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賃貸住宅経営における利回りの考え方

賃貸住宅経営における利回りの考え方

 賃貸住宅経営は不動産投資の1つです。土地活用として賃貸住宅を建築して賃貸住宅経営を行う場合と土地と建物合わせて購入して賃貸住宅経営を行う2つのパターンがあります。それぞれ利回りの考え方が異なります。ここでは、賃貸住宅経営における利回りの考え方についてお伝えします。

 賃貸住宅投資を含め不動産投資における利回りは、一般的に表面利回りとNOI利回りの2つがあります。

表面利回りの計算

 最もシンプルな利回り計算は、入ってくるお金を投資したお金で割る方法で、「表面利回り」と呼ばれます。
 (注:以下の式は、土地も合わせて購入するパターンを示しています。土地活用で賃貸住宅投資を行う場合は、その土地価格を公示地価などから算出すればいいでしょう。)

公式1)
 収入(年間:下記参考)÷投資金額(土地+建物+付帯物+諸経費など)=表面利回り

賃貸住宅経営における収入(A)
(毎月入ってくるもの)
賃料、共益費、駐車場・駐輪場などの賃料 (空室、未回収を除く)
(それ以外)
敷金礼金などの内、返還しなくて良い費用  等

NOI利回りの計算

 もう少し、細かくする計算方式が、実際の不動産投資の利回り計算で多く用いられています。

こちらは、収入から経費を引いたもの、つまり純粋な利益(NOI)を投資金額で割る計算方法で、「NOI利回り」と呼ばれます。

賃貸経営における支出(B)
 管理会社にへの管理代行費
 維持管理費
 修繕関連費   等

A-B=NOI  AからBを引いたものを「純営業利益NET OPERATE INCOME (NOI)」と呼びます。

公式2)
 A-B(純利益:年間)÷投資金額(土地+建物+付帯物+諸経費など)=NOI利回り

賃貸住宅投資における適切な利回りとは?

 利回りは、「投資するかどうか」の判断基準の1つです。

「何%くらいの利回りが適切か」ということが言われますが、これに対する回答は、「状況により全く異なる」となります。

 同様に、キャッシュフロー金額(手残り額)で判断される方もいます。これは、「毎月、あるいは毎年○○万円くらいは利益が欲しい」という事ですが、これも「いくら以上だと、投資として相応しい」という明確なものはありません。状況により異なります。

 また、立地により、同じような広さ・設備の部屋でも賃料が異なりますから、利回りも変わってきます。また、建物のグレードにより、賃料が異なりますので、ここでも利回りが変わってくる可能性があります。さらに、不動産の市況により異なってきます。このように、「適切な利回り」というものはありません。
 そのため、担当者から、建てようとしているエリアにおける、同グレードの賃貸住宅におけるその時点での平均的な利回り、平均的なキャッシュフロー(手残り金額)を聞いて判断すれば良いでしょう。

キャップレートについて

 賃貸住宅投資を含めた不動産への投資を行う場合、どのくらいの利回りならば、投資を行うのか? つまりどのくらいの利回りを期待するのか? については、投資を行う方の考え方次第です。立地や対象物件により大きく数字が異なる事は必然と言えます。

 しかし、「どのくらいの利回りを期待している方が多いのか」については、投資をされる方の期待利回りについての妥当性の基軸となると思いますので、知っておくと良いと思います。
 期待する利回りのことを「キャップレート」(正しくはCapitalization Rate)と言います。
賃料やその他の要因が一定だとすると、キャップレートの低下は不動産価格の上昇を意味します。住宅賃料は、当然市況に左右されますが、短期間でそれほど大きな動きをしません。そのため、キャップレートの低下は、大半の場合、価格上昇を意味することになります。それはつまり、「価格上昇でも、不動産投資、賃貸住宅投資を行いたいと思う方が増える傾向にある」ということになります。

 キャップレートはいくつかのシンクタンクから公表されていますので、参考にされるといいでしょう。
(注:これらのキャップレートはNOI利回りでのものが主流です。)

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

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