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CRE戦略をどんな会社に頼めばいいのか?

CRE戦略をどんな会社に頼めばいいのか?

 CRE戦略のアドバイスを行う企業には、どんな企業があるのでしょうか。

 CRE戦略と言っても、その様態には様々なパターンがあります。それにも関わらず、実は、選択肢があることを知らずに、つまりは、他の選択肢と比較検討することなく企業がCRE戦略を進めてしまうケースが多々あります。なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか。
 それは、CRE戦略のアドバイスを行う企業それぞれの目論見で、CRE戦略のアドバイスが行われていくからです。
 CRE戦略のアドバイスを行うプレーヤーは、その得意とする分野ごとに4つに大別することが出来ます。

1)不動産仲介会社
 いうまでもなく、メインビジネスはは「売買」の仲介業務です。
売買手数料が主な収入となりますので、「不動産が動かない」限り、収入はありません。
大きな不動産の売買となるとその仲介手数料はかなりの額になります。売買仲介の場合、売主から仲介会社が受け取る仲介手数料は売買金額の3%(+6万円)、買主から仲介会社が受け取る手数料も3%(+6万円)が上限となります。例えば、1億円の土地だと売主は仲介会社に約300万円、買主は仲介会社に約300万円支払うことになります。仲介会社が双方の代理だった場合は、最大600万円を手にすることが出来ます。
 「不動産が動かない限り収入がない」会社にアドバイスを求めると、「不動産を動かしましょう」つまり、「売る」か「新たに買う」かの2択のアドバイスが中心となり、第3回で述べたような、5つのアクションを全て俯瞰するようなアドバイスが受けにくくなります。

2)銀行系列の不動産会社
 中小企業等の場合、メインで取引している銀行にアドバイスを求める例が多く見られます。企業の財政状況を把握しているというのが銀行系の最大の強みと言ってもいいかもしれません。また、地方銀行には、後継者難で事業用の不動産を売却したり整理したりする相談が増えており、系列の不動産会社がそれを対応するパターンが多いようです。
 現在の銀行は、本来のメイン事業である「貸す」、「資産運用する」では収益が上がりにくくなっており、最近は手数料ビジネスに走る傾向にあります。保険や株式、投資信託などの販売、不動産やM&Aの仲介といった企業を取り巻くあらゆる手数料ビジネスを行っています。
 銀行の担当者が不動産に詳しければいいですが、そういう行員は少ないので、いいアドバイスをもらえるかどうかは、担当次第といえるでしょう。

3)土地活用・ハウスメーカー等建築系企業
 もっとも、相談件数の多いのは、セキスイハイムとはじめとしたハウスメーカー等の、土地活用のアドバイスを行っている会社でしょう。遊休地や低・未利用地に不動産を建ててもらう、つまり建物建築の受注が目的となりますが、施工実例が多いため、様々なパターンのアドバイスを受ける事が可能です。
 アドバイスをしている企業の「土地」の上に建てられる建物の建築受注が重要なわけなのですが、もし、土地が「売買」になってしまった場合には、グループ内の不動産会社と連携し、売却のサポートをしてもらえますし、また新規に購入する際も、積極的に動いてくれます。また、土地を「定期借地」として借りるような借り主を探してくれることもありますので、バランスの良いアドバイスが受けれるものと思います。

 1)3)以外にも、相続系の事業承継コンサルティング会社などがアドバイスを行うこともあります。
 これらの主力プレイヤーが、CRE戦略のアドバイスを行っています。そのプレイヤーのメイン事業にもっていこうとするのではなく、全体を俯瞰できるような多角的な、企業にとって最適な選択肢を提示してくれる企業を選ぶことが重要です。

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