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サブリース契約物件の入居率は高いのか?

サブリース契約物件の入居率は高いのか?

 賃貸住宅経営において最も気になる点は、「空室が出ることで、収益バランスが崩れるのではないか」ということです。
 賃貸住宅経営で、「空室を出さない」ためには、需要を読み込んで、「空室の出にくい物件を建てる」ことが、まず何よりです。加えて、「適切な賃料設定を行う」など賃貸住宅経営を始めてからの運営がポイントとなります。こうした運営(=管理)をどのように行うのか、が賃貸住宅経営を左右することになります。

賃貸住宅管理について~自主管理と委託管理~

 賃貸住宅の運営管理は、建物管理(維持メンテナンス・清掃・点検など)に加えて、入居者管理(家賃等の出納や入居者トラブル対応)、入退去管理(入居者斡旋、入居立ち合い、退去立ち合い、保全管理)など多岐にわたります。これらを、自ら行っている賃貸住宅は、「自主管理」物件と呼ばれます。一方、これらを、管理会社(セキスイハイムでは、セキスイハイム不動産等)に外注する物件は、「管理委託」物件と呼びます。

 委託すれば、当然費用がかかりますが、プロに任せるわけですから、運営がスムーズになり、賃貸住宅経営が大幅に楽になります。リタイアされた方のように時間にゆとりがあれば、自ら行ってもいいかもしれません。

サブリース契約とは

 オーナーの建物を管理会社(例えば、セキスイハイム不動産など)が一括して借上げます。
オーナーとの賃貸借契約(マスターリース契約)は対管理会社と行われ、入居者との賃貸借契約(サブリース契約)は管理会社との間で行われます。
 そのため、オーナーは、煩わしい入退去の手続きや入居者様からの苦情対応など管理会社が貸主となって、代行する形となります。また、このオーナーと管理会社間の契約の中に、先に述べた管理業務が含まれることになります。こうした一括代行のメリットに加えて、賃料収入に安定性がもたらされます。
(注:セキスイハイム不動産では、マスターリース契約の改定は、2年毎、6年固定、10年固定などをご用意しています。また原状回復・メンテナン費用補完特約の付保により最長30年間の一括借上げとなります(エリアやその条件により異なります)。)

マスターリース契約

 マスターリース契約は、特定賃貸借契約ともよばれ、賃貸住宅所有者(オーナー様)とマスターリース業者の間で、転貸目的のために一括して結ばれる契約です。一時的に第三者に転貸するような場合は、マスターリース契約(特定賃貸借契約)に該当しません。

サブリース業者

 サブリース業者(特定転貸事業者とは、マスターリース契約)に基づき賃借した賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営む業者のことです。ここで事業を営むとは、営利の意思を持って反復継続的に転貸することをいいます。

賃貸住宅の入居率は?

 ここからは、入居率について見てみましょう。 言うまでもありませんが、入居率=100(%)-空室率(%)です。

入居率の推移

 図1は、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が年2回公表する「賃貸住宅景況調査」からのデータです。この調査は正会員(不動産会社会員)へのアンケート調査を通じ 、入居率等の賃貸住宅市場で注目される数値を分析しています。ちなみに、2021年度上期の調査では、1,460社(管理会社)中217社(回答率14.0%)から回答が得られた結果より算出されています。なお、本調査は2021年度調査より年1回ごとの実施となり、最新の2021年度データは2022年10月頃に公表されます。(執筆時点:22年8月末では最新のデータまで盛り込んでいます。)
 このグラフを見れば、このところ入居率は高い状況が続いており、97%を超える水準になっています。

これを、サブリース契約賃貸物件とそうでない賃貸物件に分けてみると、下記のグラフのようになります。

入居率の推移

 最新のデータである、2020年度下期ではサブリースで98%、管理委託では93.5%でした。サブリースも委託管理も、年々入居率が上昇傾向にあるのが分かりますが、サブリースの方が委託管理よりも一貫して、入居率が高いのが分かります。

 賃貸住宅経営において、最も気になる空室ですが、事前に収益計画を作成する際には、空室を想定しておくと、空室が出たとしても「想定の範囲内」で収まれば、問題ないと言えます。その際にサブリース契約を行っていれば、一定年ごとの更新や賃料改定がありますが、自主管理や、委託管理よりは、気持ち的にラクと言えるでしょう。

 また、2つ目のグラフのとおり、サブリース契約物件の入居率は相対的に高くなっている結果をみても安心感が増すと思います。

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

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