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賃貸住宅と持ち家の着工戸数について

賃貸住宅と持ち家の着工戸数について

 住宅着工統計は、新設住宅に関する統計で、国土交通省より毎月公表されています。同じく、国土交通省から発表される建築着工統計と混同してしまう方もいるようですが、実は住宅着工統計調査は建築着工統計調査から住宅のみを取り出してまとめているものなので、建築着工統計調査の一部と言えます。この住宅着工統計は、建築主から都道府県知事に提出された建築工事の届出を毎月集計して作成されています。

上図は、今年に入ってからの貸家着工戸数のデータです。貸家着工戸数は全ての月で前年比マイナスとなっています。

 2016年までは好調に推移していましたが、2017年頃から勢いにブレーキがかかりました。この頃に問題が起こり、それまで金融機関で続いていた金融機関の積極的な融資姿勢が、一部で厳格化してきたことや、また相続税の改正や消費税増税に伴う、駆け込み的な需要が一巡したことなどの影響により、2017年後半から貸家の着工戸数の勢いがなくなりました。
 つまり、先ほどの2020年だけのグラフで見た減少傾向は、新型コロナウィルスの影響を受けての減少というわけではなく、貸家全体として着工戸数が減少傾向にあるためというわけです。
 しかし、このことは新規に賃貸住宅を建てようというオーナー様にとって、決して悪いデータではありません。なぜならば見方を変えると、競合となりうる築浅の賃貸住宅の数も減っていると言えるからです。

 最後に参考までに、持ち家の着工戸数をみていきましょう。

上図は、2020年の月別の持ち家着工戸数の推移です。
こちらも、どの月も前年割れが続いています。
 しかし、長期的にみると、もう少し別のことが見えてきます。

 2020年は確かに減少が続いていましたが、2020年の減少率は、長期で見てもかなりの大きさであるのが分かります。ただ、緊急事態宣言から数か月が経ち、その減少幅は若干落ち着きを見せているようです。

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

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