、重要なのは広さと収納です。今回のアンケート調査でも、広さへのニーズは、男性よりも女性、未婚者よりも既婚者という結果が出ています。物件の募集ターゲットに合わせた洗面所のスペースを確保することが必要です。
学生を中心に考えるなら、広さよりコンパクトかつ機能的に、社会人ならスペースや収納に配慮した独立型、さらに、ファミリー向けなら容量の大きい収納スペースも確保したいところです。また、女性限定であれば、設備コストを見極めながらデザイン面への配慮もしましょう。

●使いやすさ・お手入れしやすさにも配慮
洗面所は毎日何度も使う水回りだけに、ストレスなく使える配慮も大切です。シンク(洗面ボウル)の大きさ・深さやシャワー機能の有無は、入居者(募集ターゲット)のライフスタイルを考えて選びましょう。
また、水栓は周囲の掃除がしやすいデザインのものを、壁紙や床材は湿気の影響を受けにくいものを使うことが、お部屋の品質維持につながります。