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所得税と相続税の二重課税はやはり本当か?

私の事務所のお客様はほとんどの方がアパートとか賃貸マンションを経営されています。
サラリーマンの方が兼業でアパマンを経営するというケースもあるのですが、どちらかと言えば相続対策でアパート等を建てたという方のほうが多いです。

ところで既にご承知だと思いますが、アパートとか賃貸マンションの場合、手取り収入は徐々に減少していきます。その理由はいろいろ考えられますが、主なものは次のとおりです。

<手取り収入が減少していく主な理由>
① 建物は時の経過と共に古くなっていくので収入自体が減っていく(家賃の下落と空室率の増加)。
② 建物は古くなるにつれ修繕費が増えていく。
③ 経費に算入できる支払利息とか減価償却費が減っていくため所得税等の税金は逆に増加する。

ところで最近、あるセミナーの聴講者から、自分の家計を診断してくれないかという依頼があり、昨日までいろいろシミュレーションしておりました(明日はお客様に報告する日です)。

このお客様の不動産所得は昨年度で7000万円を超えております。既に管理会社を設立し年間で1800万円程、その法人に支払っていますし、奥さんを専従者にして給与を年間で600万円支払っています。したがって、これらの対策を実行していなければ不動産所得はもっと増えるわけです。

これだけではありません。現在、別の箇所に新たに賃貸マンションを計画されているのです。私も現地を拝見しましたが場所も良く、かなりの所得が見込まれそうです。

このように書くと羨ましいと思われるかも知れませんが、このお客様の場合、適用される税金の限界税率は50%を超えております。限界税率というのは増加した所得に対して適用される税率のことです。

このお客様の場合、もしご自分が事業主になって賃貸マンションを建設しますと当然ながら所得が増えていくわけですが、その増えた所得に適用される税率のことです。

ところで限界税率が50%を超えると言いましたが、これは事業税がかかるからです。本来であれば所得税が40%で住民税が10%ですから限界税率は丁度50%になるハズですが、アパマン経営者の場合には事業税が別途かかりますので限界税率は50%を超えるというわけです。

このように毎年の所得に対してかなりの税金がかかるわけですが、もし相続が発生しますと今度は相続税が待っています。50%を超える税金を払った残りのお金に対して今度は相続税がかかるのです。

相続税というのは、相続を契機として、それまでの課税モレを防ぐという目的と富の再分配にあるとされています。もちろん、これらはそれなりに意義のあることですが、二重課税という本来あってはならない課税の大原則を踏みにじることにも繋がる場合があるのです。

そのようなことから相続税を廃止する国が増えているのですが、日本の場合には逆に課税の対象を増やそうとしているようです。

いずれにしても現実に課税が行なわれているわけですから皆様方もよく勉強して、少しでも税金を安くする方法を見付けるようにして下さい。なお、このお客様は建築士の資格をお持ちですが、私の著書を含めて既に100冊以上の本を読破されたようです。


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