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最も相続税が安くなる配偶者の相続割合とは?

  最近は遺言書がブームになっているようですが、遺言書を書くためには当然ながら相続人にどのように配分すべきかを事前に決めておく必要があります。

 遺留分についてはなぜか小学生でも知っているのですが(学校で先生が教えているようです)、配偶者と子供にどのように配分すれば相続税が最も安くなるかについては話題にさえ上りません。

 私は税理士という立場上、お客様から遺言書の作成についてよく質問されます。その際、当然ながら一番重要視するのは、どのように配分すれば揉めなくて済むかということです。

 したがって、もし子供が1人だけの場合には基本的に揉めることはありませんので、この点に限っては気が楽です。

 ところが配偶者がご健在のケースで、一次と二次の相続税の合計額をできるだけ少なくしたい場合には一次相続での配偶者と子供の配分割合が問題になってきます。

 ご承知のとおり、配偶者が相続した額が1億6,000万円か法定相続分である2分の1か、いずれか多い額までは配偶者には一切相続税がかかりません。

 そこで、例えば相続財産が1億6,000万円前後のケースでは配偶者が全額を相続するケースがあります。その理由は一次相続では相続税が全くかからないからです。

 ところが二次相続において問題になります。 もし、1億6,000万円がそのまま残っていたとすれば相続税は2,300万円にもなるのです。

 もし一次相続で配偶者が法定相続分である8,000万円、子供が同額の8,000万円を相続した場合どうなっていたでしょうか? 次をご覧下さい。

一次相続時の相続税額・・・・・700万円
二次相続時の相続税額・・・・・250万円

 一次と二次の合計で950万円です。配偶者が全額取得するケースと比較しますと1350万円も安くなるのです。 このように、一次相続における遺産分割のやり方によって相続税はかなり違ってくるのです。

 ちなみに先程のケースで最も相続税が安くなるのは配偶者の相続割合が40%のケースです。この場合の相続税は880万円(一次840万円、二次40万円)となります。

 ところで、相続税の合計が一番安くなる配分割合は次のような様々な要因によって異なってきます。

<相続税が一番安くなる配分割合に影響を与える項目>

イ.被相続人が所有している財産の額
ロ.相続人の数
ハ.配偶者自身が既に所有している財産の額
ニ.一次相続と二次相続の間の期間(相次相続控除に関係・・・※)
ホ.一次相続と二次相続の期間中における財産の増減

※「相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)」とは二次相続での被相続人(配偶者)が、一次相続時に課せられた税額の一部を二次相続の相続人の相続税の額から控除できるというものです。二重課税を排除しようとする制度です。
1年以内であれば全額控除され、1年を超過する毎に10分の1ずつ減額され、10年を超えるとゼロとなる。

 このように様々な要因によって最適分配割合は異なってきますので計算は難しいのですが、トータルの税額にかなりの開きが生ずることになりますので、それなりの相続税がかかるようであれば、この点についても十分に考慮した上で実行するようにして下さい。


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