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Jリートは、なぜ5%の物件を購入しても利益が出るのか?

皆様方はJリートが5%程度の物件を平気でガンガン購入しているのをご存知ですか? 

おそらくご存知だと思いますが、それでは、なぜ、そんなに低い利回りの物件でも利益が出るのか考えたことはありますか?

「インカムゲインではトントンだが、キャピタルゲインで儲けてるんじゃないの?」 
このように考えても何ら不思議ではありません。

不動産投資の本とかセミナーでは最低10%は必要であると力説しているわけですから、5%の利回りではどう考えてもやっていけるとは思えないというのがノーマルな考えです。

ところがリートの場合には表面利回りが5%でも十分やっていけるのです。信じられないと思われるでしょうが、これは事実です。

以下、その理由についてご説明したいと思います。まず次の損益計算書をご覧下さい。

収入合計(家賃収入等)     100億円(100%)
必要経費
 資産運用報酬  8億円
 外注委託費   5億円
 水道光熱費   5億円
 租税公課     7億円
 減価償却費  18億円
 その他      6億円     49億円(49%)
   営業利益           51億円(51%)
 支払利息               9億円 (9%)
   経常利益           42億円(42%)

これはあるJリートの実際の損益計算書をわかりやすくアレンジしたものです。収入合計が100億円となっていますが、実際は80億円程度(6ヵ月分)です。

このように収入合計を100億円としたのは、収入に対する各種経費の割合(%)が同時に計算できるからです。例えば、減価償却費が18億円となっていますが、収入に対する割合は18%になります。

ところで、この損益計算書をご覧になってどう思われましたか? 支払利息が何となく少ないと感じられたのではないでしょうか? その通り、通常の場合と比較すると、かなり少ないのです。

それでは通常はいくらほどになるのでしょうか? 具体例でご説明したほうが分かりやすいと思いますので、ここでは表面利回りが10%の物件を全額借金して購入した場合で計算してみましょう。

表面利回りが10%の物件を購入して家賃収入を年間100億円得るためには、次のように全部で1,000億円の物件を購入する必要があります。

☆家賃収入を年間100億円獲得するために必要な物件の購入価格(投資額)
=家賃収入100億円÷10%=1000億円

これを全額借金して購入するわけですから、金利を3%としますと、年間の支払利息は次のように30億円になります。

☆年間の支払利息=1000億円×3%(利率)=30億円

このように我々が通常のやり方で購入した場合には支払利息が年間で30億円もかかるのです。Jリートのように表面利回りが5%の物件を購入した場合には実に60億円もかかります(必要投資額が倍の2000億円となるため)。

それではなぜ、リートの場合にはこのように支払利息が極端に少ないのでしょうか?

結論を先に言えば、リートの場合には投資額に占める借入金の割合が50%ぐらいしかないということと、金利が非常に低いという2つの理由からです。

まず借入金の割合ですが、リートの場合には約半分の資金を投資家から出資してもらい、残りを銀行から借金します(ただし、この割合はリートによって異なります)。

一方、我々が行なう通常の不動産投資の場合にはほとんどの資金を銀行から借金しますので、当然ながら支払利息の額が多くなります(最近は自己資金をかなり要求されるようになりましたが、それでもリートほどではありません)。

次に金利ですが、リートの場合には借入金の金利が非常に低いのです。もちろんリートによって異なりますが、私が調べた限りでは1.2~1.5%程度が多いようです。

また借入金ではなく社債(投資法人債)を発行するケースがあるのですが、その場合の金利は0.8%程度と更に低いのです。

このようにリートの場合には投資額に占める借金の割合が少ないことと、利率が非常に低いことから支払利息が一般の投資と比較して異常に少ないというわけです。利息が少ないと、当然ながら利益の額はそれだけ多くなります。

以上は損益計算の観点からリートの場合には利回りが低くても十分ペイできるということを説明したわけですが、キャッシュフローを良くするもう1つの理由がリートにはあるのです。

それは借入金の返済が期日一括返済なので実質的に元金を返済する必要がないということなのです。

どういうことかと言うと、例えば5年返済の場合(リートの場合には3~5年返済が多い)、5年間は利息だけを支払い、5年後に元金を一括返済すればいいのです。

要するに元金据置型なのです。このように書くと5年後の返済原資はどうするのか気になると思いますが、その時点で新たに借り換えればいいのです。

いかがですか? 金利が低くて元金の返済も実質的に不要だということになれば、5%程度の物件でも十分やっていけそうですね。

このようなことをまったく知らないで、上場しているリートが購入しているのだから我々が購入しても特に問題はないと考える人がいたとしたら、その方は間違いなく不動産投資で失敗するでしょう。十分お気を付け下さい。


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