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中古マンション、結局、買いませんでした

前回、ご紹介しました賃貸マンションですが、予定通り現物を見に行ってきました。

見てビックリしたのは建物があまりに汚いということです。築22年程度ですから、それほどでもないと思っていたのですが、腰を抜かすほどの汚れ具合なのです。

階段等の鉄部部分はひどく錆びておりますし、外廊下の壁とか床、玄関のドアなども古びた公団住宅のようです。

また、ベランダ側の窓は全て緑色の網が被せられているのですが、まるで監獄のようです。網を被せている理由を尋ねますと、鳩がベランダに入ってきて糞をするからということです。

この物件は住宅だけで40戸あるのですが(3~10階が住宅、1、2階が事務所)、全部の窓に網が被せられていますのでかなり壮観です。

事前に写真を見たときは光線の関係から若干緑がかっているのかと思っていたのですが、正直参りました。これでは普通どなたも入居しないと思うのですが、40%程も埋っているのですから、逆にビックリです。

次は部屋の中ですが、設備は22年前とほとんど変わっておりません。つまり建てた時のままなのでどうしても古臭い感じを受けます。また3DKの部屋は全部が和室で洋室はゼロ。

このように物件自体は非常にボロいのですが、立地だけは合格です。前面にある歩道も広く、樫の並木が非常にすばらしいのです。

ところで、この物件を案内してくれている不動産会社の人に、なぜこんなになるまでリフォームしなかったのか聞いたところ、オーナーが全然お金を出してくれないと言うのです。

リフォームを全くしない状態で22年経ったら当然ながら建物は古くなります。まして、ほとんどの壁が吹き付けでタイルを貼っていないので。余計古さを感じてしまいます。

SRCですから建物自体は60年も70年も持つのでしょうが、リフォームをしなければ30年も持たないという典型事例です。

ところで、このままでは当然ながら入居率を上げることができませんので、リフォーム代がいくら位になるのか見積もりをお願いしたところ、驚くなかれトータルで1億円を超えました。

この見積もりには大胆なリノベーションをするとか和室を洋室にするといったことは全く前提にしておりません。単に設備を全部取り替えるとか、外壁の塗装、あるいはエントランスを若干見栄え良くするといった程度です。

それでもこれだけかかるのです。この物件は現在2億1000万円で売りに出されているのですが、リフォーム代が1億円もかかったのではペイしません。

また、今回、大規模修繕すればそれで終わりというわけではありません。14,15年すればまた同じような額(1億円前後)のお金が必要になるのです。

当然ながら、その時は現在よりも更に家賃が下がっていることでしょう。当初は物件価格を下げればどうにかなると思っていたのですが、これではリスクが高すぎます。そこで今回は購入を見合わせることにしたということです(つまり、お客様には紹介しないということです)。

なお、転売しないで最後まで所有していた場合には建物の取壊し費用が5000万円程度かかります(建物の床面積が約1000坪ありますので単価を5万円とすれば5000万円になります)。

最後に、今回の件で感じたことをまとめておきます。特に地方で土地活用を考えている方には参考になると思われます。

①地方物件の場合には家賃が安いわりにはリフォーム費用は都会とそれほど変わらない。したがって、SRCのような構造の建物ではなく、比較的短期で投資額を回収できるプランにしたほうが良いのではないか。もし、RCとかSRCにするのであれば外壁はタイルにして修繕費がそれほどかからないようにすべきである。

②手取り収入を全て使ってしまうのではなく、リフォーム費用として毎月一定額を積み立てておくべきである。リフォーム費用を将来の家賃収入から賄うべきではない。

③リフォームはその都度マメに実施すべきである。そうすれば当然ながら空室率は抑えられるし、結果としてリフォーム代も少なくて済む。

④地方経済は残念ながら、かなり疲弊している。将来とも回復があまり見込まれないとすれば業務系の物件はあまりお奨めできない。貸事務所等は景気の影響をモロに受けるからである。


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