借入金の繰上げ返済に関する考え方
みなさん明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。
昨年は民主党が政権を取り、始めての税制改正大綱が出されましたが、時間もあまり無かったせいか、これといった大きな改正は見られませんでした。本格的な改正は来年を待つしかないようです。
ところで、私の事務所では家主さん向けにキャッシュフロー(手取り収入)を改善するためのコンサルティングをしております。
このようなコンサルティングについては本格的にやっている会計事務所がほとんど無いためか、かなり忙しい毎日を送っております。
特に最近は景気の悪化により家賃収入が下落しているためか、少しでも税金を減らしたいと考えている人が多いようです。
そこで今回は、このコンサルティングを通して比較的よく質問をされる「借入金の繰上げ返済」についての私の考えを述べたいと思います。
ご承知のように繰上げ返済をしますと、それ以降の借入金返済が無くなるか、あるいは少なくなりますので、不動産所得が増えます。
不動産所得が増えますと当然ながら、それ以上の割合で所得税等が増えていきます。そうすると当然ながら最終的に手元に残る手取り収入はそれほど増えないというわけです。ケースによっては減少する場合もあります。
そこで繰上げ返済すべきか否か迷うことになるわけですが、どのような考え方があるのか整理するために、ここでは2人の方にご登場いただき議論してもらうこととします。
借金が無ければ全額を自己資金で建てたのと同じであり、経営が非常に安定する。したがって、もし繰上げ返済できるお金があるのであれば返済に充当すべきである。
借金があるから支払利息という経費を計上できるのであって、もし借金を返済すると累進課税でかなりの税金を持っていかれる。私であれば、その資金は別の不動産投資に充当する。
税金がかかるといっても所得税と住民税を合わせても50%以上にはならない。したがって余裕資金があるのであれば借金の返済に充当したほうが良い。私なら、そうする。
いかがですか? いずれの考えに賛同されますか? なかなか難しい問題ですが、これについては次のような観点から現状を冷静に分析すべきだと思います。
①繰上げ返済することにより具体的にどれほど税金が増えることになるのか?
繰上げ返済すれば当然ながら不動産所得は増えますが、不動産所得が元々それほど多くないとか、繰上げ返済する金額がそれほど多くない場合には税金が増えるといっても大したことがない場合があります。
また、たとえ繰上げ返済することにより不動産所得が増えたとしても様々な方法で節税できるケースもあります。
②繰上げ返済することにより生活に余裕が無くならないのか?
繰上げ返済することにより、余裕資金がほとんど無くなるのであれば問題です。いくら繰上げ返済したほうが良いといっても、モノには限度があるということです。
このように一方が常に正しくて一方が常に正しくないということはありません。ケースによって繰上げ返済したほうが良い場合もありますし、しないほうが良い場合もあるのです。
したがって、ご自分のケースで、いずれが良いか、よく考えてから実行していただきたいと思います。