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幹線沿いに高層マンションを建てるときの注意点

以前、地方で講演をしていたときの質問に次のようなものがありました。

そのお客様は、その当時、10階建ての高層マンションを建てる計画をしているとのことでした。大勢のお客様が聞いている最中ですから、そんなに詳しくたずねた訳ではないのですが、要するに現在計画しているプランについて、このまま実行しても良いかという質問です。

実は大体の目安として、この程度の利回りはないと経営的に厳しいという話をしていたのですが、そのお客様が計画しているプランの表面利回りは6%台だというのです。

私は、いくら地方でも木造の場合で8%はほしいという話をしたので、このお客様は心配になったのだと思います。

個別相談であれば、資金はどうするのかとか、他に所有している土地はないのかとか、いろいろ確認するのですが、なにぶん大勢の人が聞いているので、それも難しいわけです。

そこで私は一般的には厳しいが、具体的な事情を詳しくお聞きしないと何とも言えないという感じでウヤムヤにしたのですが、そのお客様はその後、どうされたのか気になるところです。

ところで広い幹線沿いの土地の場合、容積率が高いため高層のマンションが建てられます。したがって、建てる場合にはどうしても高層のプランになるケースが多いと思いますが、高層マンションの場合には坪当たり建築費がかなり高くなってしまいます。

一方、高層だからといって高い家賃をとれるかといったら難しいのが現実です。特に地方の場合にはそもそも家賃が安いわけですから、なおさら経営的に難しくなります。

私はこういったアパマン経営のシミュレーションが得意なのですが、今までの経験から判断すると6%台というのは余りにも悪すぎます。

いろいろな経費を差し引いた残りであれば6%台であっても仕方がないのかも知れませんが、表面利回りが6%台では全く余裕がないと言わざるを得ません。

そこで、どうしても高層のマンションを建てたいのであれば、できるだけ借金を減らす工夫をする必要があります。

一般的に考えられるのは等価交換方式です。この方式は要するに地主の方は土地を提供し、共同事業者であるデベロッパーは新築した建物を提供し、相互の不動産の時価で交換するというものです。

この方法であれば借金はゼロですから、利回りが悪くてもやっていけるわけです。ただし、当然ながら全部を自分1人でやるケースと比較しますと建物の持分は少なくなりますが、安定経営ができますので、私はお奨めします。

私の住んでいるマンションは、この等価交換方式で建てたものですが、日常生活において全く問題ありません。ちなみに私は賃貸のほうに住んでいますが、分譲の人達とも子供を通して仲良くお付き合いさせていただいております。

また、当該土地だけでなく他にも土地を所有されているのであれば、他の土地を売却して、その資金で建てるというやり方も良いと思います。

地主さんの中には家賃収入を最大にするプランを第一の目的にされる方がいらっしゃいます。建設会社とか設計事務所サイドは仕事が増えて良いのでしょうが、アパマン経営において大切なのは経営の安定性です。

また、経営において大切な指標は家賃収入という売上高ではなく、最終的に残る手取り収入をより安定的に得ることなのです。一般企業だって、最近は利益を重視するようになっています。以前のように売上高を最大にすることを究極の目的にするところはほとんどありません。

このようなことから、皆様方の中に上述したような幹線沿いに土地を所有されている方がいらっしゃるのであれば、是非これらの基本的なルールを守っていただきたいと思います。

なお、以上はあくまで地方の土地の場合です。都心の一等地の場合は全額を借金しても特に問題はないでしょう。要するに事前にいろいろシミュレーションして納得の上、実行していただきたいということです。

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