法人であれば4月以降でも消費税の還付を受けられます!
2009年12月28日のブログ、「建物に係る消費税の還付はどうなる?」でご紹介したとおり、アパート・マンションに係る消費税の還付は今年の3月31日をもって実質的にできなくなります。
ただし、法人を新たに設立することによって改正前の税制を適用することが可能です。今回は、この点について解説しておきます(個人の場合もできるケースがありますが、極めて限られていますので省略いたします)。
2009年12月28日のブログに書いたとおり、新しい税制は
「平成22 年4月1日以後に課税事業者選択届出書を提出した事業者の同日以後開始する課税期間から適用」することになっています。
したがって今年の3月31日までに法人を設立し、同日までに課税事業者選択届出書を提出しておけば、建物の取得が4月以降であっても改正前の税制が適用されるというわけです。
具体例を挙げてご説明いたしましょう。
<事例>
現在サラリーマンをしているAさん、相続で取得した遊休地にアパートを建築すべく、ハウスメーカーの担当者と打ち合わせ中であるが、その建築プランの概要はだいたい次のとおりである。
・Aさんの年収・・・1000万円(奥さんは専業主婦)
・間取り・戸数・・・2LDK×12戸
・建築費・・・・・・1億500万円(うち消費税500万円)
・完成予定・・・・・22年9月末
このままでは当然ながら消費税の還付を受けることはできない。またAさん自身、かなりの給与収入を貰っているので、できれば所得分散を図りたいと考えている。
そこで専業主婦をしている奥さんを代表取締役とする同族法人を設立、法人が個人から土地を借りてアパートを建てるプランとする。なお奥さんには役員給与を支給することとする。
<スケジュール>
1.法人の設立登記・・・平成22年3月15日に登記申請する(決算月はアパートの完成予定である9月とする)。
2.開業届出書等の提出・・・平成22年3月25日に税務署、県税事務所、市町村役場に各種の届出書等を提出する。この中には当然ながら消費税課税事業者選択届出書を含む。
3.自動販売機の設置・・・建築予定地に自動販売機を設置すべく業者と打ち合わせた結果、平成22年5月初旬に設置することとする。
4.アパートの完成・・・予定どおり、平成22年9月下旬にアパートが完成、引渡しを受ける。
5.法人税、消費税の確定申告・・・9月決算なので11月が法人税および消費税の確定申告期限であるが、消費税は売上よりも仕入(※)のほうが圧倒的に多いので還付請求になる。
(※)消費税の世界では不動産の取得(建設、購入)も仕入という。
なお、このケースで売上げに係る消費税をゼロとすると、建物に係る消費税が500万円であるから還付税額は500万円ということになる。
以上、極めて大雑把な説明ですが、大体のニュアンスは掴めたのではないでしょうか?
ところで、この事例は新規にアパートを建てるケースですが、当然ながらアパートを購入する場合とか、個人が所有するアパートを同族法人に売却する場合も対象となります。
したがって、いずれかに該当する方は時間も限られておりますので、できるだけ早急に会計事務所に相談するようにして下さい。
因みに私の事務所には大勢のお客様から問い合わせが来ております。ただ今、決算でそれなりに忙しいのですが、頑張って対応させていただいております。